第5章: 希望の光クラン創設
「これで三つのパーティーが動ける。全体を『希望の光クラン』と呼ぶ」
クラン長はカイン。副長はリーザとマルコ。
経験値は全パーティーで共有。利益も分配。
「クランとして、この街を変える」
新しい時代が、始まった。
「街で困っている者を全員探せ」
カインは全メンバーに指示を出した。セレナが情報網を使い、リストを作る。
病気の家族を抱える母子
借金に苦しむ元兵士
仕事を失った高齢の職人
虐待される孤児たち
障害を持つ労働者
一人ずつ訪ねていく。
「希望の光クランに来ないか。仕事、住居、教育?全て提供する」
最初は疑われた。「そんな都合のいい話...」
だが、希望の家を見せると、表情が変わる。
「本当に...ここで働けるんですか」
「ああ。お前の力が必要だ」
二週間で五十人が加入した。孤児、障害者、高齢者?全員に役割を与える。
希望の家は、百人を超えた。
街の最底辺にいた者たちが、希望を取り戻していく。
「人が増えすぎた。寮を拡張するぞ」
カインはゴードン、マルコ、グリムに指示を出した。「100人が住める集合住宅を10棟だ」
「1000人規模...街の一角を丸ごと買い取る必要があるな」マルコが計算する。「金貨三千枚は必要だ」
「問題ない」資金は十分にある。
街の外れの土地を購入。魔法を使った大規模建設が始まった。
サイコキネシスで石材を運び、グラビティで地盤を固め、サイズで巨大な柱を作る。
全メンバーが総出で作業する。
三ヶ月後?
10棟の集合住宅が完成した。それぞれ5階建て、各階に20の個室。
「希望の光地区」と名付けられた一帯が誕生した。
これで1000人を受け入れられる。
「そろそろ南の古代遺跡に行くか」
カインが主要メンバーを集めた。リーザ、フィン、エリス、ルナ、セレナの六人。
「クランは安定した。ゴードン、マルコ、グリムに任せておけば大丈夫だろう」
マルコが頷く。「希望の光2と3も育ってきた。街の仕事は問題ない」
リーザが地図を広げる。「南の古代遺跡...ヴァレリウスが言っていた『真の復活の鍵』がある場所だ」
「レベル40超えの敵がいる可能性が高い」カインが警告する。「今までで最も危険な戦いになる」
エリスが祈りを捧げる。「神よ、私たちに勇気を」
フィンが剣を抜く。「行こうぜ。終わらせようじゃないか、この戦いを」
六人は装備を整えた。
明日、出発する。
翌朝、希望の光地区の中央広場に六人が集まった。
見送りに来たクランメンバーたちが手を振る。孤児たちが「無事に帰ってきてください!」と叫ぶ。
「留守を頼んだぞ」カインがゴードンに言う。
「任せろ。希望の光2と3が依頼をこなす。クランは回る」
「では、行くぞ」
カインがテレポートを発動。六人が光に包まれる。
次の瞬間?砂漠の真ん中に立っていた。
灼熱の太陽。地平線まで続く砂丘。
そして遠くに、巨大な石造りの遺跡が見える。ピラミッド型の建造物。周囲には黒い霧が立ち込めている。
カインの視界に警告が表示された。
『危険度:最高レベル』
『推奨レベル:40以上』
「あれだ」
遺跡に近づくと、異様な圧力を感じた。
「魔力が濃すぎる...」ルナが顔をしかめる。「この霧、普通じゃない」
リーザが鑑定魔法を使う。「魔物の反応...数百。いや、千を超える」
遺跡の入口に、巨大な石門が開いている。中は暗闇。
フィンが震える声で言った。「マジかよ...レベル40超えが千体とか...」
「いや、違う」カインがシステムで解析する。「ほとんどは低レベルの雑魚だ。だが、最深部に?」
視界に赤い光点が表示される。
『未確認存在:レベル推定50+』
「50...」エリスが息を呑む。
セレナが後退る。「私たちレベル30台で、勝てるの...?」
「引き返すか?」リーザがカインを見る。
カインは剣を抜いた。「いや、行く」
「数で来るなら、まとめて潰す」
カインとルナが同時に魔法を構築する。「アースクエイク、最大出力だ」
二人が地面に手をついた。
轟音。
遺跡全体が激しく揺れ始めた。石壁が崩れ、天井が落ちる。
中から悲鳴のような音。魔物たちが次々と瓦礫に潰されていく。
十秒、二十秒、三十秒?
