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九十五話 鬼達との会議様


「いきなり女性に抱きつくとかどういうことですか! しかも多くのお客さんで溢れている食堂で……! 私にはそういうことしてくれないのに、なんで……!」


 


 すぐに意識を取り戻したロゼリィに首根っこを掴まれ、厨房の奥に連れ込まれた。


 俺はとにかく謝り頭を下げる。厨房のみんながニヤニヤ見ている。




「あっはは~まぁまぁ~社長はロゼリィを守ったんだから、その辺にしといてあげなよ~」


 心の友、ラビコ様が援軍で来てくださった。


「彼女~ロゼリィに攻撃をしようと構えたんだ~それに気付いた社長が決死のダイビング~ってやつさ~」


「そ、そうだったんですか……? ご、ごめんなさい、言ってくれれば……」


 ロゼリィがラビコの話を聞き、怒りを鎮めてくれた。


 助かるラビコ。今なら言える、お前は優秀な魔法使いだ。



「でも~なんであの大きな胸めがけて飛び込んだのかな~? どさくさかい~? 欲が溜まっているのかい~?」


「そ、そうですよ! なんで胸めがけて……!」


 前言撤回だ。


 単に火に油の迷惑魔女だ。






「…………」

「…………」

「…………」

「…………」


 その後、一つのテーブルを囲み無言で四人が見合う。


 ベスは俺の足に絡んで丸くなっている。



「やぁお待たせ。本日のランチセット、たっぷりオニオンスープだ。これでもかってぐらい玉葱が入っているよ。ロールパンにサラダもどうぞ、ドリンクは何がいい?」


 わざわざイケメンボイス兄さんがランチセットを持って来てくれた。


 すいません兄さん……で、そのウインクはなんですか。サラダセットを運んできてくれたセレサもニヤニヤしている。ああ、楽しんでいるなこの人ら。



「アプティさんはさっきのポットアップルティーがあるけど、別になにか飲みたいかい?」


「……これで大丈夫」


 ポットからぐいぐい注いでアップルティーを飲んでいる。むしろポットごとおかわりが必要か。


「俺はアイスティーでお願いします」


「私も同じで」


「え~と、アルコールはないの~? ない? あ、そう~じゃあコーヒーで~」



 うお、このオニオンスープ入ってる玉葱の量が半端ねぇ。どれ、おお、玉葱の甘みがすごい。少量入っているにんにくがぐっと味をしめてくれる。


 俺が食べたのを見て、アプティさんがたどたどしくスプーンを使い食べる。


「…………ほわ……」


 無表情なのだが、明らかにほっぺが緩んだ。


 幸せそうなオーラが見えるぞ。よかった気に入ってくれたみたいだ。



「ふむ、おいしいね~さて~社長、彼女はどこから拾ってきたのかな~? やけに慕われているけど~?」


「知り合ったのはさっき。アップルティーを飲みたそうにしていたから連れて来た、以上」


 どうだ、清廉潔白だろう。



「そういうのナンパっていうんじゃ……」


 ロゼリィが厳しい突っ込み。そこに気付くな……。


「有罪! これは有罪だね~」


 ちょっ……判決早すぎだろ! ラビコはニヤニヤと楽しそうにしている。


 アプティさんがポットが空になり、しょんぼりしている。追加必要か。



「セレサ、ポットもう一個追加してくれないか」


「はーい、ポット追加ー」


 すぐにセレサがポットアップルティーを持って来てくれた。



「マスター、ありがとうございます……優しい……」


 表情は変えないがアプティさんが嬉しそうにしている。


「あ、ああ。気にせず飲んでくれ」



 そのやり取りを見ていたロゼリィがむすっと不機嫌に。



 今日は何やってもロゼリィを怒らせてしまっている、どうしたもんか。







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