011
こうして俺とアカリは、
必死に――
いや、笑いながら走った。
足がもつれるほど全力で、
息が切れるほど走って、
それでも笑いが止まらなかった。
アカリは走りながら叫んだ。
「よくやったな、坊主!」
「男ってのは、
ああやって強くなるもんだ。」
正直、
なんだか悪いことを教えられている気もしたけど……
まあ、楽しいからいい。
俺はアカリの後を追いながら、
気になって聞いた。
「なあ、アカリ。」
「次は……どこへ行くんだ?」
アカリは立ち止まり、
懐から一枚の地図を取り出して、
俺に放り投げた。
「これだ。」
「これは――
この国、アステリオンの地図だ。」
俺は受け取って、広げた。
「俺たちは今、
アステリオンのスラム街にいる。」
アカリはそう言って続けた。
「だから環境は最悪だし、
ここに住む人間の知識も限られている。」
俺は初めて、
こんなにも真剣に地図を見つめた。
そして思わず言った。
「でも……
このスラム、でかすぎないか?」
「普通の街より、
ずっと大きく見えるけど。」
「結局……
俺たちはどこにいるんだ?」
アカリは地図の一点を指差した。
「ここだ。」
次に、指をすっと滑らせる。
「そして、
俺たちはここへ向かう。」
「二つの区域を分ける――
壁のところだ。」
「夜に越える。」
その言葉を聞いて、
心臓がドクンと跳ねた。
地図を見ているだけなのに、
胸が高鳴る。
さらにアカリは、
もう一枚の地図を取り出した。
「こっちは――
世界地図だ。」
彼は、海沿いに細長く伸びる土地を指した。
「ここが、アステリオン。」
俺は思わず声を上げた。
「え……?」
「さっきの地図だと小さかったのに、
ここだと、こんなに大きいのか?」
アカリは腹を抱えて笑った。
「はははっ!」
「ほんと、
何も知らないガキだな。」
そして俺の頭に手を置いて言った。
「世界はな、
とてつもなく広いんだ。」
「俺たちはただの――
砂漠の中の一粒の砂にすぎない。」
俺は唾を飲み込んだ。
そして、
次々に地図を指差す。
「じゃあ、ここは?」
「ここは?」
「こっちは何?」
アカリは一つ一つ、
丁寧に答えてくれた。
「ここは巨人族の島。
数々の武勇伝が残る場所だ。」
「ここは竜の国。」
「この地域は、
人間と竜が共に生きる土地。」
「ここは多種族の領域。」
「これは氷の大陸。」
「こっちは光の大陸。」
そして最後に、
他とは違う印が付けられた場所を指した。
「ここが――
神の領域だ。」
その一言一言が、
俺の中に火を灯した。
好奇心の火。
渇望の火。
まだ見ぬ世界への火。
俺は確信した。
この瞬間から――
俺の人生は、
もう二度と、
元の道には戻らない。




