日記風でお届け2
10月の始め頃、市内の心療内科に入院をした。
数日は個室の部屋にこもり、ベッドに横になって天井を見て、襲いかかる嫌なこと、不安なことで涙を流す。
朝、昼の食事のあと、散歩をするようになり、生活サイクルを通常モードに戻すよう努力するようになる。
と言うのも、担当看護師(男性)に
「部屋に籠りっぱなしじゃなくて、散歩したり、読書したり、退院後のしたいこと、欲しいものなんかを考えて頭を楽にしてあげて下さい」
と言われたからなのだ。
つまり、現実逃避して脳を休ませてあげようねってことなんだけど、入院時の回復目標は脳の疲労を取り、一般的な生活習慣(睡眠)を身につけ、やる気(意欲)向上であった。
自分が入院していた病棟は、色々な年齢、症状をもった患者さんがいた。
うつ病、ギャンブル中毒、アルコール中毒、自閉症、統合失調症等々…。
入院中一番辛かったのは幻覚、幻聴が聞こえて大きな声で唸るお爺さんだ。昼間ならまだガマンもしようが、皆が寝しづ待った夜中に唸り始めるからたまったもんじゃなかった。
睡眠をしっかり取ってうつ病を早く治したいのに、思わぬ弊害がたちふだかったのだ。
ただこのお爺さんは他の患者からも苦情が上がっていたらしく、しばらくの後に自分のいる病棟から他所へ移って行った。民意が届いたのだ。
その日から静かに眠れる夜のなんと、すばらしことかと、噛み締めながら眠った。
あまり不安なことを、考えないようになってきたころ、担当の医師の薦めで作業療法としてパズルを作る時間が毎日1時間ほど加わるようになった。
子供の頃以来で少しワクワクして取り組んでみたのだが、300ピースのパズルがなかなか難しい。
うつ病の恐いところは思考力や集中力が、鈍くなるところだと自分はこの時改めて感じた。
少しずつ回りの患者達と打ち解け、一緒にテレビを見るようにまでなった頃、退院日が決まった。
やはり退院後に対して不安がよぎり、気分が落ち込み気味になった。
退院後も自宅療養を継続とのことで、入院前のようにアパートに引きこもり過ぎないよう気を付けようと思い、11月下旬に私は退院した。