俺のミルキーウエイで彦星と織姫はウェーイ。
「どうしたんですかサラさん」
俺が肩に手をああてて呼ぶと、サラさんはハッとしてこちらを見る。
「う、ううんなんでもないよ」
焦る素振りを見せるサラさんは剣を鞘に納めると荷物を担ぐと、二階へとのぼっていった。
食事の時に二階はは三人で自由につかって良いことにし、寝るときは4人で寝ると言うことをクニャラが一方的に決めた。
二階は秘密の花園で俺は立ち入り禁止だ。俺の家なんだけどね、家主に人権はない。百合の世界に男はいらないのだ!
俺は理解力のある男だからね。きっと男抜きで話したいこともあるんだろう。なら仕方ないね。でも、おとうちゃんウザイから二階に来ないでってことだったら死のう……。百合の世界を覗き見て萌え死のう。
寝る場所はクニャラとレオナが俺の両サイド挟む感じで寝て、サラさんはクニャラの隣で寝ることになった。
なんで両サイドを挟むのか分からないけど、たぶん男がとなりにいないと怖くて寝れないのか? 仕方の無い子供達だぜ。まあ、俺もそのお陰で今日はぐっすり寝れそうだけどな。
そして朝に見るんだライジングサンってやつをよ!そして朝なのに俺はミルキーウェイを見るんだ。乙姫と彦星は俺のミルキーウエイに邪魔されて会うことができない。ふふふ、ざまぁリア充。ウエーイ!
一九九九の年、七の月
西の空に太陽が登るとき海綿体に血が送られるだろう
アンゴルモワの大王を復活させるために
その前後の股間、ケンタは幸福の名のもとに支配するだろう。
そして俺の股間は中国の山水画の山のようにオッキしてしまうことだろう。
そうかここが桃源郷か。
よし、寝よう。
「おやすみなさい」
「「え!?」」
俺は横になると寝不足が祟ったのか、すぐに闇に引き込まれた。深い深い闇に……なにか二人の声が聞こえるが眠いのだ、いまは許してくれ。
あと叩かないでくれ、俺はもう目が覚めない。
「いやああああ!!」 その叫び声と言うにはあまりにも鬼気迫る絶叫で俺は目を覚ました。周りを見渡すとサラさんが体を丸めて震えている。何事かとクニャラとレオナも起き出す。
「サラさん?」
「いやっ! こないで!」
サラさんは魔剣を抜きブンブンと剣を振るう。
「サラさん、俺だケンタだ!」
「いやぁあああ!」
その叫びと共に魔剣が俺を襲う。剣の速度が遅い、まるで破れかぶれで子供が剣を振るっているようだ。俺はそれをかわすとサラさんに踏み込み右手で頭を引き寄せ抱き締めた。
「はなして!!」
「落ち着くんだ! サラさん。俺はなにもしない」
「あいつが! ゴブリンキングがくるの!」そう叫ぶとサラさんは意識を失った。
「大丈夫です?」
「ゴメスさん、どうしたんですか?」
「わからない」
どうしたんだろう? 意識を失ったサラさんをそのまま寝かせた俺はサラさんの足の怪我が目にやった。よく見るとこれは怪我ではなく模様のようだった。右手を伸ばし手を当てると情報が表示された。
◎ゴブリンの花嫁の呪印
・これをつけられたものはフールドでゴブリンを呼び寄せる。またゴブリンは呪印所持者を殺すことなく生け捕りにしようとする。
「ゴブリンの花嫁……」
「え! どういうことですケンタ」
「サラさんがゴブリンの花嫁なんだ」
「ケンタさん……ゴブリンの花嫁は人としての形を保ってはいないはずなのでサラさんは違うと思います」
人の形を保っていない。そうは言われてもこの呪印がそういってるのだが。
しかし、フィールドでは常にゴブリンに教われるのか。たいした強さではないとはいえ四六時中襲われたら寝る暇もない。冒険者も引退するしかないのか。
そうか、だからS級冒険者のサラさんはレッサーゴブリンしかでないこの土地に根を下ろしたのか。
レッサーゴブリンならいくら襲われても問題もんな。
「あ、あたし。暴れたの?」
目を覚ましたサラさんが俺たちの異変を察して自分が暴れたことを把握したようだ。そして皆がいるから大丈夫だと思ったのにごめんと謝る。いつもは体を縛っているのだとか。
「ごめんなさい!」
そう言うと立ち上がり、外に行こうとするのを俺は右腕で捕まえて座らせた。俺は何も言わずサラさんを見つめる。俺たちは何もしゃべらず膠着状態が続いた。このままではラチが明かない。俺はゴブリンの花嫁のことをサラさんに聞いた。
彼女は顔を青くして、なぜそれを俺が知っているのか聞いた。俺は指で足の赤黒い部分を指しそれはゴブリンの花嫁と言う呪縛だということを伝え、回復薬では治らないことも教えた。
この手の呪いは回復アイテムではなおらない呪術をかけた相手を殺さなければなおらない呪縛だ。
「治らないんだ……」
「その呪印を施したやつを殺せば消えるとは思いますが」
サラさんは呪印と呟きうつむくと、その呪印をさする
「……私はね、ケンタとは違うんだよ。私は仲間を見捨てて逃げたんだ」
