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異世界労働戦記☆スキル×レベル☆生産者ケンタ  作者: のきび
1章 変態紳士二度目の異世界転移
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記憶喪失万能説

 俺はギルドのスイングドアを勢いよく開けた。しかし、そこにはヤサグレ者の姿などどこにもなく、ただ受付の女性がポカーンと俺を見ていた。


「痛いのです」

 クニャラが俺の背中をドンと叩く。どうやら勢いよく開けたスイングドアは後から入ってきたクニャラの(ひたい)を直撃したらしい。


「ご、ごめん」

 俺は額を赤くしたクニャラのかわいいおでこに、痛いの痛いの飛んでいけ~と言って傷を癒した。いや癒せてないけど。


「それはなんです?」


「俺の故郷の痛みをなくす呪文なんだ」


「確かに少し痛みが引きましたです」

 ……効果はあったようだ。


「なんだい、あんたは?」

 受付の女性が俺の目の前に立ち上から覗きこむ。デカイ!2m以上あるんじゃないかこれ。めちゃくちゃ美人だが。


「ゴメスさん、この方はギルドに新しくこられた()ぎ師のかただそうです」

 レオナが受付の……。え? ゴメス? この人が? 俺はすぐさまゴメス宛の紹介状を目の前の女性に渡した。もちろん礼儀正しく名刺交換をするかのように、お辞儀は45°で。

 渡された手紙を読んだゴメスは待ってたよと言い、俺の背中をバシバシと叩く。痛い……。

「私はこのギルドを管理してるサラ・ゴメスティリス・バラドンナ来やすくゴメスって呼んでくれ」

 まじでこの人がゴメスだったのかよ! いかついオヤジ想像してたわ! なんでゴメスで略すかな、普通にサラで訳せば良いじゃない、それが良いじゃない。


「サラさんじゃダメなんですか?」


「ん? あたしの男になるならそれで良いよ?」

 そう言うと俺のアゴをクイっとあげる。ガクガク犯される……。童貞ちゃうけど純潔(じゅんけつ)を奪われる。この人怖い。


「ゴメスはくそったれの巨人族なのです」

 そう言うとクニャラはゴメスの足を蹴る。急に狂暴になったなどうしたクニャラ。


「こら~クニャラ。ギルドの管理者に向かってくそったれはないだろ? それに蹴るんじゃないと何度もいってるだろ?」

 そう言うとゴメスはクニャラの襟首をつかみひょいっと持ち上げると自分の肩に乗せる。


「離すのですバカ巨人!」

「ハハハハ」


「小人族には巨人族が自分達の身長を奪ったと言う伝承があり、巨人族を嫌っているんですよ。でも巨人族はそんな小人族をかわいいと思っているので、あんな(いびつ)な関係なんです」

 そう言うイオナはクスクスと笑う。


「それじゃあ、ついておいで。あんたの家に案内してやるよ」ゴメスはクニャラを肩にに乗せたままギルドの外に出る。もちろん出るときにクニャラは壁に頭を打ち付けた。


「このバカ巨人!」

 そう言うとゴメスの頭をポカポカ叩くが、ゴメスは痛くもかゆくもないようでハハハと笑ってやり過ごす。


 しばらくあるくと二階建ての、わりと大きめの家の前についた。

「ここが今日からあんたが住む場所だよ、掃除はしてあるから自由に使いな」

 玄関を開けなかを見ると、ちゃんと綺麗にされており空家特有の嫌な臭いはない。

「ありがとうございます」

 俺はお礼を言うと家の中に入った、入り口は広く元々店舗だったようで棚が何個か置いてある。

 奥には炉や金槌が何本かあり、前の持ち主の置き土産のようだ。死んだ人が使ってた道具って微妙に使いづらいよな。良いのかな?


 俺はその立て掛けてあった金槌を手に取った。

◎細工師の金槌 11/100

・包丁

・ナイフ


魔改造(チューニング)

 ◎素材

 ・なし

 ◎能力付与

 ・切れ味増強+10

 ・攻撃力UP+100%

 ・防御力UP+100%

 ・ets


 うーん、細工系のスキルも使えるのか。そして魔改造。ナイフやフォークを最強武器に……いやいや、面白そうではあるが元々の攻撃力が低いから最強は無理だろうな。

 俺は炉に火を入れると置いてあった鉄のインゴットを手に取り包丁を作った。


◎包丁10000/10000

・攻撃力UP+100%

 ◎素材

 ・なし

 ◎料理

 ・ステーキ

 ・パン

 ・スープ


 包丁に攻撃力UPいらないよね? バカなのかな? そして作れる料理は三つか少ないなエルダートレイン時代には1000以上の料理が作れたと言うのに。鍛冶屋のハンマーでも細工師の金槌でもそうだけど、作れるものが少なすぎる。これはレベルが1なせいかもしれない。レベルをあげれば作れるものが増える? でもそのためには戦闘必須のようだし。俺には無理かな。


「おお! ケンタは細工師からのジョブチェンジ者なのか?」

 俺が包丁を作るのを見てゴメスはジョブチェンジ者かと言う。これは有力な情報だぞつまり職業を変えることができる。そして前職の能力は消えないと言うことだな。


「ええ、そうなんですよ。ただLV1で転職したので包丁とナイフ位しか作れませんが」


「ん?ジョブチェンジはレベル10からだぞそんなわけ無いだろ」

 まじか、これはしくじりましたわ。ええとなにか上手い良いわけを。


「ええ、実は記憶喪失で、なぜこうなのかよく分からないんですよ」

 はい、来ました記憶喪失、記憶喪失があればなんでもできる。なんでもごまかせるイエス!記憶喪失、レッツ!記憶喪失。

「そうか苦労したんだな」

 そう言ってゴメスは目頭をぬぐう。ゴメスが単純なのか記憶喪失が日常的にある世界なのか、マジで記憶喪失万能説あるな。


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