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八十三話 ソルートン防衛戦 16 誘う妖狐と少し心が揺らぐ男様


 銀の妖狐はぽーんと跳び、俺達の前の海に着地。


 ラビコが杖を構える。




「殺すつもりなんかないよ、あるなら最初からやっている」



 妖狐は海の上にしゃがみ、胡坐をかいた。


「だろうな、水龍といい形だけの見せ掛けばかり。弄ばれた気分だ……このクソ狐、目的を言え」


 ラビコがギッと睨む。



「目的? ずっと言っていたよ。僕は彼とお話がしたい、と。街への侵攻は阻止され、死の恐怖を感じる攻撃を喰らい、今の僕は敗者だよ。都合の悪い質問以外には答えてみようかな」



 妖狐は自分の少し腫れ、血の跡がある右頬を指す。


 ラビコが目を見開いてその傷を見、俺のほうにくるっと体を回転させた。


「死の恐怖の攻撃だ、と? 銀の妖狐相手に攻撃を当てるとか何をしたんだ!?」


「思いっきりぶん殴った。それだけだ」


 俺はそのまま答えた。



「バカな……どうやったらあの吐き気の出る気味の悪い高速移動中に攻撃を当てるのだ!」


 ラビコはワナワナと震えだす。


「吐き気の出る気味の悪い高速移動って……そんな風に思われていたとかちょっとショックかな」


 妖狐が苦笑い。ラビコがギッと睨む。


「悪いがお前とはのほほんと談笑する気にはならん。どれほどの多くの同胞の命が奪われたか……!」


「それはこちらも同じさ。僕のかわいい子供達をどれほど消し去ったというのだ君等は。なんなら今、本気でやろうか?」


 二人が激しく睨み合う。


 まずいぞ、こいつの気分が変わらないうちにさっさと用事済まして帰ってもらわないと……。




「待て。お前は俺に用があるんだろ。お話とやらは何だ」



 俺がそう言うと、すっと柔らかな表情になった妖狐は立ち上がり、ゆっくり俺に近づいて来る。


 戦闘態勢を取るラビコ、ベスを俺は手で抑える。


「出来たらもっとゆっくりお話がしたいところだけど、そうもいかない雰囲気だしね、簡単に言うよ。僕等とおいで、君はこちら側に来るべきだ。帰りたくはないのかい? 僕等はその方法を探し行動をしている」


 最初にこいつは俺に言った。君、この世界の住人じゃないだろうと。


 帰る……元の世界にということか。その方法を探している? 



「…………」


 元の世界……はっきり言って今の今まで忘れていたぞ。


 帰りたい? こんな毎日ワクワクする世界と、頼りになって楽しくて面白くて今俺の一番大切な仲間達を置いて帰る? ありえないな。


 はっきり言おう、この世界こそ俺が求めていた世界であり、俺が愛すべき世界である。誰が帰るか、まだ異世界のほとんどを見ていないんだ。



「俺はお前のところには行かない」


 当たり前だ、行くはずがない。


「……ああ! そうか、女性かい? 大丈夫だよ、君好みの女性を何人も用意しよう。うちには美人で気立てのいい女性がいっぱいいるよ。毎日君を満足させてあげることが出来るよ」


 え……ん? ほぉ……毎日満足、ですか、フゥーン……


「おいコラ! そこでだらしねー顔すんな! 女なら私がいんだろ!」




 ラビコがガツッと抱きついてくる。


 え、俺変な顔になってました? 何を言われても微動だにしない毅然とした男を演じていたはず……。







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