魔王とは 3015年
詩的な表現を目指して句読点を使用していません
魔王という存在がある
混沌から生まれると説く人もいる
歴史に何度か登場している
魔王に良心は無い
有るのは際限の無い欲望
他者の不幸こそが悦び
ある魔王は国を支配し
またある魔王は単独で破壊の限りを尽くした
だが何もしない様に見える魔王も居る
幸いなことに過去の魔王は皆消滅した
勇者に敗れ消えるもの
人知れず消えるもの
魔王の存在は察知できる
ひとつは神託
ひとつは強者としての共感
ある日神託が下った
魔王降臨
映像球の普及は全世界を同時に恐怖に陥れた
あらゆる活動が滞り経済は破綻した
だが魔王は姿を現さない
見えない恐怖は人々を分断した
魔王を倒す力を欲する者
誰かを魔王に決めつける者
魔王は存在しないという者
何も起こらない数年で人々は魔王を恐れなくなった
それこそが魔王の狙いとの推測もあった
魔王はどこにいるのか
魔王はある国の王宮にいる
その国では各国首脳が集まる魔王対策会議が開かれる
魔王は暗い欲望を悟られることなく料理人として働いていた
魔王とは
他者の不幸を悦ぶもの
より多くの不幸を望むもの
直接の描写が無くても先を想像することで不幸な結末を感じて頂くのが本作の狙いです