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7話 先生

遅くなりました。勉強したくないです。

 授業の後、重く感じる足を動かして職員室へ向かう。エイダ先生との話に聞き耳を立てていた人が居るのか教室を出ようとしただけで視線を感じる。


「しかし話とはなんじゃろうの。」

「さぁね。不満を言ってくるのか、無礼な言葉遣いを責めてくるのか。どっちにしろ碌なことになりそうにないよ。」

「なんなら儂が相手するか?」

「やめとく、言葉遣いとか違うし悪化する未来しか見えない。」

「そうかのぅ。」


 話しながら歩いていると職員室が見えてくる。扉の前でエイダ先生が待っている。


「待っていました、セリア学生。報酬は決めましたか。」

「はい。強化石にしようと思います。」

「そうですか、魔物の召喚を選ぶと思いましたが。」


 一般的には召喚した魔物がゴーストだったらなんとか変更しようと思うんだろう。まぁゴーストを召喚したって話を聞いたこともないが。


「ゴーストにもいいところはあります。皆が知らないだけなので、僕はこの相棒がいいんです。」

「分かりました。それでは強化石を用意しておきます。それとシーザー学生の件ですが受けますか?」

「断ることが出来るんですか?」

「可能です。家系の上下は確かにありますが学校では対等です。個人的な問題なら難しいかもしれませんが教員である私を通したということは管理を任せるということです。その場合、家柄を盾に迫ることは私が許しません。」


 以外だ、まさかシーザーが僕に断るという選択肢を与えるとは。単純に直接言いにくかったというだけかもしれないけど。それに先生がすごく頼もしい。かっこいい。


「ただ、私個人としては話をしてもらいたいです。」

「え?」


「家の位としては高い位置にいるロペス家、その長男であるシーザー学生が権力を振るわず対等な場で話をしようとしているのです。権力に頼って再びセリア学生を責めるようであれば私は関わろうと思いませんでした。非情かと思いますがここはそういう学校です。」


「しかし、シーザー学生は自分の力だけで対話を行おうとしています。今の学校ではまずないことでしょう。それはセリア学生も分かっていると思います。」


 それは当然だ。家柄での上下関係は当然。なにもおかしいことではない。むしろ権力を使わない人のほうがおかしいくらいだ。


「話し合いの場には私も立ち会うことになっています。何かあれば止めることもできるでしょう。普段のセリア学生の扱いは知っていますが、それでも私は話をしてもらいたいです。」


 先生の考えは完全に予想外だった。普段の立ち振る舞いから仕事の事だけを考えている、それ以外には興味のない先生だと思っていた。でもこうして話をしてみると生徒の事を思ってくれるいい先生みたいだ。少なくとも今はそう思うことが出来る。


「いくつか条件があります。一つ、話の内容がいかなるものでも口外しないこと。これはシーザーにも守ってもらいます。生徒間だけでなく親やほかの教員に対してもです。二つ、シーザーの態度や話の内容によっては僕はすぐに話し合いの場から出させてもらいます。三つ、話し合いの場に参加するのは僕とシーザー、それとエイダ先生だけです。この条件でいいなら話し合いもします。」


 これは全部僕の安全のためだ。話の内容を悪いように膨らませて口外されるとどうなるか分からない、口外せず参加するのがこの3人ならその対策にはなるだろう。それに理解できない言い分だったらすぐに部屋を出ればいいだけだし。


「分かりました。シーザー学生に話を通してきましょう。少し待っていてください。」


 そういうと先生が職員室の中に入っていく。シーザー学生は中で待機していたのだろう。

 1分ほどで先生がシーザーと一緒に出てくる。


「先ほどの条件で問題ないそうです。職員室ではほかの教員に聞かれる恐れがあるので場所を変えようと思いますがいいですか?」

「僕は問題ないです。」

「それでは行きましょう。」


 シーザーは出てきてから一度も目を合わせないがどうなることか。

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