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ルカ・マーフィーは夜魔法の継承者  作者: 如月


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ルカの戦闘

 一方その頃――。


 ルカは崩れた地下通路を静かに見据えていた。


 天井から砂埃が落ちる。


 遠くではまだ戦闘音が響いていた。


 リアム兄さん。


 アクア。


 二人とも無事なのだろうか。


 胸の奥に不安が広がる。


 だが今は、自分の前の敵へ集中するしかない。


 ルカの前には、一人の男が立っていた。


 全身を黒布で覆った細身の男。


 顔すら見えない。


 ただ、異様だった。


 静かなのに、空気が妙に張り詰めている。


 男は首を傾げるようにルカを見る。


「お前……夜魔法持ちか?」


 低い声。


 ルカは警戒しながらも答えた。


「……だったら何だ」


 その瞬間。


 黒布の男が、ぱぁっと嬉しそうな声を上げた。


「当たりだっ!!」


「やったぁ!! マジかよ、超ラッキーじゃん!!」


 突然のテンションに、ルカが眉をひそめる。


 男は子供のようにはしゃぎながら、ルカの周囲をぐるぐる歩き始めた。


「いやー、探したんだよねぇ!」


「リーダーがお前だけは絶対見つけろってうるさくてさー!」


 軽い。


 緊張感がまるでない。


 まるで遊びに来ているような口調だった。


 男は黒布の奥から笑い声を漏らす。


「でもさー、生け捕りって言われてんだよね」


「だから頼むよー」


 男はひらひらと手を振った。


「大人しく捕まってくれない?」


 ルカは怪訝そうに目を細める。


「……ふざけてるのか?」


「んー?」


「こっちは本気なんだけど」


 男はケラケラ笑う。


 だが。


 次の瞬間だった。


 ピタリ、と笑い声が止まる。


「――あ?」


 空気が変わった。


 ルカの背筋に悪寒が走る。


 さっきまで軽薄だった男の声色が、急に低く沈む。


 黒布の隙間から覗く瞳。


 そこに宿っていたのは、明確な殺意だった。


「……お前さ」


 男がゆっくり首を傾ける。


「俺がふざけてるように見えた?」


 ゾワッ――。


 地下通路の温度が、一気に下がった気がした。


 男の周囲から黒い魔力が滲み出す。


 不気味に。


 粘つくように。


 ルカは反射的に夜魔法を展開した。


 足元から黒い影が広がる。


 だが男は動じない。


 むしろ、楽しそうに笑った。


「へぇ……」


「やっぱいいな、その魔法」


 黒布の男がゆっくり両手を広げる。


 次の瞬間。


 ズズズズ……。


 男の足元から、黒い影が這い出した。


 ルカの瞳が見開かれる。


「……っ!?」


 その魔力。


 その感覚。


 自分の夜魔法と、似ている。


 男は楽しそうに笑う。


「さて」


「捕獲開始だ」

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