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18 異世界転生したら腹を舐められたんだが

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六百八十六話 高額クエスト報酬でバニー三人の記念品様





「……あ、しまった忘れてた。昨日の報酬を受け取りにいかないと」



 朝、バニー娘アプティに起こされ、他にアーデルニとドロシーもいて驚いたが、二人を見ていてふと思い出した。


 そういや、昨日の海と山のクエストの報酬を受け取っていない。


 まぁ……昨日は闇の種族の方々襲来とかで、色々あったからな……



 朝食は焼き立てパンとコーンスープ、ハムにサラダを軽くつまみ、ソルートンの中心部付近にある冒険者センターへと向かうことに。




「私、いりませんよ。もうすぐ辞めますが、私はまだ冒険者ではなく、騎士ですから」


 クエストに参加していたメンバーである騎士ハイラ、バニー娘アプティ、メイドバニーであるアーデルニとドロシーを連れて行くが、ハイラが報酬拒否。


 ああ……そういやハイラは騎士だし、冒険者の資格は持っていないもんな。


 騎士辞める辞める言うわりに、こういう区分はしっかりしてんのか。


「……分かった。じゃあ後で手伝ってもらったお礼を個人的に贈らせてもらうよ」


 でも参加はしていたし、冒険者センターからの報酬は無くても、俺からのお駄賃はあげられるか。


「え、いいんですか! やった、じゃあ指輪がいいですぅ!」


 俺のセリフにハイラが大興奮しているが、ん? 指輪……?


「あ、でもそれじゃあソルートン組の皆さんと同じになるだけですね……それはダメです。ここは皆さんより、もう一歩か十歩も先に進まねばなりません。その為には……うーん、うーん、何がいいかなぁ……」


 ハイラが一人でコロコロと表情を変え、長考モード。


「な、何がいいか考えておいてね……」




「あ、待ってましたよー。昨日のクエスト品の査定が終わっていますので、個別ブースへどうぞ」


 冒険者センターの中に入ると、カウンターから元気に手を振る女性の姿が。


「あ、リズベルさん、これブルードロップです。昨日は帰ってしまってすいません。夜遅かったもので、日を改めようと……個別ブース?」


 冒険者センターの職員であるリズベルさんが、ちょっとした囲いがある、いわゆる個別ブースに俺たちを案内してくれた。


「いえいえ、こちらこそ査定にお時間がかかってしまい、申し訳ございません。ってうわっ、これブルードロップじゃないですか!」


 あれ、リズベルさんが驚いているぞ。



 俺たちが椅子に座ると、サービスの紅茶まで出してもらえた。


「…………」


 バニー娘アプティが、無表情ながら出された紅茶に敵意を向ける。


 ちょ、アプティさん、出してもらった紅茶には『美味しいです、ありがとうございます』一択なんですって!


 たしかに冒険者センターの紅茶は美味しくないけど。


 でもこないだ、ルナリアの勇者さんのことで二階に行ったが、あのときの紅茶は宿ジゼリィ=アゼリィで出しているレベルの美味しいやつだったなぁ。


 まぁあれは、冒険者センターのソルートン支部長さんがいたから、だったんだろうけど。


「うん、冒険者センターって味ですよね、先生」


 騎士ハイラが、紅茶を飲みニッコリ笑う。


 ああ、うん、まぁ余計なこと言っていないし、OK。


「ご主人様、この余計な雑味が出た物はなんでしょうか。色のついたお湯レベル、いえそれ以下……」


「なんだろね、これ。ランディーネにこれ出したら怒りだしそう」


「うぉああああ美味しいなぁ! この尖がっていない感じが普段飲みに最高なんだよね! おかわり!」


 メイドバニーであるアーデルニとドロシーが顔をしかめ、一番やっちゃいけない食レポを言う。


 俺は慌てて紅茶を飲み干し、大声で元気におかわりを要求。


「あ、はーい、ソルートンの英雄さんは紅茶が好きなんですねー」


 冒険者センターの職員であるリズベルさんが、笑顔でおかわりをくれる。


 いや、出来たら飲みたくないんですが、飲まないといけない状況になったのでね……



「そ、それよりリズベルさん、査定のほうはどうなりましたか」


 俺はすぐに話題を変え、本題へと入らせてもらうことに。


「あ、はーい。こちらですね。ええとまず海でのクエスト、赤い貴婦人探しですが……五匹全部で7500Gですね」


 リズベルさんが、お金が入った小袋をドンと机に乗せてくる。


 ななせん……?


 えっとそれって、日本感覚だと……七十五万円!


 ちょ、あの赤い魚、そんなに高額なんですか!


「うわぁ、すごいんですね、あの赤いお魚さん。私、ソルートンに来たら赤い貴婦人ハンターになろうかなぁ」


 騎士ハイラもその報酬に驚いているが、確かに魚五匹納めて七十五万ってすごくないか。


「ふふふ……まだまだありますよ英雄さん。本命はこちらでしょう。さぁドン! ブルードロップ探索の報酬がこちらです!」


 リズベルさんが、お金が入った小袋を机にドンと置く。さっきより膨らみが大きいぞ、あれ。


「ブルードロップの査定額は……なんと10000Gです!」


 い、いちまん……! 


