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手の届く範囲で世直し  作者: 慈架太子


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第9章: 平和な世界の完成


「世界中で幸福度アンケートを取れ」

セレナが百万人規模の調査を実施した。

結果平均幸福度98.7%。

「ほぼ完璧だな」カインが満足げに頷く。「もう俺たちがやることはない」

「なら、旅に出よう」リーザが提案した。「二人だけで、世界を見て回る」

カインとリーザは身軽な格好で旅立った。高速鉄道に乗り、空飛ぶ客船に乗り、時には徒歩で。

各地の特産料理を食べ、酒場で地元の人と語らい、ダンジョンにも挑戦してみる。

「平和だな」リーザが笑う。

「ああ。俺たちが作った世界だ」

誰にも正体を明かさず、ただの旅行者として。

幸せな日々が、続いていく。


半年の旅から帰ってくると、リーザが発表した。

「妊娠した」

カインが驚いて抱きしめる。「本当か!」

エリスが祝福の魔法をかける。「おめでとうございます!」

フィンとセレナ、ルナとエリスも駆けつける。

「ついにカインも父親か!」

「名前は決めたのか?」

「まだだ」カインが笑う。「男の子か女の子かも分からない」

数ヶ月後、元気な男の子が生まれた。

「名前は...ソル。希望の光という意味だ」

小さな命が、カインとリーザの腕の中で眠っている。

「この子が生きる世界は、平和だ」リーザが優しく微笑む。

「ああ。俺たちが作った、最高の世界だ」

新しい世代が、始まった。


数年後、他のカップルにも子供が生まれた。

フィンとセレナに双子の女の子。エリスとルナに男の子。

ゴードン、マルコ、グリムにもそれぞれ子供ができた。

希望の光地区に、子供たちの笑い声が響く。

「ソル、走るの速いな!」

「パパみたいに強くなる!」

カインは息子を抱き上げた。「強さだけじゃない。優しさも大切だ」

「うん!」

子供たちは魔法を習い、学校に通い、友達と遊ぶ。

戦いのない、平和な日々。

「俺たちが守ってきた世界を、この子たちが受け継いでいく」

リーザが頷く。「そのために、俺たちは戦ってきたんだ」


ある日の夕食時、カインが唐突に言った。

「オーク肉が食べたい」

リーザが呆れた顔をする。「急にどうした」

「昔、初めて狩ったのがオークだっただろう。あの時の肉、また食べたくなった」

ソルが目を輝かせる。「オーク肉 食べてみたい!」

「じゃあ、ゴードンの店に行くか」

一家で繁華街の肉料理店へ。ゴードンが笑顔で迎える。

「おう、カイン! 久しぶりだな。オーク肉のステーキでいいか?」

「ああ、特大で頼む」

焼き上がった肉を一口食べる。

「...うまい。懐かしい味だ」

「パパ、昔はこれを狩ってたの?」

「ああ。お前のママと一緒にな」

平和な食卓に、過去の思い出が蘇った。


翌日、カインがまた言った。

「今度はオーク肉の生姜焼きとご飯が食べたい」

リーザが笑う。「どんだけオーク肉好きなんだ」

「昔を思い出すんだよ。あの頃は必死で戦って、狩った肉を焼いて食べてた」

「なら、家で作るか」

市場でオーク肉と生姜、米を買ってくる。リーザが肉を切り、カインが生姜を刻む。

ジュウジュウと焼ける音。甘辛い香りが部屋に広がる。

炊きたてのご飯に、生姜焼きを乗せる。

「いただきます!」

一口食べて、カインが笑顔になる。

「これだ。この味だ」

ソルも真似して食べる。「おいしい!」

家族で囲む食卓。幸せな時間だった。


カインは窓の外を見た。

平和な街、笑顔で歩く人々、遊ぶ子供たち。

「やり残したことは...ないな」

リーザが隣に座る。「世界を救い、改革し、平和を作った。これ以上、何を望む?」

「何もない」カインが微笑む。「完璧だ」

ソルが駆け寄ってくる。「パパ、ママ、公園行こう!」

「ああ、行こう」

三人で手を繋いで外に出る。

希望の光が作った世界で、新しい世代が育っていく。

戦いは終わった。

理想の世界が、ここにある。

―完―


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