8 お披露会
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アリウス学園の寮は凹型になっており、全学年一緒で、西は女子寮、東は男子寮となっている。真ん中はロビーや応接室があり、待ち合わせ、委員会やクラブの会議に使われている。
「おーい、カイト!遅かったな。選ぶのそんなに迷ってたのか」
キールたちが1Fのロビーで待っていた。食後に別れた後、ここで待ち合わせる約束をしていたのだ。ちなみに今は夜である。
「おい、カエル。お前すごくしんどそうだぞ!お腹減ったのか?」
「まだ、そのあだ名使ってるんだ…。ううん、大丈夫」
ゴーリスって見た目にしては意外にも人思いなんだな。背中にある大きい金棒が気になるが。最初月々30万と言われ、何とか負けてもらい20万にしたのだ。いつリンくんに斬られるか怯えながら、必死に説得した。何とか飲んでくれたが、現在所持金9万アル、普通の生活で6万ぐらい使うので、まぁ生きていけるだろう。10ヶ月間、僕は1ヶ月10万アルで 生きていくが、まぁ余裕であろう。
「それじゃあ、練習場に行こうか」
学園内での武器の展開は、原則禁止している。例外として、火螺國製のブレイブアーマーは武器自体が変身アイテムなので、素振り
と身に付けは大丈夫だが、鎧を纏ったり、むやみに使ったりすることは禁止である。だから試着は練習場又は授業内で行えるのだ。僕達は早速着てみるということで、練習場に行く事にしたのだ。すると、キールが待てと手の平を向けた。
「その前に、やってほしい事がある」
「やって欲しいこと?」
すると、セリナが僕に紙一枚を渡してきた。
『入部届』
「え、早くない?まだ部活の勧誘無かったのに」
「そうではあるが、部活に入るのは入学してからすぐにできるのだ」
へぇ〜と思いながら、部活名の欄を見た。
『国家反乱研究部』
「ふんっ!」
僕はその紙を思いっきり破いた。
「ははは、そんなに興奮するか。気持ちはわかるが、もう一枚あるからまずはここに名前を記入してくれ」
「誰がそんな危なそうな部活入るか!何始めようとしてるんだよ!」
「活動内容は部員をより多く勧誘して、この国の政治について考えけるべきところを探し、授業で習ったことを実践する、というものだ」
「それって、要は人を集め軍を作り、ブレイブアーマーで反乱を起こすっていうことだろ?」
「素晴らしい!君にはやはり素質がある。私の目に狂いはなかった!」
「…いや、入らないからね。いやだよ、そんなところに青春費やすの。そもそもそんな部活だれがはいるんっだよ!」
「ああ、俺入ってるよ」
「おれもだぜい!」
なんでお前ら入ってるん?
「さあ、どうする?仲間はずれにはなりたくないだろう?」
別に仲間に入りたくないのだが。しかし、アリスと友達であるとは確証できないし、こいつらとのつながりが消えれば、僕はボッチとなるのだ。今朝の事件もあったし、出来上がっている友達の輪に入る自信はない。仕方ない。
「わかった。えっと、国家反乱研究部だっけ。それに入部するよ」
「そうか!それはいい!うん、大歓迎だ!」
セリナは満面の笑みで子供のように笑った。渡された入部届に仕方なく名前を書いたが、悪い気分ではなかった。渡した後、みんなで練習場に行く事にした。練習場までは少し歩くが、たわいもない話をしていたら、いつのまにか着いてしまった。広大なグラウンドで、障害物は一部あるが、大部分は平面上に何もない。境界線や天井にはエネルギーバリアーがあり、例え砲弾でも内からも外からも入れないようになっている。時々光っているところがあるから、中で誰か練習しているのだろう。入ってみると、夜なので人はあまりいないようだ。
「じゃあ、俺の武器見せてやるぜ!」
ゴーリスは背中に背負ってたトゲトゲの金棒
を取り出し、先を地面に突き刺し、柄の部分を片手で持った。
「金剛‼︎」
すると黒いオーラが彼の周りを包み、段々と鬼のようなシルエットが浮かび上がってき
た。そして、一瞬光を放ち、黒いメタリックな鎧を装備し、現れた。兜には金色の角が二つ生えている。
「すごいな、火螺國製のやつを選ぶやつはそうそういないぞ!」
「何がすごいんだ?セリナ」
