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異世界労働戦記☆スキル×レベル☆生産者ケンタ  作者: のきび
3章 モンキー・ダンス・レボリューション
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ダンス・イン・ザ・ピックファーム

アルファポリスにて掲載してます。なろうは備忘録的に使っており更新を忘れることがあります。


「幼馴染が女勇者なので、ひのきの棒と石で世界最強を目指すことにした。」も推敲加筆してアルファポリスで掲載しております。


アルファポリスの方もお気に入りしていただけるとモチベーションが上がります。

 くそ、なんとか勝てたけど回復能力が脳震盪にまで及ばないとか普通考え付かないだろ。


 やっぱりクレミアのあの手の固さは伊達じゃない、かなり戦闘なれしてる。


「シンミアここら辺に魔物はいるか?」


「あ~、一応いないみたいだぞ」


 なら、クレミアはここに置いていっても良さそうだ。


 しかし、このまま街道を逃げていては目が覚めたクレミアに再び追い付かれてしまう。


「よし、森の中を行こう。シンミア魔物の感知たのんでいいか?」


「おう、まかせろよ。ん」


 そう言うとシンミアは両手をキョンシーのように前にだしピョンピョン跳ねる。


「いや、俺はクリストファを背負うから、おんぶは無理だよ?」


「あ”? おんぶされてないと魔物感知が弱くなるんだよ!」


 まじか、とは言えクリストファは歩けないし、グズグズしていられない。


「分かった、シンミア背中に乗っていいよ」


 俺が背中を向けるとシンミアはぴょんと飛び乗る。俺はそのままクリストファをお姫様だっこすると森の中へと入った。


 異世界は理不尽だ。俺の初お姫様抱っこが男だなんて。


 シンミアの指示で魔物を避けながら森の奥へと入っていた。


 かなりの時間を休みなしで移動すると、きれいな小川があったのでそこで休憩をすることになった。


 またワニがいたら嫌なのでシンミアには動物の探知もおこなわせた。臆病者だなと馬鹿にされたがアリゲーターなんかと何度も戦ってられるか。


 周囲の安全を確認した後、大きな石の上に座りストレージの食料をシンミアとクリストファに渡した。


 俺は食事の前に近くにある杉の木を木の棒を変化させた斧で切り倒すと、斧を更に木工細工道具に変化させ木人を作り、その木人の手足を分離してからみんなの元に戻った。


「にゃじじでるんじゃ?」モチャモチャ。


 シンミアは口いっぱに食事を詰め込み、俺の持ってきた木人の手足を興味深げに眺める。


「クリストファの手足にしようと思ってね」


 回復薬(大)があれば部位欠損も治せるが、無い物ねだりをしていても仕方がない。出来るもので何とかするしかなのだ。


「それは模造の手足か?」


「これは訓練用のかかしのをもぎ取ったやつでクリストファの手足の代わりにと思ってね」


 クリストファーも木の手足を見て興味深げに見ている。こんなに精巧な手足は見たことが無いと呟く。


 まあスキル熟練度1000だからね。

 

 木人の手足に革で紐を作り、試しにクリストファの手足に結んだ。


「グラグラだね」


 材料が少なすぎるし時間が無さすぎる。これじゃあちゃんと固定できないか。


「いや、これなら、できるかもしれない。すまないその木の足を押し付けるようにしててもらえるか」


 俺はクリストファの言うとおり木の足をクリストファの足に押し付けるようにしていると、クリストファは意識を集中するように目をつむる。


 すると右足の説断面と木の足の接合面が光りだした。


「よしこれで大丈夫だ」


 光が消えた接合部はまるで生身の身体から木でも生えてるように繋がっており剥がれなくなった。


「すごいなこれは」


「魔力をコントロールして繋げたんだ。悪いが他の部分も今のようにお願いして良いか?」


「わかった」


 すべての手足も今の要領で繋げると、クリストファの手足はまるで元の生身のように指一本に至るまで動かせるようになった。


「て言うか、お前それ指が動いてるじゃないか!?」


「そうだ、魔力で操作している」


 クリストファの説明では生物の細胞と植物の細胞を魔力で結合させているのだと言う。


 魔力って魔法使うだけじゃないのか。


 まあそれが出来たのも今切り出した新鮮な木材のおかげだなのだとか。普通生木でこんな精巧な細工はできないからな。


「クリストファ、お前魔法は使えるのか?」


「それは無理だ、魔法は指先の神経の先端から飛び出すから神経を切られてしまってはコントロールすることができない。繊細なんだよ魔法ってやつは」


 だからクレミアたちはクリストファの手を足を切り取ったのだと言う。魔法を使われないように。


「指が動くなら自分でたべられるよな?」


 出した食料はほとんどがシンミアに食べられてしまったので追加で食料を出して石の上に並べた。


「遠慮なくいただかせてもらおう」


 そう言うと並べた食事をムシャムシャとシンミアと競うように食べ出した。ちょっとまて俺の分がなくなるだろう。


 だいたいシンミアさんいつまで食べてるんですかね?


