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破滅より王子の溺愛が脅威なんですが!?  作者: ささい


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不適格な婚約者


王宮の一室に、三人の貴族が集まっていた。


「さて、状況を整理しよう」


アルフレイドが口火を切った。


「セシリア・フォン・リヒトヴェルトは王宮を離れた。

 レヴィーナ王女殿下は順調に貴族たちの支持を集めている。

 あとは、王太子殿下に決断していただくだけだ」


決断、ね。とエドウィンは渋い顔を見せた。

王女との面会を早々に切り上げた王太子を見た限りでは

ご決断いただくのは相当、骨が折れそうだ。


「あの方が意思を曲げるとは思えないが?」


「だからこそ、圧力が必要なのさ」


リシャールが穏やかな笑みを浮かべた。


「貴族たちの連名での上奏。『国益のために婚約の見直しを』とね。

 もう三十名以上の賛同を得ている。

 そしてもう一押し。セシリア様の評判を落とす必要がある。

 『不適格な婚約者』という空気を作れたら、あとは王女殿下の思うまま」


「その点は順調だよ」と、エドウィンが軽く手を振った。


「下級使用人たちの間で、既に噂は広まっている。

 『セシリア様は王太子殿下に見限られた』

 『私情ばかりで国益を考えない』

 『リヒトヴェルト家は王室に相応しくない』……とね」


エドウィンの言葉にリシャールが眉を寄せた。


「問題はリヒトヴェルト公爵家をどう抑えるか、か。

 三大公爵家の一つ。下手に動けばこちらが不利になる」


「大丈夫さ」


アルフレイドは自信ありげに答えた。


「セシリア様は既に王宮を離れている。

 公爵家がどれほど力を持とうと、不在の令嬢を擁護するのは難しい」


王宮の一室に、三人の貴族が集まっていた。


アルフレイド・レグナント、エドウィン・アレシュフォード、リシャール・エルロイ。


「さて、状況を整理しよう」


アルフレイドが口火を切った。

セシリアは王宮を離れ、レヴィーナ王女は順調に貴族たちの支持を集めている。

あとは王太子殿下に決断していただくだけだ、と。


「決断、ね」


エドウィンが飄々と笑う。


「あの方が折れるとは思えないが?」


「だからこそ、圧力が必要なのさ」


穏やかな笑みを浮かべ、リシャールは報告書をアルフレイドに渡す。

貴族たちの連名での上奏準備は順調。

既に三十名以上の賛同を得ているという。


「それだけでは足りない」


アルフレイドの声は冷たかった。

セシリアの評判を落とし、『不適格な婚約者』という空気を作る必要がある。


「その点は順調だよ」と、エドウィンは軽く手を振った。


下級使用人たちの間で、噂は既に広まっている。

王太子殿下に見限られた。

私情ばかりで国益を考えない。

リヒトヴェルト家は王室に相応しくない――。


「問題は、リヒトヴェルト公爵家がどう出るか、だな」


リシャールが眉を寄せた。三大公爵家の一つ、下手に動けばこちらが不利になる。


「大丈夫さ。セシリア様は既に王宮を離れている。

 公爵家がどれほど力を持とうと、不在の令嬢を擁護するのは難しい」


アルフレイドは自信ありげに答えた。


その時、扉がノックされた。

三人は顔を見合わせる。


入ってきたのは、セルヴァン・オルディアス。

宰相補佐室から王太子補佐へ出向してきた、侯爵家嫡男だ。


「おや、セルヴァン。君も我々に参加するのかい?」


エドウィンが軽く手を振ると、セルヴァンは部屋の中央まで歩み寄り、静かに首を横に振った。

様子を見に来ただけだと答える彼に、アルフレイドが鋭い視線を向ける。


「君は、どちらにつくつもりだ?」


「……まだ決めていない」


セルヴァンは三人を見回しながら、慎重に言葉を選んだ。

レヴィーナ王女殿下は確かに魅力的で、同盟強化という点でも理にかなっている。

だが、と彼は一度言葉を切り、窓の外を見た。


「セシリア様を排除することが本当に正しいのか……」


リシャールが立ち上がり、セルヴァンに近づく。

穏やかな笑みを浮かべたまま、低い声で告げた。


「正しいかどうかではなく、国益だよ。我々は私情で動いているわけではない。

 ルーンフェルド王国の未来のために、最善の選択をしているだけだ」


セルヴァンは表情を変えず、三人を冷めた瞳で見回すと、踵を返した。

失礼すると一言だけ残して、扉を閉める。


静かに閉まる音が、部屋に響いた。


「……あいつ、邪魔にならなければいいが」


アルフレイドが低く呟いた。


「大丈夫だろう」


エドウィンは飄々と笑う。


「彼は慎重だからね。反対はしないさ」



その頃、王宮の庭園をレヴィーナは散策していた。

近衛騎士フェルミオ・レンベルドを連れて。


「フェルミオ様、この花は何という名前ですの?」


レヴィーナが無邪気に尋ねると、フェルミオは丁寧に説明する。

だが、その表情はどこか上の空だった。


「フェルミオ様?」


不思議そうに見つめるレヴィーナにフェルミオは考え事をしていたと謝った。

彼女は少し躊躇ってから、もしかしてセシリア様のことかと小さな声で尋ねる。

周囲から、フェルミオがセシリアに好感を抱いていると聞いたという。


「レヴィーナ王女殿下は、王太子殿下とセシリア様が婚約を解消されることを

 心からお望みですか?」


フェルミオの問いに戸惑いを見せながらも、少し考える時間を置いておずおずと頷いた。


「望んでというか……国益のためには、わたしが殿下の婚約者になる方が良いって。

 これって、正しいことなんですよね?」


「……国益、ですか」


フェルミオは複雑な表情を浮かべた。

レヴィーナは、教え込まれた言葉をそのまま、曇りのない瞳で語る。

この国が好きになったから、力になりたい、そう屈託なく告げるのだった。

その純粋な瞳を見て、フェルミオは胸が痛んだ。

苦々しい思いで重くなった口を開く。


「王女殿下」


「はい?」


「もし、誰かが嘘をついていたら……どうされますか?」


「嘘?」


レヴィーナは不思議そうに首を傾げた。


「皆様、とても親切にしてくださいますわ。

 嘘なんて、つくはずがありませんもの」


フェルミオは何も言えなかった。



その夜、王太子の執務室。

ラスティエルは窓の外を見つめていた。


「殿下、本日の報告書です」


テオドールが差し出した書類には、貴族たちの動きが記されている。

アルフレイド、エドウィン、リシャールの三名を中心とした上奏準備。

広がり続けるセシリアについての噂。


「証拠を集めろ、テオ」


ラスティエルの目が鋭くなった。


「あいつらが何をしているのか、全て洗い出せ。

 噂を流した者、買収した使用人、全部だ」


「かしこまりました」


テオドールが一礼して退室する。


一人残されたラスティエルは、再び窓の外を見つめた。

セシリアのいる方角を。


手を伸ばしても、届かない距離。


王宮に渦巻く陰謀も、貴族たちの圧力も、

全てが二人の間に割って入ろうとしている。


だが、俺は諦めない。君だけは、絶対に手放さない。




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