六百九十九話 超ウマ七色パスタと久しぶりのアリーシャとロージ様
「うまーー! さすがシュレド……見た目もカラフルでおしゃれ、そして何より美味い!」
「あざっす旦那! 旦那のアドバイスとボー兄さんの教えをキッチリ守って、さらに王都という場所の客層に合わせてがんばったっス!」
久しぶりの王都ペルセフォス。
昨日の午前十時すぎにソルートンを出て二十五時間後、十一時過ぎに到着。
魔晶列車内では固いパン等、なんとも言えない物しか食べられなかったので、人間の食い物を求めてカフェジゼリィ=アゼリィに来た。
お店はお昼で大混雑だが、オーナー代理の権利を使わせてもらい、見た目筋肉モリモリのシェフシュレドに頼み、三階の小部屋を解放してもらった。
すまん、お腹がすきすぎて、もう余裕がなかったんだ……。
「ふふ、美味しいです。さすがシュレドさんですね」
「うま~! こっちのデザートのフワフワパンケーキも超美味い~」
「やっべ、超うめぇ。ソルートンのとは違う感じだけど、スプーンが止まらねぇぞ、にゃっははは!」
「……マスター、紅茶が美味しいです……」
「これです、これ! いつも食べている味! 私、お仕事が終わったら必ずここに来ているんです! だって毎日先生と同じ物を食べないと、妻とは言えませんからね!」
「ベッス!」
宿の娘ロゼリィ、水着魔女ラビコ、猫耳フードのクロ、バニー娘アプティに騎士ハイラが用意してもらったランチセットに大興奮。
愛犬ベスも専用のランチを用意してもらい、満足気。
本日のランチは『季節の野菜の七色パスタと魚介のトマトスープ』。
赤に緑に黄色にと、生地に野菜が練り込まれたと思われる麺にカラフルな野菜が添えられたクリームパスタ。
そして貝がたっぷり入った、魚介のうまみをとんでもなく感じるトマトスープ。
美味い……ソルートンのイケボ兄さんとは違う味付けだが、美味い、満足だ……。
これ、パンがいくらでも食えてしまうぞ……。
デザートにナルアージュさんがパンケーキを作ってくれたが、水着魔女ラビコが大絶賛する美味さ。
これは行列が出来ますわ……。
「うわー、胸元君だー! 久しぶりー! もっと王都に来てよー、私たち寂しかったんだよー」
「わわっ、お久しぶり胸元君。やっと会えた……嬉しい」
全員モリモリお昼ご飯を食べていたら、お水ポットを持った女性ウエイトレス二人が入ってきて、小走りに俺に近寄ってくる。
「アリーシャにロージじゃないか、久しぶり。今日は騎士学校お休み?」
二人はペルセフォスの騎士学校に通う学生さん。
サーズ姫様のはからいで、俺が騎士学校に体験入学をさせてもらったときにお世話になった女性二人。俺と同じ十六歳、だったか。
俺の呼称が胸元君なのは……その、授業中に俺がハイラのお胸様を凝視したから、だったかな……。いい加減変えて……。
「うん! 昨日まで試験だったから、明日までお休みなの。しばらく王都にいるの?」
「ああ、どうだろう、特に予定はないけど……しばらく滞在してもいいかな」
「やった、色々お話したいことがあるの」
俺たちが王都に来た目的は、騎士ハイラを送り届けるため。
それ以外は目的無いけど、まぁ久しぶりの王都だし、カフェの様子も気になるし……しばらく滞在してもいいか。
「王都にいるあいだは基本カフェジゼリィ=アゼリィでご飯食べるし、そのときなら大丈夫だよ」
「そっか……というか、普通にラビコ様と一緒だし……胸元君ってパーティーメンバーどうなっているの……」
「ハイラ先輩もいるし、胸元君って人脈すごいよね……」
アリーシャとロージが、俺の周りの女性陣をチラチラ見ながら小声で言う。
俺のパーティーメンバー?
ああ、まぁロゼリィはここの経営者の娘さんだし、他にも正体は言えないけど魔法の国セレスティアの第二王女様であるクロと、蒸気モンスターのバニー娘アプティとかいるしな……。
うん、自分でもよく分からんパーティーだわ……。
「ああ……生き返った……」
お会計を済ませ、外へ出る。
やっと人間の食い物で腹を満たし、俺、愛犬、女性陣大満足。
相変わらずお店の行列がすごいな。パッと見、老若男女、偏りのない客層なので、その辺はシュレドとナルアージュさんが上手くメニューを組んでいるってことだろう。
一般の人に冒険者に騎士、職業に偏りもなさそうだ。
「じゃあそろそろあの変態姫にでも会いに行きますかね~。な~んかあいつの思惑通り動いて悔しいけど~。多分、何か社長に用事でもあるんだろうね~、あっはは~」
水着魔女ラビコが俺の横に来て言うが、サーズ姫様の思惑通りで俺に用事?
はて、王都にはハイラを送りに一緒にきたのだが……サーズ姫様の用事とは一体なんだろうか。
「異世界転生したら愛犬ベスのほうが強かったんだが」
書籍 ① ② 巻 発売中!
コミカライズ版 ① 巻 発売中!
++++++++++++++
【以下定型文】
作品を読んで興味を持ってくれた読者様! よろしければ下にある
『☆☆☆☆☆』のポイントをよろしくお願いいたします。
応援する意味でブックマーク登録やご感想、レビュー等いただけたらとても嬉しいです!
影木とふ




