王様が側妃を迎えると言った
キーワードでオチが丸見えな気がする今日この頃いかがお過ごしでしょうか
なんとなく思いつきで書きたいところだけ書いたシリーズ(オ
「君には内緒にしていたが、今日から側妃を迎える」
十代で即位した若き国王アルフォンス = フロストが第一子誕生からしばらくして落ち着いた頃、ローナ王妃にそう告げた。
ここは国王の執務室。大きな窓の前に立派な執務机があり、部屋の左右は書棚で埋められ、執務机の前にはソファーとローテーブルが置かれている。
執務机に向かったままソファーに座った王妃に話しかけたのだ。
「左様ですか」
ティーカップを手にしたまま素っ気ない態度で王妃が応える。
彼女は有力な公爵家の出であり、見た目は絶世の美女で礼儀作法も完璧、執務もそれこそ国王と比べても遜色ないほどにこなす家柄的にも能力的にも王妃になるべくして生まれてきたような女性だが、それ以前に王太子時代の国王が惚れ込んで熱烈に求婚したのだった。
流石の陛下も我慢できなくなったのかしら…
国王も学園時代から文武両道かつ見た目も整った完璧王子で、即位前からいくつもの功績を上げている。正義感が強く優しさもある性格もあって誰からも好かれる国王だが、王妃を溺愛していたため、これまでは浮気の噂らしきものすら無かったのだ。
「うむ、やはり嫉妬はしてくれないのだな」
「申し訳ありません」
残念そうな国王に他所行きの笑顔で応える。
「悔しいがはじめからそう言う話で来てもらっているからやむを得ないか。君の心を掴めなかった自分の不甲斐なさを呪う事にするよ」
「…」
国王の呟きに返す言葉がない王妃が黙っていると、国王がドアの前に控えているメイドに目で合図を送る。一度小さくドアを開いて外に声をかけた後、ドアを開いて1人の人物を招き入れた。
「彼女が今日から側妃になるマリーナだ」
「え?!」
国王に促されて、常に淑女の鑑と言われる笑顔を保っていた王妃が驚愕に顔を歪めて、振り向いた。
「な、なぜ?…」
「お久しぶりです。ローナ様」
目をまん丸にしている王妃にマリーナと呼ばれた女性が挨拶した。
「ど、どう言う事ですか?!」
ソファーから立ち上がった王妃が国王の執務机の前に詰め寄る。
初めて見るローナの様子に国王は複雑な表情だ。
「だから、彼女が今日から君の側妃になると言っているんだ」
「は?」
王妃は同性愛者だった。
そしてマリーナは学生時代に愛し合った女性であった。ローナ王妃は小さな頃から貴族の娘として家が決めた相手に嫁ぐことが当然として育てられていたため、マリーナとの関係は学生時代の思い出として心に閉まっていたのだった。
「さすがに初めから彼女に来てもらうのは私のプライドが許さなかったから待ってもらっていたが、残念な事に君の心を掴む事はできそうもないと言う結論に達した。本当に不甲斐ない…」
「いえ、その、すみません」
いつもは常に冷静で笑顔を絶やさない王妃が狼狽ていた。
「一応、表向きは私の側妃と言う事になっているから、臥所を共にしてもらう必要はあるがそれは勘弁して欲しい」
「え?マリーナはそれで良いの」
「はい、ローナ様と一緒に居るためならその程度。このような機会を作っていただけなければ私も貴族の娘として顔も知らない殿方のもとで子を成していたわけですしね。と言うか、ローナ様が使った竿ならある意味ローナ様とセックスしていると言っても過言ではないのでは?」
「過言ですよ…」
そう言いつつ国王と2人の時には見せたことのない微笑みを浮かべているのだった。
「私が君に惚れていると言うのもあるが、君の能力を失うのはあまりにも惜しい。それに君たちだけで一緒になって暮らすという事も難しいことを考えれば妥当な線ではないかと思うのだがどうだろうか」
「ご配慮感謝いたしますわ」
王妃と第二妃との2人同時に寝室に招くちょっと変わった趣味の王様と言う噂が流れるのは少し先のことだった。
一応、ちゃんと子供も結構な人数出来る事になりますが、なんとなくかわいそうかもしれないこの王様…
愛はないかもしれないけど、2人ともまあ普通の夫人並には奥さんする設定(