「火螺國社は武術者向けのアーマーを作っている。一般の人には扱いづらいが、熟練者にとっては相性抜群だ」
すると、ゴーリスは武術に通じているのか。巨漢な上に武芸も優れているとは、まさに鬼
に金棒である。実はゴーリスはすごい実力を持ってるではないだろうか。
「ゴーリス、お前なんか習ってたのか?」
「俺か?俺は小さい時書道習てたけど。それより、どうだよこいつ。カッケイだろ!何せ俺がカッケイと思ったんだからな!」
前言撤回。こいつはただのバカだった。
「次は私が見せよう」
セリナは腕につけているブレスレット型ディスクドライブを見せた。それは、アリスが見せたものと同じだった。そして、ディスクが既に入っているトレイを中に入れた。
「礼装!」
React "wind" element
彼女の身体の周りを風と緑の光が包んだ。
Commander
全身白い女性型の装甲となり、淡緑色のプロテクターが体の部分的に装着され、後ろには6本の矢の先のようなオブジェクトと、一対の小さな翼が現れた。また、下には白い腰マントのような装甲がある。頭には左右に飛行機の翼のようなものが付いていた。
「それってマジカルフォースだよな」
「ああ。やはりこのメーカーのアーマーの方がしっくりとくる!」
彼女はそう言ってくるっと一周回ってみた。
「どうだ似合うか?」
僕
「うん、似合ってる」
キール
「うん。次俺な」
ゴーリス
「背中にあるやつ、なんか強そうだな」
どうやら3人とも似合ってると思っているようです。セリナは少し照れていた。キールは、腰のベルトに付けていた物を取り出した。それは拳銃の持つところのようだった。後ろには十字の各方向と真ん中にあるボタンがあった。キールは真ん中のボタンを持ち手の親指で押し、ピコッと音がして、前に向かってトリガーを引いた。
Trigger
するとキールの身体の周りを黒いソルジャースーツのホログラムが現れた。
Killer Whale
後ろから魚のようなものが三つキールに体当たりし、そして黒のスーツの上に藍色の魚のような装甲がついた姿に変わった。またヘルメットには二つの白いラインがあり、魚というよりはまるでシャチのようである。
「ほう、キールはワイルドコンバットを選んだのか」
セリナが言ったワイルドコンバットとはミリタリー時代と呼ばれる銃器による戦闘を行っていた時代のの武器と地球上の生物の能力を掛け合わしたブレイブアーマーを作っている。比較的大量生産しやすい物となっているため、安く性能も良い。
「よし、それじゃ、カイト。お前のアーマーも見せてくれよ」
「おう、いくぞ」
僕は剣の柄を出した。そういえばこれどうやって使うんだろ。
「はやくはやく!勿体ぶんなよカイト」
「ちょっと待って」
よくみると柄の横にボタンが付いている。とりあえず、そのボタンを押した。すると白い光が出てきて僕を包んだ。現れたのは全身少し濁った白色で、重い鎧がつけられた。フェイスマスクの顎には髭のような装甲が着き、頭には前が大きく左右に一つずつ後ろに小さいのが一つとんがりがある冠をつけている。そして、持っていた柄は白い剣になっていた。その姿はまるで歴史の遺産みたいな彫刻作品のようだった。
「………」
ナニコレ、チョーダサイ
「へ、へぇ。そ、それがお前のぶふっ、アーマーっ、かっ」
「お前もうちょっとこらえるの頑張れよ!」
「カエル、それカッコわりいぞ」
「金棒をカッコいいっていた奴にカッコ悪いって言われた!チクショー!」
「カイト、それはどこで買ったのか?」
「マジックフォースの大きなモールの前だったけど」
「…いくらしたのだ?」
「200万アルでリボ払いだけど」
「…そこの店は使えない商品を高い売値で出すところで有名であるが、まさかそこで買う者がいるとはな。見るからに怪しい店だから、誰も入らないと思っていたが」
セリナはなんでって顔をしている。くそ、この不幸の原因が俺にもあったとは。なんであの店に寄ったんだよ!誰もいないのに声が聞こえたとかで入ったとかどこの妄想野郎だよ!
「アッハハハハハハハハ!イッヒヒヒハハハハ」
「うるせえよ!キール、笑いすぎだろ!」
「常人とは違う感性を持つとは。やはり君は特別な存在であったのだ!うむうむ」
「嬉しくないよ!なんで納得してんの!」
僕は練習場出てからもキールに笑われっぱなしだった。