揺れが止まった時、遺跡の半分が崩壊していた。
カインの視界に表示が溢れる。
『敵討伐:872体』
そして?
『レベルアップ!』
カイン:レベル35→42
リーザ:レベル37→44
フィン:レベル30→36
エリス:レベル28→34
ルナ:レベル33→40
セレナ:レベル22→28
「一気に7レベル...!」フィンが驚愕する。
「これで対等に戦える」カインが遺跡の奥を見据える。「行くぞ」
「まだ残っている。もう一度だ」
カインとルナが再び魔力を集中させる。リーザとフィンも加わった。四人同時のアースクエイク。
地面が裂ける。遺跡がさらに崩壊していく。
残っていた魔物たちが瓦礫の下敷きになる。オーク、トロール、グール?全て地中に沈んでいく。
『敵討伐:456体』
再び光が溢れた。
カイン:レベル42→48
リーザ:レベル44→50
フィン:レベル36→42
エリス:レベル34→40
ルナ:レベル40→46
セレナ:レベル28→34
「レベル50...」リーザが自分の手を見る。「ここまで来たのか」
カインは腰の剣を外し、地面に置いた。
「もう剣はいらない。魔法だけで十分だ」
テレキネシス、サイコキネシス、グラビティ?全てが武器になる。
遺跡の奥から、巨大な気配が近づいてくる。
全員がレベル50を超えるまで続ける」
遺跡の周辺を探索し、地下から湧き出る魔物を見つけた。無限に生成されている。
「召喚陣がある。これを利用する」
六人で交代しながらアースクエイクを発動し続ける。湧いてくる魔物を片っ端から潰していく。
三時間の連続討伐?
『敵討伐総数:3,247体』
全員が眩い光に包まれた。
カイン:レベル48→55
リーザ:レベル50→57
フィン:レベル42→51
エリス:レベル40→50
ルナ:レベル46→54
セレナ:レベル34→50
「全員レベル50超え...」フィンが信じられない顔をする。
セレナが自分の魔力を確認する。「MPが2000を超えてる...」
「これで準備完了だ」カインが遺跡の最深部を見据える。「最後の敵を倒しに行くぞ」
遺跡の最深部へ続く階段を降りていく。
崩壊を免れた通路は、古代の壁画で覆われている。影喰らいの王の復活を描いた絵だ。
「千年前、この王は世界の半分を滅ぼした」エリスが壁画を見つめる。「封印には百人の英雄が犠牲になった」
「今度は俺たちが封印する」
最深部に到着した。
巨大な玉座の間。天井は見えないほど高い。
そして中央に、黒い結晶に包まれた巨大な人影。
『影喰らいの王 封印状態』
『レベル:???』
『HP:???/???』
結晶の前に、一人の老人が立っていた。
「よく来たな、転移者よ」老人が振り返る。
『大司教アルカード』
『レベル:58』
「お前が...最後の守護者か」
「守護者?」アルカードが笑った。「違う。私は復活の儀式を執り行う者だ」
老人が杖を地面に突く。黒い結晶が脈動した。
「お前たちが来ることは予見していた。ザルガン、帝都、そしてここ。全ては計画通りだ」
リーザが弓を構える。「何を言っている」
「お前たちが魔物を倒すたび、その魂は王の元へ送られた」アルカードが結晶を撫でる。「千体、二千体、三千体?全てが王の糧となった」
カインの視界に警告が表示される。
『影喰らいの王 覚醒進行度:89%』
「まさか...俺たちが倒した魔物が...」
「そう。お前たちこそが、王の復活を手伝っていたのだ」
結晶がひび割れ始めた。
中から、巨大な手が突き出た。
「全員、グラビティ!最大出力だ!」
六人が同時に魔力を解放する。アルカードと結晶に向けて、重力を集中させた。
「3000倍!」
空間が歪む。
アルカードの体が瞬時に地面に叩きつけられた。骨が砕ける音。「ぐあああ!」
黒い結晶も重力に押しつぶされていく。ピシリ、ピシリとひびが広がる。
中から伸びていた手が、引っ込んでいく。
「馬鹿な...この重力...人間に扱える領域じゃ...!」
アルカードの体が平らに潰れていく。
『HP:15000→0』
大司教が、光に消えた。
だが?
