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異世界労働戦記☆スキル×レベル☆生産者ケンタ  作者: のきび
1章 変態紳士二度目の異世界転移
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幸せは不幸があるから大事だと思えるのだろうか?

 クニャラとレオナは新しい装備を試すと言うことで、食事をしたらすぐに出掛ける準備をしだした。今日は一杯稼いでくるんだと言うレオナにあまり無理するなよと言うと「心配してくれるんだへへへ」といって嬉しそうに笑って出掛けて行った。


 俺は畑の様子を見てみた、ゴウマ草の新芽が出ており薬効効果は通常よりも多いそうなので半分摘んだ。もちろんワンタッチ。

◎ゴウマ草 240個

・新芽:薬効(大)

・やくそう(32時間)

・種(148時間)


 新芽が現在手持ち240個ですり鉢と水、ポーション瓶で回復薬(低++)が出来上がった。

 これもう少しなんとかできるような気がする。まず水が井戸水なのだ。どう考えても硬水だ薬品を作る上で硬水はあり得ない。俺は作業場の炉を使い鉄鍋と蓋を利用して簡易的な蒸留水製造機を作ってみてみた。

 コップ一杯の蒸留水を作り再度回復薬を製作してみた。

 結果は回復薬(中-)が出来た。さらにそれを10本作り、鉄鍋にふたを開けたまま湯煎をして中の水分を半分になるまでした。鉄鍋でひとつに煮ないのは鉄の成分が入るのを嫌ったためだ。金の鍋とか作らないとダメだな。

 その半分にしたものをニコイチにして再度見てみると残念ながら回復薬(低-)になった。これは熱で薬効成分が飛んでしまったと言うことだろう。大失敗である。とは言えゴウマ草は熱に弱いと言うことが分かっただけでももうけものである。失敗は成功の母である。

 そしてこれで分かったことがある。材料さえあれば俺なら回復薬(大)が作れるし、その他のポーションも作れると言うことだ。スキルは俺の中で生きていると言うことなのだろう。

 ただゲームとは違うので素材がわかっても作り方がわからない。それは今後試していけば良い時間はあるのだから。


 次に短剣をインゴットから作り出した。当然短剣(攻撃力+100%)なのだがそれを振ってみる。しっくり来ない。


”光破斬”


 これはエルダートレインのソード系スキルの技でソードスキル10で発動できる最弱技だ。知識と知っているだけでソードスキルの無い俺には無縁のものだが。やはり発動はしなかった。


 世の中そんなに甘くないってわけか。ちなみに魔法も使えなかった。これも魔法スキルが10で発動する最弱魔法”ヒィヤ”で火を矢のように飛ばす呪文だ。

 まずスキルを10まであげないと使えない訳だが、どうやってあげる? と言うかあがるのか? すでに生産者と言う枠組みに囚われている俺は戦士系や魔法使い系の物は成長しない可能性の方が高い。

 だけどやってみる価値はあるだろうな。

 とりあえず根性論の素振りですな。

 俺はその日、昼まで素振りをして過ごした。最後のしめに”光破斬”を使ったが発動しなかった。ローマは一日にしてならずでござる。


 さて、家具を作りたいけど木がない。これも今後の課題だな木を買ってきたり家具を買うのは簡単だけど。俺にはスキルがあるからできるだけ自分で作りたい。といっても今レベルで発動大工の技は椅子とテーブルくらいなものなのだが。


 はぁ、一人だとつまんない。クニャラやレオナと一緒にいた時間が長かったせいか何か気が抜ける。俺は知らず知らずのうちに、人肌を求め冒険者ギルドに向かっていた。


 ギルドのスイングドアを開けると数人のくたびれた冒険者がいた。

「ゴメスさんこんにちは!」

「は、はやいねケンタもう仕事しに来たのかい?」

「何をいってるんですか。あなたに会いに来たんですよサラさん」

「ふぁっ!」

 顔を赤くするゴメスさんはなにげにかわいい。もちろん冗談だといったら良いパンチを一発もらったのは言うまでもない。冗談と言うわけでもないのだけど、あそこまで恥ずかしがられると俺も恥ずかしくなるから照れ隠しなのは言うまでもない。

 おれは次にくたびれた冒険者達のところに行き初回無料サービスで武器を研いであげた。やはりこの冒険者達の武器もボロボロだった。

 これは早急に武器屋を開きたい、現状まともに作れるのは短剣とバックラーくらいだ。鍛冶屋のギルドマスターは短剣などくその役にもたたないと言っていたけど。ここのギルドでは主流な武器だった。


 王都と僻地でこうも認識が違うとはな。昨日ゴメスさんが言っていた鍛冶屋は金儲け主義と言うのも本当のようだな。


「そういえばゴメスさんは料理スキル無いんですよね?」


「スキル?」

 ついエルダートレインの癖でスキルと言ってしまい慌てて言い直す。

「ああ、すみません料理の技です」

「そうだね、無いから料理するのも大変なんだよ。ケンタが手伝ってくれると嬉しいんだけどね」

「良いですよ、どうせ暇ですし」

「本当かい!」

 そう言うとゴメスさんは俺を受付の中に引き入れた。エロことされそうで怖いです。

 肉は夜ギルドが終わってからゴメスさんが狩っているそうで昨日は猪を取ってきたらしく下処理が終わった猪が調理場に吊るされていた。よく虫が湧かないなと疑問に思っていたのだが下の魔方陣が虫除けになっているらしい。


 魔方陣があるのか。その魔方陣は魔法ギルド所属じゃないとかけないのか効いたら、ゴメスさんがここに赴任する前からあったそうで知らないと言う。


 とりあえず下処理が終わっている猪の肉を切り出しステーキを1枚、料理技で作り上げた。それをゴメスさんに食べさせるとジタバタとしたと思ったらグルメ番組よろしく「うーーーまーーーい!」と大騒ぎした。それを聞き付けた先程の冒険者達が肉を注文してきたので同じく焼いてあげると「うーーーまーーーい!」と大騒ぎして酒と肉を追加注文してくれた。

 そうこうしているうちに、冒険者が続々と帰ってきて料理のうまさを聞き付けた人たちがこぞって肉と酒を注文してきた。


「いつもの肉が靴の革底のように感じるぜ!」

「あ!?」

 冒険者の言葉にゴメスさんマジギレでござる。まあ、今まで冒険者のために頑張ってきたんだから怒られてもしょうがないね。

 昨日、皆の武器を整備したので今日は料理に専念できた。と言ってもワンタッチでできてしまう料理は張り合いがない。でも普通に作ると面倒なんだよね。現代社会の料理人さんは本当すごいと思う。


 皆の幸せそうな顔を見ているとほっこりする。こうやって生きていけるならこの世界も悪くないな。だけどそんな俺の心とは裏腹にけたたましくスイングドアが開けられて人が一人転がるようにギルドに入ってきた。

「た、助けて!!!」

 そう言って飛び込んできたのはクニャラだった。


ブクマしていただけると張り合いになります。

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