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異世界労働戦記☆スキル×レベル☆生産者ケンタ  作者: のきび
1章 変態紳士二度目の異世界転移
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サバラの町のおじじ

 これはダメだろ、魔法ダメージ+50%なんて自分が強くなったように錯覚するレベルだぞ。俺はそれを破棄しようと両端に手をかけ太ももで折ろうとしたが。クニャラが俺から引ったくるように杖を取った。


「この杖は良いものです」


「いや、それは失敗だから」


「これで良いのです。いいえ、これが良いのです」

 クニャラは木の杖を抱き締めて俺を上目使いに見る。この子、自分がかわいいの分かってて計算してやってるよね?

 ウルウルと涙目になったクニャラからは、この杖は絶対に渡しませんよと言う強い意思を感じた。


「分かった、ただその杖を使って強くなったとしても、その杖の力だからうぬぼれちゃダメだぞ?」


「はいです!」

 そう言うとクニャラは満面の笑みを見せる。守りたいこの笑顔。まあ、レオナよりも年上だそうだし。自惚れるようなこともないだろう? 俺はクニャラの頭をガシガシと撫でた。


「子供扱いはやめるのです!」

 そう言うと俺の腕を払った。くそええやんか、ええやんか。頭なでるくらいええやんか!

 俺が少しふてくされると、たまに撫でさせてあげますですと言いそっぽを向いた。お? デレ期か? さすがにデレるのはおじさん早いと思うの?

 そんな俺たちを見ていたレオナは自分の頭を差し出し、どうぞと言う。

 うむ据え膳食わねば武士の恥。ありがたく撫でさせていただこう。

 俺は猫を撫でるようにレオナの頭を撫でた。


「さっきの私の頭を撫でるときと違うのですよ?」


「いや、あれはクニャラが可愛かったからガシガシしちゃったんだよ」


「そ、そうですか、なら良いです」

 そう言うとクニャラは後ろの方にちょこんと座る。「クニャラその位置だと揺れが直接来るからもう少し前に来た方が良いよ」

 クニャラは呼び捨てですかと言い、少し前の方に座った。

「私も呼び捨てでお願いします!」レオナはそう言うと、手を離した俺の腕をまた自分の頭に乗せる。

 女の子は頭を撫でられるのが好きと言うけどこれは異常だな。もしかしたら、この世界の女の子は地球の女の子よりもさらに頭を撫でられるのが好きなのかもしれない。

 まあ、地球の女の子はただしイケメンに限るだからな、俺には関係の無い話だ。


「ケンタさんは鍛冶屋を開くです?」


「一応そのつもりだよ、ただ住むところを見てみないと分からないけど」


「あれ、でもなんで鍛冶屋さんが杖を作れたんですか?」

 レオナは気づいてはいけないことに気がついてしまったようだ。おや君の後ろに黒づくめの男達が……なんて事はなく。ああ、どうしよう。うまい良いわけが見つからないな。


「なんか、できちゃった系な? 感じ?」

 おれがそう言うとレオナはなんですかそれと笑う。それで話がそれたのか別な話題になり、俺の年齢や出身地の話になったが記憶喪失でよく分からないと言うありきたりな設定を使わせてもらった。


「俺は記憶を取り戻す旅に出たんだよ?」


「え、じゃあこの町からすぐいなくなるんですか!?」


「え? 定住するつもりだよ?」


「え? あ、はい……」

 レオナは首をかしげて俺を見る。うん大丈夫、俺も今なにいってるのか良くわからなかったから。

「もしよければレベルあげの魔物狩り、お手伝いしましょうか?」

 レオナはおれがレベル1なのを心配してか、レベルあげを手伝うと言う。

「うーん、魔物は怖いから良いかな」俺はこう見えても、めちゃ怖がりで痛がりなのだ。回服薬があったって、重装甲な鎧があったって、屈強な盾があったって、できれば戦いはごめん被りたい。