結晶は完全には壊れていない。中の影喰らいの王が、まだ生きている。
「もっとだ!出力を上げろ!」
「まだ足りない!6000倍だ!」
六人が限界まで魔力を注ぎ込む。MPが急速に減っていく。
重力が倍増した。
黒い結晶が悲鳴を上げるように軋む。表面が砕け、粉々になっていく。
中から黒い霧が噴き出す?だが、重力に押しつぶされて消えていく。
『影喰らいの王 HP:???→82%』
まだ生きている。
結晶の奥から、赤い目が光った。
「貴様ら...よくも...」低く響く声。
巨大な魔力が放たれる?だが、6000倍の重力がそれすら押さえ込む。
「うおおおお!」カインが叫ぶ。全員が全魔力を注ぐ。
結晶が完全に崩壊した。
中から現れた影喰らいの王が?
重力で地面に縫い付けられている。
「今だ!トドメを刺せ!」
アルカードを倒した瞬間、六人が光に包まれた。
『レベルアップ!』
カイン:レベル55→60
リーザ:レベル57→62
フィン:レベル51→56
エリス:レベル50→55
ルナ:レベル54→59
セレナ:レベル50→55
『HP・MP全回復!』
疲労が嘘のように消える。魔力が溢れ出す。
「レベル60...」カインが拳を握る。「最高到達点だ」
リーザのMPが3500を超えている。ルナも3200。
「これなら...勝てる」
地面に縫い付けられた影喰らいの王が、憎悪に満ちた声を発した。
「小賢しい...虫けらどもが...」
『影喰らいの王』
『レベル:65』
『HP:320000/390000』
「レベル65...だが、もう怖くない」
六人が一斉に構える。
最終決戦が、始まる。
「グラビティを維持しろ!俺とルナで攻撃する!」
カインとルナがサイコキネシスを発動。周囲の岩を全て浮かべ、サイズで巨大化させる。
直径10メートルの岩塊が数十個、空中に浮かぶ。
「全弾発射!」
岩が弾丸のように王に叩きつけられた。
ドガァン!ドガァン!ドガァン!
連続する衝撃。王の体が砕けていく。
『HP:320000→280000』
「くそっ...まだ28万もある...!」
王が咆哮した。「貴様らごときが...この私を...!」
黒い炎が体から噴き出す。グラビティを押し返そうとする。
「押さえ込め!リーザ、フィン、エリス、セレナも加勢しろ!」
全員でグラビティを強化。王の反撃を封じ込める。
「サイズ魔法、最大出力!1000倍だ!」
カインとルナが同時に魔法を発動。浮かんでいた岩塊が膨張していく。
10メートルが100メートルに?そして直径1キロメートルの超巨大岩塊が六つ、天井を突き破って形成された。
「な、何だこれ...」フィンが圧倒される。
「サイコキネシス!」
六人全員の念動力で制御。超巨大岩塊が、影喰らいの王に向かって落下した。
「馬鹿な...こんな質量...!」
王が絶叫する。
ドゴオオオオオオン!
遺跡全体が崩壊するほどの衝撃。砂塵が舞い上がり、地面が陥没する。
煙が晴れると?
『HP:280000→85000』
「効いてる...!」
王の体が半分以上潰れていた。
「もう一回だ!」
カインとルナが再び岩を生成する。サイズ1000倍?直径1キロメートルの超巨大岩塊が六つ、再び出現した。
「全弾、発射!」
六人の念動力で制御。二度目の超質量攻撃が王を襲う。
ドゴオオオオオオン!
遺跡の残骸がさらに吹き飛ぶ。地面が深く抉れる。
衝撃波が砂漠を駆け抜けた。
煙が晴れると?
『HP:85000→8000』
影喰らいの王の姿は、もう原形を留めていない。黒い霧だけが辛うじて形を保っている。
「ま...まだ...私は...千年の時を...」
掠れた声。
「終わりだ」カインが手を伸ばす。
「全員、最後の一撃!」
六人が円陣を組んだ。
「グラビティ、サイコキネシス、アースクエイク?全魔法を同時発動!」
カインの号令で、全員が残る魔力を全て解放した。
重力が10000倍になる。地面が激しく揺れる。巨大な岩が王を包囲する。
そして?
