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2 異世界転生したら周りがすごい人なんだが

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九十話 ラビコとアンリーナの視線の先様

 

 販売開始当日。



 宿の前には数千人の列が出来ていた。


 街の人も多くいるが、街の外から来たと思われる人がかなりの数。




「すごいな、これは……」


 販売するのはこの宿ジゼリィ=アゼリィのロゴ入りシャンプーとボディソープ。


 お風呂で使ってもらう使いきりタイプとして40mlぐらいの小瓶での提供となる。価格は6G。


 世界でここだけの販売、初期ロットにはナンバリング入りというプレミアム感が効果あったようだ。


 アンリーナが事前に警備員を手配してくれ、列の整理をやってくれている。




「うふふふふふ、ふふ……」


 ロゼリィがアンリーナから貰った、ナンバリング『0001』のアンリーナのサイン入りシャンプーを太陽に照らしニヤニヤしている。


 特別にアンリーナが持って来てくれた。


 0021~1000は先着順、0002~0020までは抽選券配布の抽選販売となる。




「なんか色々すまないな、アンリーナ。今度何かお礼をさせてくれ」


 ローズ=ハイドランジェのほうで大々的に宣伝をしてくれたらしく、びっくりするぐらいの人が押し寄せている。


「私としてもこの反響の多さは計算外でしたわ。ここ数年出した新作で一番の反響でしょうか。ルナリアの勇者誕生の地、という知名度はある街なのですが、列車が通っていないという交通の便の悪さがどう出るかと不安だったのですが……杞憂でしたわね」


 ……列車? え、この世界って列車あんの? 初耳だぞ。


 アンリーナがすすっと寄って来て俺の手を握る。


「師匠のおかげで新たな戦略が確立出来ましたわ。今後もこの宿との協力関係は続けていきたいと考えていますので、よろしくお願いしますですわ。師匠が個人的にお礼をくれるというのなら、今度私と二人きりで旅行とか……」


「あっはは~お邪魔するよ~やぁ~アンリーナ~」


 アンリーナが何か言いかけたところで背後から話しかけられた。


 アンリーナがむっとした顔で振り返るが、声の主がラビコと気付き驚いている。



「ラ、ラビコ様!? この街にいるとは聞いていましたが、お会い出来るとは……!」



 ん、知り合いなのか? この二人。


「ずっとこの宿にいたさ~すれ違いだったね~王都の魔晶石の仕入れは頼んだよ~」


「いつもありがとうございますです。大口の仕入れ助かっています」


 おや、なんだろうこの関係。


 そういやラビコ、ローズ=ハイドランジェは魔晶石の販売で有名とか言っていたか。



「いや~ハイドランジェの魔晶石は質が高いからねぇ~おかげで王都の魔法使いのレベルもあがったよ~あっはは~」


 アンリーナがぺこぺこ頭を下げている。


 魔晶石ねぇ、見たことないな。


「ラビコ、魔晶石ってどんな物なんだ?」


「あっはは~社長には一生必要のないものさ~ホラこういう物さ~」


 ラビコが無造作にロングコートのポケット探り、光る石を投げてくる。


 なんというか綺麗な水晶。


 ミニトマトぐらいの大きさで色は紫色。


 別になんにもパワーを感じないな、てっきり持ったら輝くとかそういうのがあるかと思ったが。俺に魔力が無いから? やめろよ泣くぞ。



「それ紫魔晶石じゃないですか……それだけで五万G以上は……。あの師匠? ラビコ様とはどういうご関係でしょうか……?」


 え、ごま……やべぇ、これだけで五百万円、一財産の価値かよ。そんな物ポンと投げるなよラビコ……。



「彼は私の社長さ~今私は雇われているのさ~ね~社長~?」


 ここまでビタ一文支払ったことないけどな。つーか払えるわけないけどな。


 一日一万G、日本感覚一日百万円って無理だろボリすぎだろ。



「一応部下みたいだぞ。金払ってないけどな」


「す、すごい……! 世界で五本の指に入る大魔法使いを従えていらっしゃるのですか……! 師匠って何者なのですか……!?」


 ラビコってそんなすげーのか? 確かに本人が言っていたが、あれマジだったのかよ。


 世界で数人しか使えない天を操る魔法使いとかなんとか。砂浜で見た空から放つあの光の柱の魔法はすごかったな。


「もしかして師匠ってものすごい冒険者だったりするのですか!? 確かに放つオーラが普通じゃないと思っていましたわ!」


 アンリーナが興奮して俺に抱きついて来たが、これ見せてもいいもんなのかな。


 まぁ、いいか隠すような物じゃないし。


 俺はズボンのポケットに手を突っ込みまさぐる。



「し、師匠?」


 あれ、えーとあった。


 アンリーナとラビコが俺の股間を凝視している。なんだよ顔赤くして。


「はい、これ」


 俺はポケットから一枚のカードを取り出し、アンリーナに渡した。


「なんだ~期待させといても~てっきり社長の社長部分を見せてくれるのかと思ったのに~」


 外には数千人の列があり、宿内もあわただしくみんなが動いている中でなんで俺がズボンからいきなりアレを出すと想像したんだよ。


 ありえねーだろ。捕まるだろ。


 赤い顔のアンリーナも残念そうな顔でカードに目を通す。



「冒険者クラス、街の人」


 ってことだ、悪いな理想を壊して。


「街……そ、そ、そうなのですか……! で、でも師匠は商売の才能が溢れていますですし、私としては問題ありません! むしろ冒険者じゃないほうがお父様に紹介しやすいですわ!」


 なんで俺がアンリーナのお父さんに紹介されんだよ。



 そんなことをしているうちに販売開始時間になり、俺も慌てて商品包み係に入る。














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