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異世界労働戦記☆スキル×レベル☆生産者ケンタ  作者: のきび
1章 変態紳士二度目の異世界転移
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朝チュンだからといって何かあるとは限らない、ハニートラップですねその手には乗りませんよ。

 結局あの四人はS級冒険者チーム”新緑の風(エルフィーネ)”と言って、王国から派遣され新しい魔窟探索に来ているそうなのだ。

リーダーはシャーロン、純血のエルフ族で貴族の出自らしい。年齢は17歳とまだ若い。エルフって長寿じゃないんですか? とゴメスさんに聞いたら普通に100歳くらいが寿命らしい。ただ見た目は死ぬまで変わらず死ぬ寸前まで若々しいそうだ。


 うらやましい。


 そしてサブリーダーはゼクスじゃなくあの鎧男ガンガナル、人族と巨人族の混血だそうだ。ちなみに年は25歳。

 ゼクスは人族で元鍛冶師の拳闘士、あのチームの武器の整備を担当している。

 ホットパンツの娘は獣人で耳は切り落としてしまったらしい。獣人のあの耳がいやだと言う理由で。もったいない。ちなみに職業は盗賊で、元々義賊だったそうだが捕まって死罪になるところをシャーロンさんに救われ、現在は犯罪奴隷としてパーティーにいると言う。ただ奴隷と言ってもシャーロンさんは差別することなく仲間として扱っているそうだ。


 そして、そのままギルドで冒険者を待っていると日が沈むころ、ちらりほらりと冒険者達が帰ってきた。疲れきった冒険者達は俺に絡むようなものは一人もいなかった。皆生きることで精一杯という感じがした。装備が貧弱でボロボロの状態だったのもそう思わせた一因かもしれないが。


 俺が研師だとわかると財布と相談してタメ息をつくものや、やろうかやるまいか迷う人が続出した。それだけ銀貨3枚は彼らにとって大金なのだ。


「今回はお試しサービスです無料で研ぎますよ」

 別にお金がなくてかわいそうだから無料にした訳じゃない。これは先行投資だ。装備が整えば多少の無理もできるようになるし稼ぎも上がる。そうなると装備を整える余裕もできる。そしてコンスタントに銀貨3枚手に入るのようになる。

 剣はすべて切れ味+1で研いだ。本当は補修をしたかったのだが、皆の持つ武器がボロボロ過ぎてすぐにばれてしまうレベルなのでやめておいた。本当は防具も修理してあげたかったのだがまだ裁縫ギルドに所属していないので、身内以外の修理は金をもらってなくても厳禁なのだ。

 だからこそ、あの二人は俺の大事な人つまり家族と言うことにしてある。


 夜もかなり更けたころ老人が入ってきてゴメスさんと受付を変わった。

「ケンタもそろそろ上がりなよ、今日はおつかれ様だね」

 そう言って俺の背中をバシバシと叩く。

「もう、痛いですよゴメスさん」


「ごめん、ごめん、あんたが良い人でさ嬉しいんだよ」

 なんでも鍛冶師ギルドから派遣されてくるのは揃いも揃って金にがめつく、冒険者のことなんか考えない連中ばかりなのだと言う。そんな中で俺が初回無料サービスなんてしたからビックリしたのだと言う。

「そんなに良いものじゃないですよ。ただお客さん確保のためにしただけですから」


「でも、それは冒険者達を殺させないためのものだろ?」


「……そうですけど」


「そういう気持ちすらないんだよ、生産の連中は」


「すみません」


「馬鹿あんたのことじゃないよ」

 俺が謝ると本気で怒って俺のことじゃないと言い、勘違いさせたんなら謝るよと肩を落とし謝る。怒ったり謝ったり忙しい人だと思ったが、それもこの人の魅力なんだろうと思ったら笑ってしまった。

