022
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――今度こそ、
**アカリ**が現れた。
彼は分かっていた。
たった今、俺が見せたあの爆発――
それは俺自身が**限界を超えた瞬間**だったということを。
だが、その代償は大きい。
俺の身体は、
その力に**まだ耐えられていなかった**。
このまま放置すれば――
俺は**確実に殺される**。
だからこそ、
彼は迷わず動いた。
相手は、俺を仕留めようと空中から突っ込んできたが、
その動きが一瞬、止まった。
「……誰だ、お前」
低く唸るような声。
アカリは宙に立ち、静かに答えた。
「俺か?」
「**俺の弟子を殺すことを許さない者だ。**」
相手は怒鳴る。
「失せろ――!」
だが、アカリは一歩も退かない。
彼は、
**空中から手のひらを押し下げた。**
次の瞬間――
**ドンッ!!**
見えない巨大な“手”が、
相手の身体を地面へ叩きつけた。
大地が砕け、
地面が大きく沈み込む。
相手は歯を食いしばり、
全身の力で耐えようとする。
骨が軋み、
筋肉が悲鳴を上げる。
それを見て、
アカリはわずかに目を見開いた。
「ほう……」
「**よく耐えている。**」
そして――
その口元に浮かんだ、**静かな笑み**。
それこそが、最も恐ろしいものだった。
「だがな――
圧は、上からだけじゃない。」
その瞬間――
圧力が、
**四方八方から襲いかかった。**
上。
下。
左右。
逃げ場はない。
身体は限界まで圧縮され――
「――ぐっ!!」
**ブシャッ**
口、鼻、耳から血が噴き出す。
相手はそのまま、
**空中で意識を失った。**
闘技場が、完全に静まり返った。
直後――
**王国親衛隊**が一斉に動き出す。
ここは、
貴族と権力者が集う場所。
守られるべき存在が多すぎる。
そして何より――
**強者が多すぎる。**
簡単には逃げられない。
アカリは周囲を一瞥し、
小さく舌打ちした。
「……面倒だな。」
彼は昔から、
この闘技場が気に入らなかった。
その手から――
**ドォン!!!**
今度は“圧”ではない。
**破壊の暴風**が解き放たれた。
観客席が崩れ、
地面が砕け、
闘技場そのものが**吹き飛ぶ**。
砂煙が空を覆う。
その中で――
金髪の青年が歯噛みする。
「くそ……!」
だがその声は、
風と塵に飲み込まれた。
やがて、煙が晴れる。
そこには――
**アカリの姿はなかった。**
**俺の姿も、なかった。**
残されたのは、
完全に破壊された闘技場と――
人々の心に刻まれた、
**消えない恐怖だけだった。**
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