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8話 シーザー・ロペス

新しいバイト始めました。執筆の時間が減りました。

「着きました。ここで話し合います。」


 職員室では誰が聞いているかも分からないということで場所を変えると歩き始めて数分。ようやく話し合いの場所に着いたようだ。

 古い建物の一番古いであろう部屋、建物の端にある部屋だ。


「先生、なぜ学校じゃなくて寮なんでしょうか?」

「学校だとどこに教員が居てもおかしくないので。」


 なるほど、確かにそうだろう。教員の行動は同じ教員であるエイダ先生のほうがよく分かっているし寮のほうが先生たちに聞かれる心配は少ないだろう。


「先生、なぜこの部屋なんでしょうか?」

「立地的にも人が立ち入ることが少ないからです。私はここに頻繁に通う人を一人しか知りません。」


 確かに古い建物の一番端の部屋なんて誰も来ないだろう。頻繁に通う一人というのもよく知っている人だ。


「先生、この部屋がどのような部屋か知っているんでしょうか?」

「当然知っています。セリア学生の寮室です。」

「帰ります。」


 なぜ敵対している人と話をするのに自室を提供するのだろうか。僕は敵対していない人でもあまり部屋に入れたくないのに。


「セリア学生、帰るならこちらですよ。ここがあなたの部屋です。」


 マスターキーで先生が先に部屋に入って呼んでいる。なぜ当然のように人の部屋に入るのか、シーザーでさえ申し訳なさそうに扉の外で待ってるぞ。


「めんどくさいという理由でセリア学生を逃がさないためにこの部屋にしました。セリア学生が申しあげた条件は守ります。不満があるなら学校が貸し出している部屋を回収します。」

「正当な理由の元、こちらの条件を飲むという下手に出ながら脅すとは器用なことをしますね、先生。」

「ありがとうございます。得意分野ですので。」


 この先生実はかなり面白い人なんじゃないだろうか。僕の中では事務的な先生のイメージはすでに跡形もなくなている。


「はぁ…。シーザーも入っていいよ。適当なところに腰かけて。」


 部屋に入りベッドに腰かける。シーザーも後に続き机のそばにあった椅子に座る。先生はどこからか小さな丸い椅子を用意して待っていた。いつの間に持ってきたんだ。


「じゃあ話って何?」


 相手が話す気になるまで待つつもりもないので単刀直入に切り出す。


「本題はお前が…、セリアが話した内容についてだ。」

「僕がシーザーに説教したこと?下の者が上の者に無礼なことを言うなと?」

「そうじゃない。セリアに聞きたいことがあるだけだ。」


 想定はしていたけど意外だった。条件に文句をつけなかった時点でこういった話では無いかもしれないと思ってはいたけど、シーザーは文句を言うだろうと言う考えが抜けなかった。


「だが、その前に謝っておく。今までの数多くの侮蔑、暴言を謝罪する。すまない。許せとは言わない、俺が言っておきたかっただけだ。」

「うん、で本題は?」


「お前はロペス家の何を知っている?」

「何も知らない。」


 話したのはグリストなので僕は知らない、嘘もついていない。ただ少しグリストの昔話は聞いたけどね。

 下手に怪しまれるのを防ぐために間を置かずに否定する。


「俺はそれなりに剣術を鍛えてきた。まだまだ未熟だがな。それに合わせて多くの剣術も見てきた。」

「そうなんだ、凄いね。」

「別に自慢をしているわけではない、本題を言わせてもらうとお前の剣術はおかしい。俺の剣を弾いたときに分かった。」


 僕が倒れた時だろうな、一応グリストからかなり詳しく聞いてはいるけどどこでボロが出るか分からないから慎重に対応しないと。


「セリアが試合中に言った言葉を、似たような言葉を爺様から聞いたことがある。セリアは爺様に関りがあるのか?もしくは爺様に深い関りがあった人を知っているのか?俺はそれが知りたい。頼む、教えてくれ。」

「ならその爺様に聞けばいいだろう。」

「爺様は今はこの国にいない、いつ帰ってくるかも分からない。」

「両親や爺様を知っている人に聞けばいいだろう。」

「それじゃあダメなんだ!」


 シーザーが声を荒げる。突然のことで思わず黙ってしまう。


「それじゃあダメなんだ。父様は爺様を嫌っている、そのせいで使用人も母様も爺様の事は詳しく話してくれないんだ。」


 シーザーの声がだんだんと小さくなっていく。


「俺は爺様を尊敬している。それこそ父様よりもだ。だけど父様が手を回したのか爺様は仕事で飛ばされてまだ帰ってこない。」


「爺様は剣で成り上がったんだ。王様からも信頼を得て、ロペスの名をここまで築き上げたんだ。父様はその地位を欲しがった。若さで地位を爺様から奪い、発言権を持つ爺様を排除した。俺は爺様と関わった記憶が少ない、少しでも爺様の事を知りたいんだ。」


 なるほどね、それが何でグリストに説教されるような性格になったのやら。


「分かった、一回部屋を出てくれる?先生も一緒に。」

「ッ、今までの事は謝る!罰を受けろというなら受ける!」

「別にダメだって言ってるわけじゃないよ。少し考えさせてってこと。数分で終わるから。」

「……分かった、頼む。」


 シーザーが部屋を出る。先生も何も口を挟む気が無いのか一言も話すことなく出ていく。


「グリスト、聞いてたでしょ。どう思う?」


 僕の呼びかけで体の中から影が出てくる。


「そうじゃのう。シーザーの言っとることは嘘には思えん。それにシーザーが言っておったのはまず間違いなく、アーロンの事じゃろうの。」

「じゃあシーザーが聞きたいことの多少は答えれるわけだ。」

「そうなるの、じゃが判断はセリアに任せようかの。これはシーザーとセリアの問題じゃし、主が嫌がることをするのも趣味じゃないからの。」

「原因はグリストだけどね。」


 僕もシーザーの言ってることは嘘じゃないとは思ってる。僕に頭を下げてまで嘘をつく意味が分からないし。ただ今までの事で思うことも無くはないし、どうしようか。


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