002
長い時間が過ぎ、
俺が 十四歳 になった頃、
すべてが変わり始めた。
父の仕事はうまくいかなくなり、
家に金は入らなくなった。
父は毎日酒を飲むようになった。
そしてそれと同時に、
父は毎日、
その苛立ちを俺にぶつけるようになった。
理由なんて、必要なかった。
ただ俺が父の前に現れるだけで、
父の目は一瞬で曇った。
まるで俺が、
この家すべてを壊している存在であるかのように。
食事の時間、
俺はもう一緒に座ることを許されなかった。
父は言った。
「そこに立っていろ。」
母は反対しなかった。
ただ黙って、
残り物のご飯、
冷めた汁物、
誰も手をつけなかった料理を
別の茶碗に入れた。
それが、俺の分だった。
俺は一緒に食べられない。
話してはいけない。
音を立ててもいけない。
箸を落とせば、
父は言った。
「縁起が悪い。」
小さく咳をしただけで、
「不吉なやつだ」と言われた。
夜になると、
俺は家の中で眠ることすら許されなかった。
父は言った。
「お前の居場所は、ここじゃない。」
俺は裏にある
古い牛小屋へ追い出された。
もう使われていない、
臭いが染みついたままの場所。
冷たく湿った土の床。
毎晩、俺は体を丸め、
朽ちた板の隙間から吹き込む風の音を聞きながら、
同じことを考えていた。
――俺は、何を間違えたんだ?
ある日、
父は占い師のところへ行った。
帰ってきた父は、
長い間、俺を見つめていた。
その視線に、
背筋が凍った。
父は、はっきりと言った。
「お前は、凶兆だとさ。」
母はうつむいたまま、
何も聞かなかった。
父は続けた。
「でもな、
お前を苦しめるほど、
俺は儲かるらしい。」
「儲かる」という言葉の意味を、
俺はよく分からなかった。
ただ一つ分かったのは、
その日から、
すべてがさらに悪くなったということだけだった。
ある夜、
父は俺を縛り、
地下室に閉じ込めた。
父は言った。
「殺す気はない。
死ぬのは縁起が悪い。」
「ただ、
苦しめたいだけだ。」
三日間、
俺は何も食べさせてもらえなかった。
水もなかった。
喉が焼けるように痛くなった時、
俺は床に顔を近づけ、
家の中に残った
わずかな湿り気を舐めた。
もう、恥ずかしいとは思わなかった。
ただ、生きたかった。
俺に与えられるのは、
残飯、
腐りかけた肉、
誰も見たくないものばかりだった。
父はそれを、
まるで動物に投げ与えるように落とした。
父が賭け事に負けると、
地下室に降りてきた。
言葉は要らなかった。
俺の姿を見るだけで、
父はすべての失敗を俺のせいにした。
「お前が運を壊した。」
その言葉を、
何度も何度も聞くうちに、
俺自身も、
それを信じかけていた。
暗い地下室で、
俺は体を縮め、
自分の呼吸の数を数えていた。
その時、
一つだけ、はっきり分かったことがある。
父は、
俺が悪いから殴るんじゃない。
殴るための理由が、
必要なだけだ。
そして俺は――
その理由として、
一番都合のいい存在だった。
だがその瞬間、
痛みと空腹の中で、
頭に奇妙な考えが浮かんだ。
もし、
俺が本当に凶兆なら――
なぜ、
苦しむのは俺だけなんだ?
その考えは、
まだ反抗にはならなかった。
けれど、
二度と消えることはなかった。




