4 絆
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まだ意識はあるし、体もどこも痛くもないから大丈夫っちゃ大丈夫だが、不完全に無事にクラスのHRは終わりに近づく。(自己紹介の時、自分は変な目で見られ、ゴツくて頭が少し足りないゴーリスは話を無駄に長引かせ、叛逆嬢セリナは犯罪宣告した)
「あー予定よりちょいと遅れてしまったが、これからタウンに移動する。はあ、移動準備ー」
さっきから見ていたが、あいつやる気ないな。っていうか1時間以上遅れてるぞ。
他のクラスのHRはもう終わっており、おそらく昼食をとっているのだろう。移動準備といっても何も持たなくて良いとガイダンスのプリントに書いてあったので、手ぶらでタウンへ向かった。
ぼっちでかって?
今はそうでありたい。すでにクラス内では変人扱いだし、キールたちとは関わりたくない。だが、彼らはなぜかまとわりついてくる。
「カイト、元気出せよ。これから楽しい武器選びだぜ」
「誰かさんのせいで機嫌悪いんだよ」
「まぁ教官のパンツには一様非があるよな。大丈夫、お前は悪くない」
「お前も悪いんだよ!なんではぐれものと仲良くなってるんだよ」
「はぐれものとはな、ふっ」
「照れるじゃねーか!」
「あんたらとは話してない!っていうか褒めてない」
「おい、カイト、カイト、いいか、友達っちゅうのは自分で作らなくちゃいけないだろう?」
「…うん、まぁそうだけど…」
「俺は俺にとって友達と思う奴を紹介したんだ。とやかく言われる筋合いはないと思うけど」
「…ごめん」
「これからは俺無しでやっていかないといけないぞ。まだ、チャンスはある。とりあえず、今を楽しめ」
僕の周りに何も無くなってしまった時、キールに助けられた。
キールも子ども一人で暮らしていた。でも僕を受け入れてくれた。
どんなこともいつもキールに助けられた。
まるで兄のように。
僕がこの学園に入ったのはキールについていったからだ。
まるで弟のように。
だけどいつまでもキールに頼ってばかりじゃいられないんだ。これからは自分で道を決めていつかはキールに恩返しするんだ。
「うん、わかった」
「よろしい」
「ほう、まるでBL小説に出て来そうな兄弟のようだな」
「それって前の席の女子が言っていた男と男の攻めと受けのやつか?でもバトルしてるようには見えないぞ」
こいつらと言う奴は、親友との絆を何て表現してんだ。
側から見たら、そう見えなくもないのか?
そんなことを言っているうちに僕たちはタウンに着いた。とても広く、色んな建物が立ち並ぶ。案内所まで行った時、ガイドらしき女性がお辞儀をした。そして教官が話し出した。
「えーみんなにはブレイブアーマーを購入していただくが、その前にタウンの見学も兼ねて、自分に合ったアーマーを探してくれ。期限は、えー、まぁ、これで解散だから、明日の授業開始まで選び購入するように。後の話はガイドさんが話してくれらから、この辺でじゃあーな」
後のことはガイドに丸投げで自分は先に帰るのかよ。
ガイドは困ってはいたが、自分の勤務を果たすことにした。
「えっ、教官さん待ってください!あ、え、えっと、で、では、まずこのタブレット端末を受け取ってください」
配られたのはお手軽サイズの長方形の物体だった。
「起動ボタンは横にあります。各タブレットは本人専用となっております。それをかざすことで購入することが出来ます。また…」
突然キールが僕を引っ張っていった。
「急に何すんだよ」
「あんな長くなりそうな説明を聞くより、早く飯行こうぜ。ゴーリスが腹減ったってうるさいんだよ」
よく見ると他の2人も一緒にいた。まぁ、腹減ってたし、いいか。
僕ら4人は意外と楽しく、タウンのフードエリアを目指した。最初に衣服エリアへ行き、医療エリアで少し休み、娯楽エリア、研究エリアとまわった。
……ガイドの言うこと聞いていれば良かった。