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八十二話 ソルートン防衛戦 15 復活の紫の光様


「おとなしく……し……!? ひっ!!」



「おりゃあああああ!!」


 タイミング、角度どんぴしゃ。


 俺は銀の妖狐の右頬を全力でぶん殴った。




 鈍い音が響き、銀の妖狐の口の端から血が流れる。



「くく……はははははははははは!」


 妖狐は狂ったように笑い、口の血をぬぐった。



 俺は右手を下ろし妖狐を睨む、俺にこれ以上の策は無い。


 ベスが俺の足元に絡んできたので、頭を優しく撫でる。ありがとうなベス、お前のおかげで一矢報いることが出来たよ。



「はははははは……! すごい……すごいな君! ねぇどうして僕が跳ぶ場所が分かったんだい!? 偶然? いや、君はここに全力で走って来ていたよね。ははははは……! 今のが死の恐怖……僕は今一瞬死の恐怖を感じたよ!」


 なんでこいつこんなテンション高いんだ。脳でも揺さぶられたか。


「君は力は無いのに目はいいんだね。さっきまでの僕の行動を見て仕組みを理解し、パターンを分析。そしてすぐに行動を予測しピンポイントで殴りに来た。さっきまでの余裕ぶっていた僕が恥ずかしいぐらい見事にやられたよ」


 妖狐は同性の俺が見ても美しいと思う顔を俺に近づけてきた。細い指で俺の頬をなぞり恐ろしいことを言った。



「ねぇ……君が欲しい」



 俺は背中に氷水でもぶっかけられたように悪寒が走り、ベスがビビッて俺を二度見するぐらい体が震えた。



「何が君が欲しいだ、この変態狐が! 私の男から離れろ! てめぇの島の木のうろにでも突っ込んでりゃいいだろ!」



 海が紫に光り、杖を持った女性が海中からもの凄い勢いで飛び出してきた。


 ドロップキックを食らわそうと真横から仕掛けるが、妖狐はぽーんと跳び、沖のほうに着地する。



「とどめを刺さなかったのは甘いな! ジゼリィの防御魔法を甘くみるなよ! 魔力のこもっていない形を成しただけの龍など痛くもないわ!」



 俺の前に着地し、俺を守るように戦闘態勢を取る女性。


 杖にはキャベツが刺さっていて、フード付きのロングコートを格好良く着こなし、中は水着のみというスタイル。


「ラビコ! よかった……無事だったんだな!!」


 俺はラビコを背後から抱きしめる。ケガはしているけど、ラビコだ……よかった。



「き、気絶していただけだ。なんだ欲情したのか? ……そうか、野外のほうが燃えるタイプなんだな?」



 少しは感動の再会をさせてくれ、ラビコ。






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