 そんなに食べたら太っちゃうからね?


 俺は岩清水を汲んで焚き火にかけておいた(ケトル)を焚き火から下ろし、お湯に茶葉を入れしばらく待った。


 その間に俺も負けじと食事をとる。


 食事を終えた俺たちは紅茶を飲み一服した。ゆっくりしてる場合じゃないが食事の紅茶は必須。まあ、俺は食後はコーヒー派なのだがこれも悪くない。


「料理が美味(びみ)なのも驚きだが、お前は空間収納が使えるのだな。いったい何者なんだ?」


「ただの生産者だ。というかケンタだお前じゃない」


 なんだかツンデレ女子が返答するような言い方になり自分のセリフに苦笑する。


「悪かったケンタ。だが、ただの生産職に俺が負けるわけ無いだろ。だいたいあの回復力はなんなのだ。あそこまで回復すのはヒュドラやヴァンパイア位だぞ」


「残念だが俺はヒュドラやヴァンパイアじゃないぞ」


 だいたいヴァンパイアは華麗な美少女じゃないとダメなのだ。今や男のヴァンパイアは絶滅したのだから。


「まあいい、それでこれからどうするのだ? 俺をどうしたいのだ?」


「この国は腐敗してるのか?」


「ああ、腐敗している。特に貴族連中の腐敗がひどい」


 クリストファが言うにはこの国は貴族と政府は表向き分離されているそうなのだが、領地や軍隊を持つ貴族に政府はあまり強いことを言えないそうで、貴族は政府側の重鎮に賄賂等を送りやりたい放題なのだと言う。


 この男に罪がないとは思わないが、嵌められたのだとしたら同情を禁じ得ない。


 だからと言って逃がすというのも違う。


「それだと政府も腐敗しているんじゃないか?」


「まあ、そうなのだが。それでも貴族よりはましなのだ。若い連中は志が高いからな」


「そうか、だけどなさっきも言った通り、お前が嵌められたのだとしても俺はお前を逃がすことはないからな」


「お前に、さっき命がけで助けられて。お前の言いたいことはわかった気がする。罪のない人が守るために戦いそれを殺したとな。それでもアンナが殺された瞬間が俺の脳裏からは慣れないのだ」


「……そうか」


(ケン)、あの女が来たぞ」


 シンミアが俺たちが来た方向を見て目を細める。


「は? なんで森の中を正確に追いかけてこれたんだ!?」


「あいつは歴戦の強者(つわもの)だからな。ドラゴンキラーなんだ」


 まじかクレミアそんなに強いのか。


「シンミア、クレミアはどのくらいの距離だ?」


「3km先だ。感度をあげておいたからさっきより検知できてるだろ」


 そう言うとシンミアは胸を張りどや顔をするので俺は頭を撫でてあげた。


「逃げるぞ。クリストファ歩けるか?」


「問題ない」


「ん」


 シンミアは歩く気がまったく無いようで、いつもの通り両手を差し出す。俺は背中にシンミアを背負うとクレミアから逃げ出した。


 街道と違いすぐには来れないようだが俺たちの距離は徐々に詰まっていった。


 日が登る頃、森を抜け草原に出た。


 まずい1km先を狙えるクレミア相手に遮蔽物のない平原では狙ってくださいと言うようなものだ。


 森の方へ迂回しようとしたがシンミアが叫ぶ。


「だめだ(ケン)追い付かれるぞ」


 森から出た俺はクレミアの追撃に対抗すべく木の棒をスコップに変化させ待機した。


 ”ドゥン、ドゥン、ドゥン、ボン、ボン、ボンボンツ”


 クレミアの攻撃を待つ俺たちの後方から重低音が響き渡る。


 後ろを振り返ると大量のオークがダンスを躍りながら俺たちの方へと向かってきた。



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