020
クuroが目を覚ましたとき、
彼は**宙に浮かんでいた**。
体がふわりと軽く、
まるで何か見えない力に支えられているようだった。
背中にはまだ鈍い痛みが残っている。
だが――
それ以外は、**まったく問題ない**。
クuroははっとして、自分の両腕を見た。
確かに、あの時――
必死に攻撃を受け止めたはずだ。
**完全に折れていた。**
それなのに今は、
まるで何事もなかったかのように元通りだった。
「……師匠の魔法、ですか?」
下で腕を組んでいるアカリが、不機嫌そうに答える。
「ああ。」
「だがな……正直、がっかりだ。」
「人様の屋敷に忍び込んで騒ぎを起こし、
挙げ句の果てに半殺しにされるとはな。」
クuroは頭をかきながら、苦笑した。
「だって……気になっちゃって……」
ふと、思い出したように顔を上げる。
「そうだ師匠、
あの時使った技って……重力で相手を吹き飛ばしたんですか?」
アカリは首を横に振った。
「違う。」
「**覇気**だ。」
クuroの目が大きく見開かれる。
「覇気……? 重力と何が違うんですか?」
アカリは空を見上げ、淡々と語った。
「重力は肉体に作用する力だ。」
「だが覇気は――
**相手の細胞一つ一つに干渉する**。」
「自分より弱い者は、
脳が勝手に拒絶反応を起こす。」
「恐怖、生存本能、意志の崩壊――
それらすべてが、戦う意思を否定する。」
「十分な覇気を浴びれば、
魔法すら発動できん。」
「だからあやつは……
和解を選ぶしかなかった。」
クuroは呆然と口を開けた。
「す、すげぇ……
師匠、めちゃくちゃカッコいいじゃないですか!」
そして勢いよく言った。
「じゃあそれ、教えてくださいよ!」
アカリは冷たい視線を向ける。
「……愚か者め。」
「罰だ。」
「今日から、
次の国に着くまで**俺を背負って歩け**。」
クuroは一瞬固まったが――
すぐに満面の笑みを浮かべた。
「それでいいです!」
「でも絶対、覇気は教えてくださいね!」
アカリは小さく鼻を鳴らした。
---
翌日。
アカリはクuroを、まったく別の場所へ連れていった。
巨大な闘技場。
観客の歓声と笑い声。
貴族たちの退屈を満たすための空間。
アカリが言う。
「ここは**金を稼ぐための闘技場**だ。」
「傭兵、冒険者、魔術師……
命を賭けて戦い、
金持ちの娯楽になる。」
彼はクuroを見下ろした。
「お前も出ろ。」
「今のお前が、
どの程度の実力なのか――
確かめる。」
クuroは一切迷わなかった。
その瞳が、静かに燃える。
「……出ます。」
金のためじゃない。
名誉のためでもない。
ただ――
この残酷な世界で、
**自分がどこまで強くなったのか**
知りたかっただけだ。
---




