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18 異世界転生したら腹を舐められたんだが

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六百八十四話 暗闇の襲撃者6 ルリエラの帰還と腹舐め三キツネ様





「貴様……エルエルヴィ、いつからそこにいた!」



「…………」



 宿ジゼリィ=アゼリィでの夕飯後、闇の種族のお二人が帰るとのことで、お見送り。


 話があると言われソルートンの南にある砂浜に来たが、闇の種族のリーダーであるルリエラさんから語られれたのは、過去の水の種族、銀の妖狐のお話。


 確かにあいつ、相当暴れまわっていたとは聞いたけど、マジですごかったんだな……。


 元の世界ではナンバーワンで、こっちの世界に来てからもその勢いは変わらず、ルリエラさんは銀の妖狐との接触を避け、仲間を守るためにサリディアの大穴に逃げ込んだとか。


 そしてその銀の妖狐がいる水の種族と関わっているお前は何なんだ、この世界に住む人間があいつの計画に参加して何の意味があるのだ、と問い詰められたが……その話、もうやめたそうですよ。


 俺が言っても説得力が無いので、多分ついてきているであろうバニー娘アプティに呼びかけるが、見事反応あり。


 俺の背後の闇の中からバニー娘アプティが無表情で現れ、俺の意見を肯定してくれた。


 闇の種族のお二人が、近くにいたアプティに気が付かなくてビックリしているが、そう、アプティってなんだかいつの間にか俺の側にいるんですよ……。


 正直、俺も困っています。




「なぁアプティ、銀の妖狐ってその計画から離れたんだろ? 本人が言っていたし」


「……はい、マスター。今は全ての時間をマスターの為に使われています……つまり、マスターに夢中、です……」


 もう一度聞いてみるが、しっかり肯定……なのはいいんだけど、もう一回『夢中』って言ったな、アプティ。


 銀の妖狐が俺に夢中って、背筋がゾクゾクするし怖いんですけど。


 その表現、もうちょっとマイルドにならないですかね。



「意味が分からない……、大体、なぜ水の姫、エルエルヴィがお前に付き従っているんだ」


「…………」


 ルリエラさんがバニー娘アプティに厳しい視線を向けるが、アプティさん無表情で無反応。


 そういえばアプティの本名って、エルエルヴィだっけ。


 なんでか、俺が名付けたアプティのほうが定着してしまったな。


 水の姫……? ああ、アプティって水の種族のリーダーである銀の妖狐の妹さんだから、立場的に姫ってことになるのか?


「……島で結婚……」


「は? 結婚……だと?」


 あ、しまった……ルリエラさんの質問に俺が答えず、アプティの本名とか姫とか考えて唸っていたから、アプティが俺をフォローしようと答えてしまった……。


 しかも左手薬指に付けたシルバーリングを自慢気に見せつけている……!


 それを見たルリエラさんとグレイフィルさんが驚きの顔をしているじゃないか、まずいぞ、これは早々に誤解を解かなければならない!


「ち、違うんです……! それはとても誤解を含む表現でして、俺が感謝を込めた指輪を贈ったら、いつのまにかその、そう言い始めてしまって……」


 アプティさん、お願いだから色々端折って単語だけで伝えようとするの、マジでやめてもらえないですか……正式な意味を伝える俺が毎回大変なんですって。


「……結婚、じゃない……? マスター、私、嫌い……?」


「あ、いや、俺はアプティこと大好きだよ! そうじゃなくて、その指輪はね、感謝をね……」


 うおおお、アプティが無表情ながらすんごい悲し気な顔になってしまったぞ……!


「ぶっ……あっはははは! 面白いなお前等! そうかそうか、人間と……そうかそうか。いいじゃないか、私はそういうの、とても良いと思うぞ。なるほど、どうして水の種族の姫が人間なんかの側にいるのかと思ったら、そういうわけか。いや、これは余計なことを聞いたな、すまなかった。アージェンゾロは苦手だが、お前らはちょっと見守ってみたい気持ちになった。あはははは!」


「ル、ルリエラ様が……笑った……」


 俺が必死にアプティのご機嫌を取っていたら、ルリエラさんが大爆笑。


 そしてそれを見たグレイフィルさんが、さらなる驚きの顔。


「なんだ! 私だって普通に笑うだろ!」


「は、はい、それはもちろん……ですが最近はずっと気を張り過ぎているような気がしまして……」


 はて、なんか向こうも揉めだしたぞ。



「ち、まぁいい。とりあえず、水の種族がだいぶ変わった、ということが分かった。なぁ、そうなんだろう、姫を守る任務を与えられたナイトのお二人さん」


 ルリエラさんが俺の後ろを見て、煽るように言う。


「…………はい。ご主人様と出会う前の水の種族と、ご主人様と出会った後の水の種族は別物とお考え下さい。そして正確には、アプティ様と協力して闇の種族のお二人を追い払いご主人様を守る、が与えられた任務です」


「うぅーん、でも失敗しちゃったー。結局ご主人様頼りで、なーんにも出来なかったー」


 暗闇から現れたのは、メイドバニーであるアーデルニとドロシーの二人。ついてきたのか。


 任務?


