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ルカ・マーフィーは夜魔法の継承者  作者: 如月


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85/90

合流

大広間へ続く通路を駆け抜けるルカたち。


ソジュンを背負ったオーランド。


その横を走るアクア、アリス、雪梅。


そして回復を受けたルカ。


先ほどまで消耗していたはずの足は、今は驚くほど軽かった。


「急ごう!」


ルカが叫ぶ。


遠くから聞こえる爆音。


壁を揺らす衝撃。


先発隊が今も戦い続けている証だった。


そして――


ついに大広間へ辿り着く。


その光景を見た瞬間。


全員の表情が凍り付いた。


「なっ……!」


巨大な鉄球が空中を唸りながら飛び回っている。


黒縄が生き物のように蠢き、あらゆる方向から襲い掛かっていた。


ビルは炎の大剣を振り回しながら回避し続けている。


レオの死霊軍団は半数以上が破壊されていた。


エディの森も無残に薙ぎ倒されている。


アルクの服は裂け、肩から血が流れていた。


セドリックも肩で息をしている。


誰もが満身創痍だった。


「みんな……!」


ルカが思わず叫ぶ。


その声にセドリックが振り返る。


「ルカ!?」


「無事だったか!」


安堵した表情を浮かべる。


しかし。


その瞬間。


玉座の前に立つゼノスがゆっくりと視線を向けた。


「ほう」


紫色の瞳が細くなる。


「長引かせたせいで応援が来たか」


ゼノスはルカを見る。


まるで獲物を見つけた猛獣のような目だった。


「夜魔法使いもこちらへ来たことだし……」


禍々しい魔力が溢れ出す。


空間そのものが悲鳴を上げた。


「そろそろ――」


巨大な魔法陣が展開される。


「とどめだ」


全員が息を呑む。


ゼノスは静かに宣言した。


「第四の地獄」


魔法陣が青く輝く。


「――叫喚」


ドゴォォォォォォン!!


大広間全体を巨大な青炎が包み込んだ。


「うわぁぁぁぁぁ!!」


「くっ!!」


轟音と共に炎の壁が立ち上がる。


それは普通の炎ではない。


魂そのものを焼くような異質な炎だった。


床も。


壁も。


空気さえも燃えている。


逃げ場はない。


セドリックは即座に杖を掲げた。


「水魔法!」


巨大な水流が発生する。


『アクア・テンペスト!!』


大量の水が青炎へ叩きつけられる。


だが。


ジュワァァァァァァッ!!


水は触れた瞬間に蒸発した。


「なっ!?」


セドリックが目を見開く。


蒸気だけが辺りに広がる。


全く鎮火できない。


ゼノスは不敵に笑った。


「無駄だ」


「地獄の炎はその程度では消えん」


青炎はさらに勢いを増す。


ビルが歯を食いしばる。


「まずいぞ!」


レオの闇障壁も徐々に焼かれ始めていた。


誰もが焦る中。


一歩前へ出た人物がいた。


アリスだった。


白銀の髪を揺らしながら冷静に炎を見つめる。


そして。


「セドリック」


「雪梅先生」


二人へ声をかけた。


セドリックが振り向く。


「どうした!?」


アリスは静かに言った。


「雪梅先生の光魔法と、セドリックの水魔法を合わせます」


「そして、合わせた水に私の氷魔法を加えてください」


雪梅が理解したように目を細める。


「なるほど……!」


アリスは頷いた。


「光魔法で水を聖水化する」


「その聖水を私の氷魔法で凍結」


「地獄の炎を封じ込めながら、溶け出した聖水で内側から浄化するんです」


セドリックが目を見開く。


「氷の中に聖水を閉じ込めるのか……!」


「そうです」


アリスの瞳が真っ直ぐ炎を見据える。


「一気に消火はできません」


「でも炎の勢いは確実に弱められます」


雪梅が微笑んだ。


「いい考えね」


杖を構える。


「やりましょう」


セドリックも頷く。


「全員!」


「アリスの援護だ!」


ルカたちも即座に動き出す。


ビルは炎を斬り払い。


レオは死霊を展開し。


エディは植物の壁を作り。


アルクは風で炎の流れを逸らす。


そして中央で。


アリス。


セドリック。


雪梅。


三人の魔法陣が重なった。


水。


光。


氷。


三つの属性が共鳴する。

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