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始まりの魔法陣

続きです。

「ダンジョンマスター…!?」


俺がそう言うと、どこからか声がした。

その声はどこか機械的で、けれど不思議と威圧感のある声だった。


《はい、あなたはこのダンジョンの支配者となりました》

《以後の管理・構築・防衛は、あなたの意志に委ねられます》


「は? 何言って──」


《なお、このメッセージは初期起動時のみ再生されます。以後の詳細操作はマスター権限下で自由に行ってください。健闘を祈ります──》


その声が消えると同時に俺の目の前に半透明な板が現れた。その板にはダンジョンマスターの説明と今後どのようなことをすればよいのかが書かれていた。このダンジョンは、あと10日で地上に姿を現す──

しかも出現場所は、俺の住んでいる地域の中心。

つまり、俺が生きるためには、それまでにこのダンジョンを"完成させる"必要がある。俺の家はそのダンジョンと繋がっていて俺の家からダンジョンへ、ダンジョンから家へ行くことが可能と書かれていた。また、この移動ができるのは俺だけらしい。


「なるほど…」


俺はその板に書かれていることを理解した。そしてこのダンジョンを攻略されてはいけないという事も…このダンジョンの最終ボスが倒されると、このダンジョンは崩壊する。その最後のボスが俺だ…つまり、このダンジョンが攻略されると俺が死ぬということだ。まぁ、今までで攻略されたダンジョンは日本国内にある100数箇所のうち3箇所くらいだが───

この板に書かれているのはこれくらいだ。一つ気になることがあるとすればボス級やそれに近い魔物の召喚方法がガチャだったことだ。レア度が高い魔物はガチャからでるらしく、そのガチャは星5初回確定無料ガチャと書かれている。何が出るのか分からないが無料なら引いてみるしかない。


「いっけーー!!」


ガチャを引くと目の前に魔法陣が現れ、虹色の光が爆ぜる。そして、光の粒子が魔法陣の上に集まり色付いていく。そこに現れたのはひとりの少女だった。

金色の長い髪がふわりと揺れ、蒼い瞳が静かに俺を見つめてくる。背中には純白の羽がうっすらと揺れていた。それでいて白を基調とした神聖さを感じさせる衣服。思わず見惚れてしまう容姿。その神々しいまでの姿に俺は言葉を失った。まるで神話の世界から抜け出してきたようなその少女は、ゆっくりとこちらに歩み寄ってくる。


「召喚、完了。……マスター、確認。あなたが……私の主?」


その声は透き通るように美しく、どこか儚げだった。けれど、視線はまっすぐで揺るぎない。


「あ、ああ……たぶん、俺だ」


口では間の抜けたことを言っていたが、心の中ではもう確信していた。

この少女、明らかに“ただの魔物”じゃない。

星5ガチャ、その中でも──"別格"だと俺の勘が告げていた。


「……私は"メタトロン"。このダンジョンにおける守護の役割を担う存在。マスターの命令には従う。でも、命令しすぎるのは禁止」


「え、禁止ってどういうこと……?」


「過度な指示、ストレスになるから。適度に、甘やかしてくれたら……働く気、出るかも」


そう言って、彼女はそっぽを向いた。けれどその耳元は、うっすらと赤く染まっていた。

(なんだこのギャップ……)

どう見ても真面目な天使系美少女が、軽くツンとしたかと思えばほんのり甘えてくる。まさかこんなタイプのキャラが出るとは。


「とりあえず、名前で呼んで」


「え、メタトロンじゃなくて?」


「長い。呼びにくい。……"メト"でいい」


なんか色々予想外だけど──この娘が、俺の最初の仲間か。このダンジョンを完成させるための、最初で最強の一手。


「分かった、よろしくなメト。」


「……うん。任せて、マスター」


彼女が微かに微笑んだ瞬間、ふわりと光が舞い上がった。

まだ何も始まっていないのに、妙な安心感が俺の胸に広がっていく。だがこの先には、きっと容赦のない現実が待っている──。

──まずは、このダンジョンを"完成"させなければ。

次回もよろしくお願いします!

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