「仲間を?」
サラさんはウンとうなずくと、何があったのかをしゃべり出した。
サラさんは異種族からなる女性だけの冒険者チーム”太陽の華”に所属していたという。
チームリーダーはS級冒険者シーファが人族、サブリーダーはS級サラさんが巨人族、A級冒険者のシャーロンがエルフ、A級冒険者のジャムラが小人族の混成チームだと言う。
「シャーロンって、もしかしてあのシャーロンさん?」
「そうさ、あの子は元々私のパーティーの一員だったんだ」
シャーロンさんはサラさんがスカウトした後輩の冒険者で、一から育てたので今でも仲が良いのだと言う。
ある日”太陽の華”は指名依頼を受けた。依頼内容はゴブリンの集落を壊滅させること。報告では80匹から100匹程の中規模な集落で、ゴブリンリーダーがいると言う。
ゴブリンは女をよく襲う。それはゴブリンがあるべき姿に戻るために襲うのだと言う。ゴブリンはエルフやドワーフ等の亜人種等と出自を同じくする存在であり、闇に落ちた亜人種なのだ。
ゴブリンは元の姿に戻るため人形の女を狙う、他亜人種と混血することにより元に戻れると信じている。ただゴブリンは人間と亜人種の区別がついていない。
つまり人間の女や巨人族、小人族の女も捕獲対象なのだ。
だが、亜人種と交わったからといって原種に戻れるわけではなく生まれるのはゴブリンかハイゴブリンだ、また亜人族ではなく人族と交わると生まれてくるのはレッサーゴブリンになるのだと言う。
「それじゃあ、この村周辺にいるレッサーゴブリンは人間が産み出してるのか」
それにサラさんは寂しそうにうなずく。
だけど、そうなるとあいつらは半分人間じゃないか、それを殺すのか?
いや、地球人的感覚だと人から生まれているのだから人じゃないのか。それを殺すのか? 現代倫理観にさいなまれている俺を無視するかのように話はつづく。
そして討伐依頼を受けた”太陽の華”はいつものように4人で討伐に向かった。だけどそこにあったのは中規模な集落などではなく、すでに数千に膨れ上がった『小鬼軍団ノ王国』だった。
情報が古かったのか繁殖が想定より早かったのか今となってはわからない言う。
そしてサラさんたちは周囲を囲まれ逃げ場を失った。襲い来るゴブリンの群れはゴブリンキングを頭に統率されており、通常のゴブリンの力を何倍にも引き上げていた。
リーダーのシーファは撤退を選んだが時すでに遅く、逃げることすらできない状態だった。誰かが囮にならないかぎり。
シーファは鎧を脱ぎ捨て裸体になった。それにより一瞬ゴブリンの統率が外れ、ゴブリンの戦闘力が落ちた。やつらは女を孕ませることが本能の欲求だから意識がそちらへいってしまったのだと言う。
その期を見逃さず二人を抱えサラさんは脱出したのだと言うシーファを残し、いや囮にしてと自虐を込めて呟く。
「だから、わたしは違うんだよ、ケンタとは違うんだ」
「サラさんの気持ちを俺はたぶん理解することはできないし、癒すこともできないかもしれない。でもサラさんは絶望的状況から二人も救ったじゃないか」
「……でもシーファは救えなかった」
「それでも俺は言うよ、サラさんは二人を救ったんだ」
「私は……」
そう呟くと俺に抱きつき大きな声を上げ涙を流した。
どのくらい時間がたったろう、サラさんが呟く『シーファを助けたい』と。
「生きてるの?」
「ゴブリンの花嫁にされてる、彼女は死んでいないはゴブリンを産み出す孕女として生かされてるはず」
「助けにいきたいの?」
「違う、命を終わらせて苦痛から助けてあげたいの」
ゴブリンの花嫁は効率よく子供を産ませるために体を作り替えられ動くことすらできないゴブリン生産機械と化すのだと言う。だからもう回復薬でも助けることはできない、命を終わらせる以外ないのと涙を流して言う。
「ケンタ、頼みがあるんだ。今日だけで良いから私を抱き締めて眠ってくれないかい?」
俺はなにも答えず、サラさんを抱き締め横になった。
ありがとうと小声で言うサラさんはすぐに寝息をたて眠ってしまった。俺と同じように怖くて不眠になっていたかもしれないな。
翌朝、目が覚めると俺の横にはサラさんの姿はなかった。この町のどこにもいなかった。
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作「ほら~ブクマ入らないとシリアスになるって言ったしぃ~」
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作「そんなー」
豚「俺らはキャッキャウフフが見たいんだ」(謎の勢力)
作「なんでもします許してください(なんでもするとはいっていない)」
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作『ふふふ計画通り』ニヤリ