 なるほど、二人がアプティと一緒に来たのって、そういうことだったのか。


 銀の妖狐が何かアクションを起こしていた、と。


「あっははは! この私を追い払う、か。水の種族とはいえ、その程度の戦力で私をどうにか出来ると思っていたのか? いや、違うか、私がこいつにやろうとしていることは、命を奪おうとしているのではない、と分かっていたのか。ちっ、アージェンゾロめ、お見通しか。やっぱ嫌いだ、あいつ」


 ルリエラさんが笑うが、確かに……うちのアプティとアーデルニとドロシーが組んでも、ルリエラさんには敵わないだろう。


「ルリエラ様、このあたりで……」


「おっと、色々喋り過ぎたな。アージェンゾロが出てこられても困るし、私たちは逃げる! じゃあなキツネ派、いいか、私にしたこと忘れんなよな!」


 グレイフィルさんが小さい声で言うと、ルリエラさんが大きくジャンプし、海に着地。


 俺への文句を叫びつつ、海のかなたに消えていった。


 やっぱ海の上、普通に走れるんだ……。


 あと俺は犬派です。



「申し訳ございません、ご主人様。自ら志願したというのに、闇の種族からお守りすることが出来ませんでした……。全ての責任は私にあります、いかような処罰でもお受けしますので……」


「私も、私も失敗したー! 一緒、一緒に処罰してー」


 闇の種族の二人をぼーっと見送っていたら、アーデルニとドロシーが神妙な顔で俺に頭を下げてきた。


 え、ちょ、何?


「…………マスター、ごめんなさい……」


「アプティ様……! そんな、アプティ様には何の非も……」


 そしてその横にバニー娘アプティも並び、一緒に頭を下げてくる。



 ……えーと、どういう状況だっけ、これ……。


 星神の国の帰り、温泉施設で出会った銀の妖狐が言っていたよな、闇のルリエラは絶対にやり返してくるよ、って。


 それでルリエラさんがソルートンに来ると踏んで、アーデルニとドロシーを派遣したってことなのか?


 ……いや、そういえば昨日のお昼、アプティとベスが宿の入口あたりを気にしていたが、そのときにはもう、ルリエラさんたちが来ていたってことか?


 夜、アプティがどこかに消えたけど、そのことを島にいる銀の妖狐に相談しに行った……それで銀の妖狐が、アーデルニとドロシーをついていかせた。


 そして今日の朝、三人が俺のところに現れた……こんなところか?


 まぁ……色々あったけど、誰もケガしていないし、結果ルリエラさんは帰ってくれたし……いいのでは。



「アプティ、アーデルニ、ドロシー、では三人に処罰を与える」


 俺はちょっと真面目な顔をし、三人の頭を順に撫でていく。


「…………マスター?」


「はぅ……ご主人様……」


「うわーうわー、やった、ナデナデだー!」


 三人が不安そうな顔から笑顔へと変化する。


 うん、それでいい。


「別に罰なんてないよ。俺から言えることは、自ら志願して俺を守ろうとしてくれてありがとう。その為にわざわざ島から来てくれたんだろう? しかも格上、闇の種族のリーダーであるルリエラさんが相手なのが分かっているのに、それでも来てくれた。ありがとう、俺は幸せ者だ」


 俺はにっこり微笑み、もう一度三人の頭を撫でる。


 ルリエラさんの行動次第では、命を落とす可能性だってあったんだ。それでも俺の側に来てくれたとか、普通に、涙が出るぐらい嬉しいよ。


「……マスター、やっぱりマスターは、私が大好き……」


「ず、ずるいですご主人様……アプティ様にだけとか」


「私もご主人様から大好きーって言って欲しいー! ずるいずるいー!」


 あ、こら、暴れるなって。


「ベッスベッス!」


「あ、こらベス……ちょ!」


 ほら、楽しそうに見えたから、うちの愛犬が飛び込んできた……ってベス、俺の顔舐めすぎぃ……!


「……そういえば……マスターの舐めてた……あれ、だめ……」


 愛犬ダイブで砂浜に倒れ込んでいたら、バニー娘アプティがブツブツと呟き、俺のジャージをめくり腹を舐めて……ちょ、アプティーー!


「ああああ……すごい……アプティ様がご主人様のお腹を舐めて……わ、私も……!」


「ずるーい! 私もー!」


 ふぎゃああああ! 追加で二人も参加してきた……ってやめて、マジで、くすぐったすぎて腹筋が……!



「やめっ……ぅホァアひゃャハハぉうヒャアアアアアアア……!」


 

 その日の夜、ソルートンの砂浜に腹筋が崩壊した男の悲鳴が響き渡った──






































現代ラブコメ小説


「俺のワガママボディがクラスの三大美少女を溜まり場に引き込んだ件について」


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         影木とふ





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