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018

翌朝、俺が目を覚ましたとき――

そこは見慣れない天井だった。


柔らかいクッション。

高級そうな布の感触。


……服?


俺は自分の体を見下ろして、目を見開いた。


やけに上等な服を着せられている。


そして――

俺は装飾の施された木製の馬車の中にいた。


隣には、何事もなかったかのように座るアカリ。


「……なあ。」


俺が声をかけるより早く、

馬車は止まり、外がざわついた。


「身分証を。」


門の前で、警備兵が低い声で言う。


アカリは何の迷いもなく、

懐から書類を取り出して差し出した。


兵は一瞬だけ目を通し、

すぐに道を開く。


「……どうぞ。」


――え?


俺はまたしても、

理解が追いつかなかった。


馬車が再び動き出す。


御者がちらりとこちらを見て、

不思議そうに尋ねた。


「……失礼ですが、

あなた方は一体……?」


アカリは人差し指を口に当てて、


「シーッ。」


とだけ言った。


「ここは――

ルミナリア。


アステリオン王国の中央都市だ。」


俺は思わず窓から身を乗り出した。


「うわ……!」


目の前に広がるのは、

白い石で舗装された大通り、

魔法結晶を組み込んだ高塔、

空中に浮かぶ魔導灯の列。


――豪華。

――眩しい。

――まるで別世界。


馬車は人目の少ない裏路地へと入る。


次の瞬間――


ボンッ。


視界が歪み、

音も、人も、馬車も、

すべてが霧のように消えた。


「……え?」


俺が呆然としていると、

アカリが平然と言った。


「幻術だ。」


「首都では、

目立つと面倒だからな。」


……この人、

本当に何でもありだ。


まあいい。

凄いなら、素直に楽しい。


俺たちは街を歩き回った。


魔法市場。

空を飛ぶ運搬獣。

意志を持つ魔道具。


どれもこれも新鮮で、

目が追いつかない。


「なあアカリ、

ここに何をしに来たんだ?」


俺が聞くと、

彼は一瞬だけ不機嫌そうにして、


「……来たかったからだ。」


「理由がいるか?」


……なんだそれ。


正直、

殴りたくなった。


だが、ここで俺は

この街の名物料理を口にした。


――星骨スープ。


淡く光るスープに、

魔獣の骨から取った出汁。

飲んだ瞬間、

体の奥がじんわりと温まる。


「……うま。」


夕暮れの冷えた空気と相まって、

最高の気分だった。


その時――


俺は、

見覚えのある姿を見つけた。


「……ナオミ?」


彼女は、

一台の紋章付き馬車に乗っていた。


明らかに、

庶民のものではない。


「なんで……?」


気になって、

俺は無意識に後を追っていた。


――理由?


……正直に言う。


可愛いから。

それだけだ。


だが馬車はどんどん速度を上げる。


俺は人混みに紛れ、

物陰に隠れ、

必死についていった。


息が上がる。

脚が痛い。


――その途中で。


俺は、

ある異変に気づいた。


(……おかしい。)


その馬車――

向かっている場所が、

どう考えても普通じゃない。


そして俺は、

決定的なものを――


――見てしまった。


(……え?)


その瞬間、

背筋が凍りついた。

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