7.私、9歳になりました
時が経つのは早いもので、私は9歳になっていた。
ユーリと別れてからの3年間は短いようで長かった。
私はこの3年間でだいぶ変わった…と思う。
以前ほどお転婆ではなくなり、外を駆け回るということはしなくなった。
まぁユーリ以外の友達がいないから遊び相手がいなくなったというのもあるけど。
その代わり本をよく読むようになり、まだ学校には行っていないが、父から勉強を教えてもらうようになった。
前世では嫌いだった勉強も、2度目の人生ともなればその重要性は十分に理解しているつもりだ。
賢いに越したことはない。
一般教養はそのおかげかだいぶ身についたように思える。
そして私はこの先、生きていくに必須な魔法の勉強も始めようと思っていた。
1人になったし、勉強する絶好のチャンスだ!と意気込んだはいいものの、この計画は結局、早々に頓挫した。
理由は2つ。
1つは魔法関連の書物の閲覧が15歳以下は禁止されているということ。
この国では14歳になった年に、国民全員が魔力保持検査を行う。
これは例外なく全員が行うものだ。
検査により魔力が少しでもあると判断されたものは魔法学校へ、無いと判断されたものは高等学校へと進学する決まりとなっている。
魔法学校に入学し、3年間全寮制の学校でみっちりと魔法の扱い方や制御方法などの基礎を学ぶ。
それまでは基本大人たちは子供を魔法から遠ざけようとする。
下手に書物を読んで憧れを抱き、それを実施なんてしたら大事故につながってしまうのが理由のようだ。
実際、子供の好奇心は侮れない。
貴族なら家にある本を、人目を盗んで閲覧する…とか可能なのかも知れないけど、ここは平民の街。
魔法書のある開架室への出入り口では司書さんが目を光らせていて子供は入れないようになっている。
このことから、本から学ぶことは諦めた。
ただ、そんなことで諦めちゃうシャルロットちゃんではありません。
人目のつかない家の裏の森で、自分で訓練すればいいじゃん!
私の能力は人を傷つけるものでもないし。
そう思って意気込んで森へ行ったが、ここで私は重大なことに気が付いた。
私の能力は自分の傷や病気は治せない。
人のものしか治療できない。
つまり相手がいないと成り立たない魔法なのだ。
これじゃあなにも訓練ができない。
この森は人はおろか、動物1匹すら近寄らない。
これが2つ目の理由だ。
こんな感じで私は3年間魔法を訓練することができなかった。
普段の生活の中で魔法が発動しそうな気配も全くなかった。
そもそもゲームでも、私が攻略した範囲ではヒロインがいつから魔法を使えるようになったは明言されていなかった。
もしかしたら14歳の魔力検査でわかったとかそういうパターンだったり、魔法の発動自体は学校に通い始めてからだったりとかしたのかもしれない。
でもそんな悠長なことは言っていられない。
今、私は9歳。
この年は両親が病にかかって亡くなってしまう年である。
具体的にいつとはわからないからこの1年は気が抜けない。
両親は本当に優しく、たくさんの愛情を私に注いでくれた。
ゲームの登場人物だとか、未来がどうとかの問題ではなく、私は純粋に両親を亡くしたくない。
絶対に死なせたりなんかしない…!
具体的な解決策は見つかっていないけど、ヒロインの名に懸けて救ってみせる!
私は決意を新たに、何とかヒントを見つけようと、幾度となく通う街の図書館へと向かった。