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ルカ・マーフィーは夜魔法の継承者  作者: 如月


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帰り支度

真実の扉の前。


長きに渡る戦いは終わった。


ゼノスは拘束され、世界の魔法石も元の場所へ戻された。


だが――。


誰も勝利を喜ぶ者はいなかった。


皆、限界だった。


体力も。


魔力も。


心も。


限界を迎えていた。


皆が急いで倒れていた学園長、サラ、ノアの元へ向かう。


「お祖父様!」


ルカが駆け寄る。


雪梅が脈を確認する。


「大丈夫よ。」


安堵したように微笑む。


「生きてるわ。」


その言葉にルカは膝から崩れ落ちた。


サラも苦しそうに目を開く。


「うぅ……」


「サラ!」


アクアが駆け寄る。


ノアもゆっくりと意識を取り戻した。


「ここは……」


「ノア!」


セドリックが安堵した様な表情を見せる。


三人とも生きていた。


傷は深い。


だが生きている。


皆が安堵する。


しかし――。


一人だけ。


目を覚まさない者がいた。


ソジュンだった。


自然と皆の足が向く。


誰も言葉を発しない。


そこには静かに横たわるソジュンの姿があった。


エディがそっと抱きかかえている。


まるで眠っているようだった。


だが。


雪梅が確認する。


そして静かに目を閉じた。


誰も聞かなくても分かった。


その表情だけで。


魂の鼓動は。


完全に止まっていた。


静寂が訪れる。


誰も声を出せない。


レオは拳を握り締めた。


爪が食い込むほど強く。


だが涙だけは見せまいと必死に堪えていた。


肩が小さく震えている。


アリスはその場に膝をついた。


涙が頬を伝う。


声も出ない。


ただ静かに泣いていた。


ビルは顔を背ける。


誰にも見られないように。


悔しそうに奥歯を噛み締める。


ハジメは俯いたまま動かない。


何か言おうとして。


結局何も言えなかった。


マリアは違った。


堪えきれなかった。


「なんでよ……」


涙が溢れる。


「なんでソジュンなのよ……!」


声を上げて泣いた。


オーランドも拳を壁へ叩きつける。


「くそっ……!」


助けたかった。


連れて帰りたかった。


その想いだけが胸を締め付ける。


アクアも涙を拭った。


何度も。


何度も。


だが止まらない。


サラも俯く。言葉を失っていた。


そして。


ルカ。


彼もまたソジュンの前へ歩く。


膝をつく。


何か言いたかった。


おかえりと。


もっと話したかったと。


だけど。


何も言葉にならなかった。


涙だけが零れ落ちる。


初めてだった。


こんなにも身近な人を失うのは。


胸が痛い。


苦しい。


どうして助けられなかったのか。


そんな後悔ばかりが浮かぶ。


その時。


エディが静かにソジュンを抱き締めた。


「馬鹿だなぁ……」


涙が止まらない。


「帰ろうって言ったじゃねぇか……」


肩が震える。


「一緒に帰るって約束したじゃねぇか……」


誰も声を掛けられなかった。


皆同じ気持ちだったから。


長い沈黙の後。


アルクが前へ出る。


教師として。


この場の責任者として。


だがその声はいつもよりずっと小さかった。


「……ソジュンを故郷へ埋葬してやろう。」


誰も反対しない。


アルクはブラックの面々を見る。


「お前ら。」


「連れてってやれ。」


レオが静かに頷く。


エディはソジュンを抱き上げた。


「……あぁ。」


声が震えていた。


それでも立ち上がる。


ブラックの仲間たちも続く。


誰も泣き止めない。


誰も笑えない。


だが。


最後くらいは。


仲間として送ってやりたかった。


こうして。


長く苦しい戦いは終わりを迎えた。


皆はソジュンを連れ。


静かに学園への帰路についた。


夕暮れの空には。


いつの間にか。


無数の星が輝き始めていた。

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