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3話 対戦前

 結局2ヶ月の間では体作りすら終わることは無かった。

 朝起きてから鍛錬、朝食後に鍛錬、昼食後に鍛錬、夕食後に鍛錬、寝る前に鍛錬。もう食事や風呂以外は鍛錬しかしていなかった気がする。


「体は出来てきているんじゃがの、まだ足りんのう。」

「どうするの、明日から戦闘訓練始まっちゃうのに剣を振るどころが握ってすらないよ。」


 走りこみをしながら憑いているグリストに答える。傍からみると自分一人で話している変な奴だろう。

 始めた当初は辛く息が上がっていた訓練も今では話をしながらすることが出来る。辛いのは変わらないけれど。

 憑依も今では大して気持ち悪くならない。鍛錬のおかげなのかグリストの憑依がうまくなったのか、恐らく慣れだと思う。


「戦闘訓練は当たって砕けるしかないの。まだ剣を教えるわけにはいかんし、儂もセリア以外には憑依しても弾き出されるしのう」

「砕けるの確定なんだ、知ってたけどさ。はぁ、一人で頑張るよ。剣は…」

「だめじゃの、儂が教える限り体が出来るまで使わせん。素手で行って来い。」


 体が出来てからってのは分かるけど人は兎も角、魔物を素手で殴り倒して来いって意味が分かりません。僕武道家じゃないです。後衛の中でも魔物に戦わせる分、特に貧弱です。無理です。砕けます。


「いいや、明日は適当に戦って降参するよ。」

「妥当なところじゃな。よし、今日の鍛錬は終わりじゃ。明日に備えて早く寝るんじゃな。」

「そうするよ、汗流したら寝る。」


 はぁ、憂鬱だな。明日の対戦簡単に終わるといいな。




「それでは皆さん準備はいいですね。これから呼ぶ2人で戦闘訓練を行ってもらいます。魔物も含めた2対2での訓練となります。戦闘不能になった時点で終了とします。」

「先生、降参は可能でしょうか。」

「不可能です。実際の戦闘で認められることが少ないからです。」


 駄目か、めんどくさいことになった。早々に降参しようと思ってたのに。


「モグラのうえに腰抜けとは救いようが無いな!」


 グリストを召還した時にも野次を飛ばしてきた学生がまた野次を飛ばしてくる。学校にいる間よく突っかかって来る。毎回無視してるけどいい加減うっとうしい。よく飽きないものだ。


「のう、セリアよ」

「どうしたの?」


 憑依しているグリストが小声で話しかけてくる。

 普通は召還魔法の反転で魔物は元いた場所に返すらしい。必要な時に呼び出すみたいだけど、呼び出す魔力も馬鹿にならないし、グリストも帰りたがらないのでずっと召還しっぱなしにしている。


「モグラとはなんじゃ?お主のことじゃろ?」

「あぁそれね。エリシア魔法学校は性を持つ上位市民が通う所だからね。性を持たない僕は学校に潜り込んだモグラってことらしい。上位市民以外はお金が無くて通えないだけだから、性が無くても入学出来るんだけどね。」

「なるほどのう、気に食わんの。」

「上位市民からしたら一般市民が同じところに居るだけでも嫌なんでしょ。僕も両親や祖父のおかげで上位市民だけど、性も無いしほとんど一般市民と同じだから。」


 グリストは自分のことでもないのに凄く不機嫌そうだ。気にしては無いけど、僕のことで起こってくれていると思うと少し嬉しい。


「セリア学生前へ」


 っと、グリストと話をしていると自分の番が来たらしい。

 列からはずれ、円形の闘技場に入る。途中薄い膜のようなものがあったがすり抜けることが出来た。これは先生が張っている結界で攻撃は通さないらしい。


「シーザー・ロペス学生前へ」


 列から対戦相手が出てくる。不運なことに先ほど野次を飛ばしてきた生徒だった。

 あいつの名前今知ったな…。


「両者準備はいいですね。危険な攻撃は教員が止めその時点で終了とします。武器は闘技場端に設置してあるので戦闘中に自由に使用可能とします。持ち込んだ武器も使用可能です。それでは開始。」


「ゴーストを召還したモグラが相手とか、訓練になるのか?召還。」


 何かしらの野次を言わないと落ち着かないのかあいつは。

 シーザーが召還したのは腰ほどの大人よりやや大きい赤色のトカゲ。レッドリザードだったかな。炎に適正のあるリザード系の魔物だったはず。


「グリスト、憑いてると危ないかもしれないから出といて。」

「了解じゃ、無理はせんようにの。」


 攻撃を受けた際に弾き出されるとグリストも危ないかもしれないので外に出といてもらう。

 さて、極力怪我が少ないように負けるにはどうしたらいいかな。

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