 それって百万円じゃないですか!


 すご……!


「細かな査定ですが、まず赤い貴婦人のほうから。こちらは大きさが最大クラスの上、お魚さんに傷が全くなく、特徴である長いヒゲが切れることなくしっかり残っていたのが高額のポイントですね。よくこんなに綺麗な状態で捕獲出来ましたねー、査定専門の人が驚いていましたよ。ブルードロップのほうは、欲しい人がたくさんいるんですよ。状態も素晴らしいですし、即金で10000Gです」


 リズベルさんが査定の説明をしてくれたが、ああ、まぁ……魚は、まず海の上を歩いてサーチ、見つけたらアーデルニが手刀の衝撃波で海を割り、その瞬間アプティとドロシーが裂け目に飛び込んで魚を手づかみ、っていう、人間には絶対に出来ない漁法なんですよ……


 ブルードロップのほう、あれ実は見つけたのは俺たちではなく、闇の種族の上位蒸気モンスターであるグレイフィルさん、なんですよ……


 俺たちの受けたクエストを調べて、事前に入手。


 そして俺とアプティたちを分断させるための餌として使ったやつで、よく光る良いやつを探したそうです……


 話したら譲ってくれたので、それを提出したってわけなんです。




「じゃあこの報酬は、アプティ、アーデルニ、ドロシーで山分けだな」


「……?」


「いえ、ご主人様がお受け取り下さい」


「いらないよー? 連携を学ぶ為の、ただの踏み台だしー」


 冒険者センターを出て、お金を三人に渡すが、受け取ろうとしてくれない。


「え、いや、これは三人が頑張った結果だし、報酬は大事……」


「……そんなのより、マスターのナデナデ……」


「さすがアプティ様です、私もそっちのほうがいいです」


「やった、ご主人様のナデナデー!」


 なんとか渡そうとするが、お金そっちのけで、三人が頭をぐいぐい俺に擦りつけてくる謎の状況に。


 うーん、とりあえず頭を撫でておくか……



「でもなぁ、これは受け取れないし……そうだ、じゃあこのお金で、三人の記念品を買おう」


 お金をまったく受け取ってもらえないし、俺が受け取るわけにもいかない……ならば、今日という日に、三人が一緒に頑張ったという証拠を記念品として残そうじゃあないか。




「うわぁあああ見て見てアーデルニー、美味しそうな石がたくさんあるー!」


「ドロシー、はしたないですよ。魔晶石は美味しそうではなく、綺麗と表現すべきです」


 冒険者センターの近くの高級街にある、商売人アンリーナのお店に来てみた。


 ここはローズ=ハイドランジェ製の、高品質な魔晶石がズラリと並んでいるお店。


 さすがにアンリーナは……いないか。



 メイドバニーであるドロシーが大興奮。


 アーデルニもドロシーをたしなめてはいるが、口からうっすらヨダレが出ている。


 17500G、日本感覚175万円もあれば、かなりの魔晶石が買えるはず。


 それを三つ買って、今日という日の記念品にしよう。



「……美味しそう……」


 バニー娘アプティも無表情ながら興奮しているな……


 まぁ彼女たち蒸気モンスターにとって魔力は命の源らしく、これがないと生きていけない物になる。


 雑に人間に当てはめると、「ごはん」が一番近い表現なのかな?


 魔力が詰まった魔晶石って、蒸気モンスターにとっては美味しい物らしいし。


 定期的にバニー娘アプティに買ってあげているが、マジでこの透明な石をガリゴリ噛み砕いて食べるんですよ……


 安い魔晶石は「……砂漠でしょうか」とかアプティが言っていたが、お高い魔晶石は美味しいみたい。


 175万円もあれば、美味しい魔晶石が買えるだろ。



「じゃあこれを受け取って欲しい。昨日はお疲れ様。そして俺を助けに来てくれてありがとう。三人が側にいてくれて、とても心強かったよ」


「……マスター、綺麗……」


「ありがとうございます、ご主人様。なんと嬉しいお言葉、こちらはご主人様からの贈り物として、大事にしたいと思います」


「美味しそー! え、これ食べちゃだめなのー? ううう……ご主人様からの贈り物……でも美味しいやつ……ううう」


 お礼を言いながら魔晶石を渡すが、それぞれ反応が違い過ぎる……。


 いや、もちろん受け取ったあとは、どう使おうが三人の自由だよ。



 バニー娘アプティは話すのが苦手で、同じ水の種族の二人ともあまり話せていないけど、同じクエストをクリアして、同じ記念品を持っているってなれば、少しは三人の絆が増すのでは。



「決めました先生! 私は先生の愛が形として欲しいです!」


 アプティ、アーデルニ、ドロシーに魔晶石を渡し、お店からの帰り道、騎士のハイラが笑顔でズバっと挙手をする。


 え? 決めたって、何?


 あ、ああ、俺からの個人の贈り物のことか?



 愛の形って……それは、い、いくらするやつ?



































「異世界転生したら愛犬ベスのほうが強かったんだが」


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【以下定型文】


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