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七十六話 ソルートン防衛戦 9 蒸気のバージンロード様


「押し返せ! 全てだ!」



 ベスが青い光を纏い、上空の魚ゴーレムに向けて跳び上がりラビコを押しつぶそうとしていた魚ゴーレム達を弾き飛ばしベスが着地。



「ベス! そのまま戻れ! 道を作るんだ!」


 ベスが吼え、青い光を纏ったまま俺に向けて走り出す。


 魚ゴーレムが弾かれ、一直線の道が出来上がった。



「迎えにきたぞバカ魔女! 一人で無茶なことしやがって……! 言いたいことがいっぱいある! お前は俺の横にいるぐらいがちょうどいいんだ! 俺の右側がお前の居場所だラビコ!」



 ラビコがゆっくり立ち上がり、ニヤァと笑う。


「はは……なんだ、まるで私がお前の女のような発言じゃないか。この道はお前へのバージンロードってか? ははは……あはははははは! いいだろう、ゴーレム弾いて作った道通って俺の横に来いとか、こんな面白い求愛初めて聞いたぞ! お前は実に魔女の喜ばせ方を分かっている」



 求愛? いや、一人で危険な戦い方した文句を言いたいだけだ。


 魚ゴーレムがラビコの後ろから迫ってきた。



「ラビコ! 後ろ……!」


 ラビコは後ろを振り返ることもなく、体に纏っている紫の光を膨らませ周囲の魚ゴーレムと紅鮫を弾き、蒸発させていく。


「邪魔をするな、お前等は私達のはなむけの煙にでもなっていろ……あっははは!」


 ラビコが狂喜の笑顔。


 紫の光に触れたゴーレム達を蒸気に変えながらゆっくり、真っ直ぐ歩いてくる。


 ちょ、ちょっと怖い。




「来たぞお前の横に。この私を呼びつけておいて何も無いとか白けさせんなよ? 私の欲は深い……」



 俺はラビコを優しく抱く。体中傷だらけじゃねーか、バカが……。


「ひっ……! お、おまっ物には順序ってのが……」


「ありがとう、ラビコ。お前のおかげで街の人は救われた。よく頑張ったな、えらいぞ」


 ラビコの頭を優しく撫でる。


 色々言いたいことはあったが、今は……いいや。




「…………」


 ラビコが静かになり、紅くなった顔を俺に近づけてきた。


「じゃあ、ご褒美よこせ。舌を絡ませるやつ」


 ちょっ……まだもの凄い数の敵に囲まれてんだから、そ、そういうのは……!





「ふん、こんな状況で見せ付けてくれるな。ラビィコール」



 真上から声がした。


 見ると上空から空飛ぶ車輪十個が綺麗な円を描きながら降りてきた。


 な、なんだあれ?



「……ちっ、タイミングの悪い。そんなだから男が出来ねーんだよ変態女」


 ラビコが舌打ち。




「緊急支援要請の報告を受け、寝ずに飛んで来たら舌打ちに変態女扱いとか、実に来た甲斐があるじゃないか」


 この声、王都のお姫様か?


 円を描く速度が上がり、空飛ぶ車輪に乗った騎士達が槍を構えた。



「我が名はサーズ=ペルセフォス。ブランネルジュ隊はこれよりソルートン救出作戦を開始する! 全て、なぎ払え!!」




 俺達を円の中心とするように回っていた空飛ぶ車輪が、お姫様の合図と同時に放射状に飛び立ち、次々と蒸気モンスターを蒸発させていく。














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