「あ、もし、もしだよ。いいや、なんでもないおやすみ」

 俺が笑ったせいで気分を悪くしたのか。ゴメスさんはそそくさとギルドの扉にてをかける。

「おやすみなさい、ゴメスさんまた明日」

 俺が手を振ってそう言うと「うん、また明日」と消え去りそうな声で彼女は俺に手を振り闇に消えた。


 俺も帰り支度をして夜の町に出たが暗い。なんにも見えないんだけど。

 現代日本の感覚でこんな遅くまでいたけど、これじゃ帰れないよ。


「お疲れなのです」

「お疲れさまです」

 俺の背後から聞いたことがある声が聞こえる。クニャラとレオナだ。


「待っててくれたの?」


「当然です、夜道は危険です」

「月も出てない夜はまったく見えないですからね」

 俺は二人がいとおしくなり頭を撫でた。子供が駅に迎えにくる父親の心境とはこんなにも暖かくなるんだね。お父ちゃん涙でそう。いやおじいちゃんか。そう言うとなぜか二人からエルボをちょうだいした。


 ひいおじいちゃん位じゃなきゃダメなのかな?


 俺達はクニャラの持つ明かりに道を照らされながら帰路についた。この世界の星もきれいだが見知った星座はひとつもない。と言っても分かるのはオリオン座くらいなんだけど。


「ねえ星座とか分かる?」

 この世界に星座があるのか知らないが、言葉として変換できたのだ、たぶんあるのだろう。


「もちろんですよ、あれがやく座、あれがぎょう座、そしてギザギ座。そしてこれが土下座です」

 そう言うと俺の前で急にクニャラは土下座をする。俺はビックリしてクニャラを起き上がらせるが離してくださいと言う。

「いや、なんで土下座なんかするのさ」


「いいえ、小人族(ミニム)の渾身のギャグなのですよ?」

 うわ、まじか女の子に土下座とか笑えないんだけど。かわいそうなのは抜けないのよ僕。


「そうなのか、でも俺の前と言うかできればクニャラにそう言うことはしないで欲しいと思う」


「いやです?」

「そうだね、嫌だね」


「分かったです、もうやらないです」

 そう謝るクニャラがかわいくて俺は頭を撫でる。なぜか子供扱いしないでくださいとは言わずただ満面の笑みを浮かべて俺を見て笑う。


 ”ズキューン!”


 あれ、僕ロリ属性無いよ? ないよね? なにこの胸の高鳴りは。これが恋? これがロマンス? 僕のハートがズッキュンドックンベイビィイ状態なんだけど。

 まあ、クニャラは18歳だ、ただの合法ロリだ。ならば行ける?


 天使:『勘違いはやめるのです、年の差を考えなさいあなたとクニャラでは親子ほどに年が離れてるのですよ』


 悪魔:『なに言ってやがんだ。この笑顔見てみろよ。まるで神じゃないか。あ~~俺の体が浄化されてしまう神の笑顔に浄化されてしまう~』


 かくして悪魔は消え去った。


 ふむ、つまり疲れからくる動悸か、なんだつまらん。

 クニャラを撫でているとレオナも土下座をしようとしたので当然やめさせた。「私も撫でてほしいです」そう言うレオナの頭を撫でると、ま、眩しい、夜なのになんて笑顔をするんだい、君の笑顔で闇が消えて世界に朝がくるよ。やめてくれ。俺はまだ寝てないんだ朝にはまだ早い。

 俺は二人を担ぎ上げると。今朝のゴメスさんよろしく肩に乗せてみた、ライドオンさせてみた。


 軽っ! やっぱりこのステータスはエルダートレインだ。そして柔らかっ! まずい、俺の理性がランナウエーイ、俺のほとばしりがゲットウエーイ。


 太もも、尻、太もも、尻。どこにも逃げ場の無いこの手はどこへ行くのだ。それはどこから生まれてどこへいくのかと言う哲学かな? いいやこれは真理である。ここに神はいる。太ももと尻の間に神はいるのだぁ~ぁ~ぁ~。


 ”絶対神域(アルカディア)!”