「消えろ!」
全ての魔法が一点に集中した。
光の爆発。
影喰らいの王の悲鳴が響き渡る。「我は...不滅...我は...」
声が途切れた。
黒い霧が完全に消滅する。
『影喰らいの王 討伐完了』
静寂。
遺跡は完全に崩壊し、砂漠に巨大なクレーターが残っていた。
六人は立ったまま、空を見上げた。
「終わった...」
六人の体が眩い光に包まれた。
『レベルアップ!』
カイン:レベル60→70
リーザ:レベル62→72
フィン:レベル56→66
エリス:レベル55→65
ルナ:レベル59→69
セレナ:レベル55→65
『HP・MP全回復!』
「レベル70...」カインが自分のステータスを確認する。
HP:3200/3200
MP:5800/5800
「MPが5800...もう人間の領域じゃないな」ルナが呆然とする。
リーザも驚いている。「レベル72...これ以上強くなれる気がしない」
エリスが涙を流した。「影喰らいの王...本当に倒したんですね...」
フィンが笑う。「やったぜ!世界を救ったんだ、俺たち!」
セレナが空を見上げる。「これで...平和が戻る」
六人は、静かに抱き合った。
「帰るぞ」
カインがテレポートを発動。光に包まれ、次の瞬間?アルトハイムの希望の光地区に立っていた。
そこには、光に包まれたクランメンバーたちがいた。
ゴードン:レベル27→37
マルコ:レベル23→33
グリム:レベル30→40
1世代弟子全員:レベル24→34
2世代弟子全員:レベル20→30
3世代弟子全員:レベル20→30
「何だこれ...急にレベルが...」ゴードンが驚く。
「パーティーシステムだ」カインが笑った。「影喰らいの王を倒した。その経験値が全員に分配された」
クランメンバーたちが歓声を上げた。
「やったのか...本当に...」
「ああ。世界は、救われた」
数日後、王宮から使者が訪れた。
「国王陛下が、希望の光クランの代表者を召喚する」
カインは冷たく答えた。「断る」
使者が顔色を変える。「王の命令を断るとは...!」
翌日、今度は王族の騎士団が希望の光地区を包囲した。
「クランの武装解除を命じる。これほどの力を民間組織が持つことは、王国への脅威だ」
リーザが冷笑する。「つまり、俺たちが強すぎて怖いと」
「影喰らいの王を倒した英雄を、こう扱うのか」フィンが呆れる。
騎士団長が剣を抜いた。「抵抗すれば、反逆罪で処刑する」
カインが一歩前に出た。
「試してみるか?」
空気が凍りついた。
カインが手を上げた。
「テレキネシス」
瞬間、騎士団全員の腕と足が不自然な方向に曲がった。
ゴキリ、バキリ、メキメキ?
骨が折れる音が連続する。騎士たちが次々と悲鳴を上げて倒れた。
「ぎゃああああ!」
「腕が...足が...!」
百人以上の騎士団が、数秒で全員地面に転がった。致命傷ではないが、戦闘不能だ。
騎士団長も両腕両足を折られ、地面で呻いている。
「王に伝えろ」カインが冷たく言う。「次に手を出せば、殺す」
「這って帰れ」
騎士たちは恐怖に震えながら、骨折した体を引きずって撤退していった。
その夜、王宮で緊急会議が開かれた。
「希望の光クランは危険だ。百人の騎士団が一瞬で無力化された」
「レベル70超えの冒険者が六人...前代未聞だ」
「軍を出すべきだ」
「馬鹿な。影喰らいの王を倒した者たちに勝てるわけがない」
国王は頭を抱えていた。「あの力...もはや一国の軍隊に匹敵する」
一方、希望の光地区では?
「王国から独立するか?」フィンが提案する。
「いや」カインが首を横に振る。「独立国家を作るつもりはない。ただ、干渉されたくないだけだ」
リーザが地図を見る。「このまま対立が続けば、内戦になる」
「ならない」カインが断言した。「王国には、俺たちと戦う力がない」
翌日、国王自らが希望の光地区を訪れた。
護衛なし。王冠も外している。
「話がしたい」
カインが応接室に通す。テーブルを挟んで向かい合った。
「率直に言おう」国王が深く頭を下げた。「私が間違っていた。貴殿らは敵ではない」
「分かっているなら、なぜ騎士団を送った」
「貴族たちが騒いだのだ。希望の光が強くなりすぎて、自分たちの立場が危うい、と」
カインが冷笑する。「つまり、既得権益を守りたいだけか」
「そうだ」国王が苦々しく頷く。「だが、私は理解している。貴殿らがいなければ、この国も影喰らいの王に滅ぼされていた」
「で、何が望みだ」
「共存だ。互いに干渉せず、尊重し合う」
「共存?」カインが笑った。「それだけでは不十分だ」
「では、何を...」




