俺の世界はこの世界
りんご食べたらくそ不味くて、吐きそうになった。
いま腹痛。恨みを込めて
「おはようございますー!」
俺は大通りを歩きながら、知り合いの商人に声をかけていく。
「おはよう、今日はいいアポーが入ってるよ」
アポーか。所謂、アップルのことだ。
「じゃあ一個買っていこうかな」
そういうと、俺は財布から数枚のコインを出し、アポーを受け取った。
「毎度ありー」
そう言う友の声を聞きながら、俺は早速アポーにかぶりつく。
「うん、美味い。食感と味が再現されてる……さすがリアライ」
――そう、ここはVRMMOゲーム、「リアルライフ・オンライン」、通称リアライの世界だ。
そんな世界で、俺は毎日暮らしている。
食事をするのも。
寝るのも。
トイレに行くのだって――ここだ。
え?
たまには現実に戻れって?
――いやいや、そんなことするわけないじゃん。
よく考えてみなよ。
ここを出たら、現実だぞ?
そんな地獄にわざわざ出る必要ないだろ?
まぁ、だから俺はここにいるってわけさ。
――右上に赤く光る「ログアウト」の文字。
それを押すものは誰もいない。