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九十六話 アプティマスターとなった俺を襲う鬼様


「それで~あなたのお名前は~?」

 



 ラビコの質問にアプティさんがチラッと俺を見てからコップを眺める。


「アプティ……」


 小さく呟くと下を向いてしまった。



「ふ~ん、アプティね。それと~彼のことをマスターと呼ぶのはなぜかな~?」


 ラビコが俺を指しながら聞くが、アプティさんは下を向いたまま黙ってしまう。


 そしてガタッと立ち上がり俺の側に来て肩に手を置いてくる。


「マスター……あの人怖い……」



「ラビコ、この辺で許してくれ。アプティさんも悪かったな、俺がお茶に誘ったせいでこんなことに巻き込んでしまって。これで解散しよう、アプティさんまた今度お茶奢るよ」


 ラビコ、ロゼリィが何か言いたげだったが、お茶に誘ってもうお茶は飲んだ。


 これにて解散! 



「マスター……私はアプティ……アプティさんじゃない」


 呼び捨てでいいのか? まぁ、じゃあ。


「分かった、またなアプティ」


 俺が笑顔で手を振るがアプティは動こうとせず、俺の肩をがっつり掴んで離さない。


「……ない」


 え、なんだって? 小さく呟かれて聞こえなかった。


「帰れ……ない。私は、帰れない……マスターの側にいたい」


「え? えーと……」


 俺は立ち上がりアプティの手をゆっくり離し、俺の席へ座らせる。



 ラビコに近寄り小声で耳打ち開始。



「ラビコ、なんかワケありっぽいぞ。もしかして家出とかじゃないのか? だとしたら今は心が冷静でないから、放っておいて自棄になって何か変な行動起こされるのも後味悪いんだけども」


「う~ん、社長は損な性格してんな~ほっときゃいいと思うけど~まぁ一日ぐらい様子見てもいいかもね~」


 ロゼリィにも話をしようとしたら、アプティが俺の食いかけのオニオンスープを食べ始めた。


 この子クッキーといい、オニオンスープといい俺の物モリモリ食うのはなんで?




「ロ、ロゼリィ。ラビコと話したんだが、家出の可能性もあるから、一日宿に泊めたいんだが」


「な、なるほど。傷心の可能性がありますね。一日ぐらいなら……」









「マスター……おはようございます……」


「……おは、よう……」


 あれから三日後。




 アプティは気付いたら夜中に部屋の鍵を開け、俺の布団に潜り込んでくるようになった。


 合鍵無しにどうやって入ってきてんの?


 ま、まぁ毎朝アプティの髪のいい香りで目覚められるのは嬉しいけど。あと部屋の外の鬼も退治してくれるとさらに嬉しいんだがなぁ、アプティ。


「開けますよ! もう許しません! 毎日女性を無理矢理部屋に連れ込むとか、極刑です!」




 合鍵を装備した鬼が俺の部屋に乗り込んでくる一秒前に俺は思う、この子帰る気無ぇぞ。














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