「ダンナ、町が見えて気やしたぜぇ」

 俺は前の方に移動すると、御者の指差す方を見た。その町は2m程の木板で囲まれており城塞と呼ぶには貧弱な壁で取り囲まれていた。


「あんな板塀(いたべい)で魔物の進行を止められるの?」


「いやですぜぇダンナ、ここら辺はレッサーゴブリンしか出ないんって言ったじゃないですかい」

「ああ、そうだったな。レッサーゴブリンならあんな板塀(いたべい)でも大丈夫なのか」


 町の入り口には守衛が立っており、鍛冶屋のギルドカードを見せると喜んで迎え入れてくれた。

「見よこの槍、さすがにレッサーゴブリンも殺せるか怪しいぞ」

 そう言うと、俺に矛先を向けガハハと老兵が笑うので、袋から砥石をだしその場で研いであげた。

「これはお近づきのサービスです」


「おお、良いのかいケンタ、すまないな。ワシの名前はガイロスじゃ、なにか困ったことがあればワシに言えば何とかしてやるぞい」

「その時はお願いします」

 俺はガイロスに馬車の上からの礼で申し訳ないと良いこれからよろしくお願いしますと握手をした。

 この老守衛は元々王都の近衛兵で、引退する年齢だったそうなのだが、最後まで戦って死にたいと、この町に赴任してきたと言う。

「うぬ、ここまで見事な研ぎは見たことがないぞい。これはずいぶん当たりの研師が来たもんじゃい」

 そう言うとガハハと笑い後ろの二人に目を向ける。


「おお、レオナにクニャラじゃないか馬車でお帰りと言うことはやったのか?」


「負けました」「このかたに助けられたです」 

 馬車は金がいる、つまり魔物を倒してお金に余裕があるという風にガイロスは取ったようだが実際は負けて死にかけたのだ。というか負けそうになって街道まで逃げたら安心と空腹から倒れたというのが本当らしい。

「そうか、まあ次がある、気を落とすな。大きい一発を狙うよりレッサーゴブリンを狩って地道に腕を上げた方がワシは良いと思うぞ」


「余計なお世話なのです」

「クニャラ……」


「ははは、これはすまなんだ。年を取るとどうもお節介になってしまってな。説教をする気はなかったのだ、許せ」


「私も言いすぎたです、ごめんです」

 クニャラはペコリと謝ると椅子にストンと座る。


「なあ、ケンタこの子達のこと目にかけてやってくれよ」


「おじじ、余計なことを言うなです!」

 ガイロスの言葉に顔を真っ赤にして意思から飛び上がると、クニャラは怒った。


「ははは、すまんすまん。人の恋路を邪魔するもんじゃないな」


「おじじ!!」

 そう言うクニャラのかおは今度は青くなり俺を見る。赤くなったり青くなったり大変だな。種族の問題なのか?

 ガイロスはクニャラの抗議を軽くかわすと、馬車を町の中に入れても良いと御者に言う。


 町に入り馬つき場に着き馬車から降りると俺は万歳をするように伸びをした。

「じゃあダンナ気を付けて」

「ああ、ありがとうな」

 短い間だったがおっさんとはうまくやれたと思う。この世界で上手くやれるかの試金石にはちょうどよかった。

「ねえ、ケンタさん、冒険者ギルドに行くんでしょ?」


「ああ、そうだね管理者のゴメスさんに挨拶しないとね」


「じゃあ私たちが案内するわ」

 そう言うと俺の手を取り引っ張るように道を急ぐ。

 ふああ、こんなかわいい娘達に笑いながら手を引かれるなんて生まれてきて40年、一度もなかった。これは死亡フラグでしょうか? 俺ここで死ぬんでしょうか?

 だがそれも良し、かわいい娘に手を引かれて死ぬのなら死んでみせましょう!


 いや、死なないけど……。出来ればこの至福の時が永遠(とこしえ)に続きますように。


 しかしこの子達は律儀だな。ちょっと助けた人間をちゃんと最後まで面倒見ようって言うんだから。これ俺が老人になったら介護までしてくれるのかな。なわけないか。


 とか、くだならい事を考えていたら、いつのまにかギルド出張所の前に来ていた。見た目はただの家だがドアが西部劇で見るようなあのドアだ。

 おいおい、人生初体験のスイングドアやっちゃう? ドーンと入ったら、中にいるヤサグレ者達に睨まれたりしちゃうの?


 俺はドキドキワクワクしながらドアを勢いよく開けた。


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