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七十九話 ソルートン防衛戦 12 紫の輝き様


「君等、フルメンバーでも僕に勝てなかったじゃないか。覚えているよ、人間にしては上出来の部類だからね」




 海賊おっさん、ジゼリィさん、ローエンさん、ラビコが構える。



「はは! 引きこもりのお前が外に出てくるとはね。正直驚いたよ」


 ラビコが俺の前に立ち、鋭い視線を向ける。


「面白い物を見つけたからね、もう心が踊ってしまってさ」



「銀の妖狐……覚悟!!」


 お姫様率いる車輪部隊のフォーメーションアタック。


 巨大な円月輪が海を切り裂き銀の妖狐に迫る。



「会話中に無粋だなぁ。そのおもちゃは面白いと思うけど、乗り手が残念だね」


 妖狐は顔を向けることも無く右手を動かし、水の龍が裂けんばかりに大口を開く。


「だめだ! 逃げろ!!」


 俺は叫ぶが、龍はもう光の塊を吐き出していた。


 光の塊と巨大な円月輪がぶつかり、金属を擦り合わせたような嫌な音が響いたと思ったら、円月輪は壊れ吹き飛んでいった。


「まずい……! 助けないと……!」


 俺は海に向かおうとするが、ラビコに止められる。


「死んじゃいない。車輪が乗り手を守ってくれている。心配するなら今後の私達の未来だな」


 巨大な水の龍の顔がこちらを向き、妖狐が笑う。




「僕はお話をしにきたんだ。紅茶の香りを楽しみながら談笑しようじゃないか、ねぇ君。今、邪魔者は排除するよ」



 水の龍が吼え、こちらに突撃してくる。


「ぬぅううううん!! ……ぐうっ!!」


 海賊のおっさんが大斧で龍を受け止めようとするも、斧が割れ、吹き飛ばされる。


「マルブルファルゥ!」


 ジゼリィさんが防御魔法を発動。分厚い光の壁を前方に出すも、水龍の大口には効果は無く紙のように食いちぎられてしまう。


「これはマズイな、牙の一本ぐらい……アンブルエスカ!」


 ローエンさんが両手に光る円盤を出し、投げつける。水龍の下顎に当たり、巨大な牙を数本折るがそこで円盤は消えてしまい二人が龍に飲み込まれる。これ、下手したら全滅……。



「なめるなよ! こいつは誰にも渡さん! 魔女の覚悟を見せてやる!!」


 ラビコの纏う紫の光が急激に大きくなる。


 杖を地面に突き刺し両手から紫の光の槍を生み出し、龍の顔に向けて射出する。


 一度に十~二十近くの光の槍を生み出し次々と龍の顔に着弾。その爆発で龍の顔の一部が吹き飛んで行く。


 すごい……いけるぞ! ラビコ!



「か弱い人間が無詠唱魔法の連続使用は体がもたないからやめたほうがいいと思うよ。しかもそれほどの上位魔法、もしかして命懸けかい?」


 妖狐が微笑みながら言う。


 な……体に負担!? ラビコ! やめるんだ!



「うるせーよ! 最後ぐらい好きな男にいいとこ見せてーんだよ! お前等には一生分からん女心ってやつさ!」


 ラビコが杖に紫の光を移し、くるっと俺のほうを見る。杖は自動で剣を射出し続けている。



「お前とはもっと一緒にいたかった。ずっと楽しく過ごしたかった……」


 ラビコが俺に抱きついてくる。


 驚いている俺に顔を近づけ、俺の口にその唇を優しく重ねてくる。



「……はは、ごめん」


 ラビコは微笑み、俺を突き飛ばす。




「さぁついて来い! 龍ごときに負ける魔女ではないぞ! あはははは!」


 ラビコが杖を取り、空へ舞う。


 顔が半分吹き飛んだ水龍もラビコを追い、飛ぶ。紫の光を散らしながらラビコは一直線に銀の妖狐に飛んで行く。


 あのバカ魔女……! 自爆するつもりか!? やめるんだ!



「へぇ、君ってこういう戦い方したっけ? もっと自分本位な我が儘魔女ってイメージだったけど」


 紫の光に包まれたラビコが追って来た水龍と共に銀の妖狐に突っ込んでいく。龍が海にぶつかり、巨大な水柱が吹き上がる。



 そして紫の光の輝きが小さくなり、消滅した。







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