「急にどうしたんですか?」

 レオナが上から俺を覗きこむ。ふむ、かわいい俺の娘。


「すごいのです」

 クニャラが上から俺を覗きこむ。ふむ、かわいい俺の孫。


 よし、お父さんおじいちゃんは君らのために頑張るからね?

 俺は闇を駆け抜け、家路へと急いだ。


「しり、ふともも、しり、ふともも」いつしかそれは声に出ており頭をポカポカ殴られることになるのだがそれは3分後のお話である。


「変態さんです」

「さわりたいならいってください」

「はい? すみません」

 え?レオナさんなに言ってるの? 僕そんなトラップにはのりませんよここはスルーですね。そんな単純なハニートラップには引っ掛からないんだからね。


「まあ、それはさておき、もう外は暗いし泊まっていきなよ危ないから」

 そう言う俺の言葉に二人は顔を見合わせ、うんとうなずく。「よろしくお願いしますです」「ふつつかものですがよろしくお願いします」なぜか二人が礼儀正しくお辞儀をする。俺もつられて「こちらこそよろしくお願いします」と言うと俺を横にさせると俺の腕を各自枕にして寝る。

 なるほど、よろしくってそう言う意味か。ぼくちゃん枕代わりなのね。俺は横になった瞬間疲れから一瞬で眠りに落ちた。深い深い眠りに。


 ”チュンチュン”


 鳥のさえずりが朝を知らせる、家の隙間から朝日がこぼれ落ちる。目が覚めた俺はいきなり二人からつねられた。


「な? なに?」


「叩いてもつねっても起きないんですね」

「馬鹿者なのです」

 なぜか二人はご立腹である。おなかがすいたのかな? 俺は手早く朝のしたくをするとアイテムボックスから料理を取りだし二人に振る舞った。

 食事をしたら二人の機嫌は治りキャッキャウフフである。俺の料理は幸福感もアップするからね。おじいちゃんも家族がいる食事に満足である。


 もうこの娘たちここにすめば良いのに、とは思っても口には出さない断られたらハートブレイクで死んでしまう。俺はしがない愛の狩人さ。

 ふっ、お嬢ちゃんたち俺の娘と孫になったんだ。たーんとお食べ、たーんとね。


 そう言えば昨日ゴメスさんが飲んでいる男達の料理も作っていたんだけどあれは料理職の技ではなく地球と同じように作っていたな。つまり料理職じゃなくても色々作れるのか。今度素材買ってきて試すか。とはいえ現実の俺はパスタくらいしか作れないんだけど。


「「ごちそうさまです」」

 二人が食事を食べ終えると俺は昨日と同じ紅茶を出した。そういえばこの紅茶も普通に作ってるもんな。たぶん情報が現れないからこの世界には紅茶がないのかもしれない。

 元々お茶を船で運んでいて発酵してしまったのが紅茶の始まりだと言うし。偶然がこの世界では起きてないのだろう。


「こんなに充実した朝ははじめてです」

「いつも木の実かじってたもんね」

 そう言うとレオナはハハハと乾いた笑いをする。どんな食生活を送っていたのか心配になるが、こんなもので喜んでくれるなら俺も嬉しい。


「毎朝食べに来れば良いよ用意してあげるから」

 よし、これは相手のためを思って言った風を装い。実は俺が一人の食事が嫌だからと言うことを隠した頭脳プレイである。


「だめです」

「そうよね、もう返しきれないほど色々してもらってるのに」

 あ、ダメだこれ断られる、なるほど人のためじゃなにか下心があると思って警戒してしまうのか。ならば本音で言おう。

「うんごめん、本当は俺が一人の食事嫌だから来て欲しいんだ。だめかな?」


「き、来て欲しいのです?」

「わ、私でよければ」

 二人は顔を真っ赤にしてうつ向く。ふむ、かわいいのう。俺の娘と孫は世界一じゃわい。


 俺は二人が紅茶をすすりながら、笑顔でしゃべる顔を見て心からそう思った。

ブクマしていただけるとやる気が有頂天でMAXになります。

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