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【書籍化&コミカライズ!】異世界転生したら愛犬ベスのほうが強かったんだが ~職業街の人でも出来る宿屋経営と街の守り方~【WEB版】  作者: 影木とふ「ベスつよ」②巻発売中!
18 異世界転生したら腹を舐められたんだが

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六百六十八話 宿ジゼリィ=アゼリィの世界一可愛い新商品開発様




「うわぁ、いいんですか隊長! これ出来たばっかりのクッキー屋さんのやつじゃないですか!」


「さすが隊長なのです。情報が早いのです」



 散歩を終え、宿ジゼリィ=アゼリィに帰還。


 食堂で配膳をしていた正社員五人娘のリーダー、ポニーテールが良く似合うセレサと、その持てるボディは宿の娘ロゼリィクラスのオリーブに買って来たクッキーを渡す。


「ヘルブラにアランス、フランカルの分も買ってあるから、後で渡しておいてくれ」


「分かりました! このクッキー屋さん、とにかくパッケージが可愛いんです。味はジゼリィ=アゼリィが大勝利なんですけど、見た目が良くて、一度は欲しいなと思っていたんです」


 セレサに残り三人分のクッキーのパッケージを渡す。


 三人は今、宿の部屋掃除をしているそうだ。



「パッケージかぁ……確かにこのクマのキャラが可愛いし、デザインもオシャレで、つい手に取ってしまう魅力があるな……」


 新しく出来たクッキー屋さん、とにかく混んでいたなぁ。


 今渡した以外に百個入りのを買ったので、宿の休憩室に置いておこう。



「あ、おかえりなさい。あら、それ新しいクッキー屋さんで買って来たのですか?」


 従業員休憩室に行こうとしたら、宿の娘ロゼリィに話しかけられた。


「ああ、うん。すっごい混んでたよ。セレサとかも気になっていたお店らしくて、とりあえず食べてみようかなぁと。一緒にどうかな、ロゼリィ」


「はい! あなたのお誘い、嬉しいです。これはクッキーデートですね、ふふ」


 クッキーデート? なんだかご機嫌なロゼリィに紅茶を用意してもらい、休憩室で買って来たクッキーを食べる。


「うん、普通に美味しいな。……でも普通止まりというか、そこまで話題になるような出来ではないような……」


 一口食べるが、見た目、味、普通。


 それ以上の感想は出てこない。


 まぁこの異世界では、日本で数々の美味い物を食べてきた俺が普通、と判断する味を出せるレベルでも充分すごいのだが。


「……そうですね……味は普通、でしょうか。申し訳ないですが、うちのお店で出しているクッキーのほうが美味しいですね」


 宿の娘ロゼリィも食べ、俺と同じような感想を言う。


 この宿ジゼリィ=アゼリィには、俺を唸らせまくる神の料理人、イケメンボイス兄さんがいるからな。


 彼が作る物はマジでなんでも美味い。


 クッキーもジゼリィ=アゼリィで出しているが、味によって生地の食感を変える工夫がされていたり、ドライフルーツやナッツなどがトッピングされていたりと、比べるまでもなくレベルが高い。


 正直、新しく出来た人気のお店のクッキーは、あそこまで混雑するレベルではないような……。


「私も気になって、ソルートンに新しく出来たお店はチェックしているのですが、人気となっているお店には共通の傾向があるようです」


 ロゼリィが雑誌に載っている新店特集の記事を指でなぞり、俺に見せてくる。


 ほう、傾向。


 さすが宿の娘ロゼリィ、きちんと他店のチェックはしているんだなぁ。これは宿ジゼリィ=アゼリィの未来は安泰ですな。


「この三店舗が今ソルートンで人気なのですが、実際に行ってみた従業員のみなさんにご感想を聞くと、全員が味は普通だった、とおっしゃっています。それではなぜそのお店に行ったのか、新しいから、以外の理由を聞いてみますと、パッケージが可愛いという意見が多かったです」


 へぇ、実際に行った宿の従業員の意見をしっかり聞いてまとめたのか。


 すごいな、ロゼリィ。


「これは想像なのですが、おそらく他店さんはうちの、宿ジゼリィ=アゼリィのことは調べて知っていると思います。味では勝てない、でも王都からソルートンに出店を決めた。ではどういう勝算なのかというと、まず王都で人気という看板と、中身ではなく商品パッケージに力を入れたのだと思います」


 なるほど。


 俺もさっきパッケージを見て可愛いと思ったしな。


 三店舗とも、ペルセフォス王都で人気というワードと、パッケージの華やかさでソルートン民の財布の紐を緩めに来た感じ。


 ロゼリィが出してきた今ソルートンで人気のお店は、クマのキャラクターが可愛くプリントされた外箱に入ったクッキー。


 縦長に切り、カラフルな細長いパッケージに入ったアップルパイ。


 ちょうど手に取りやすい大きさの瓶に入った、中身が見えるカラフルな飴。


 実際に買ったうちの従業員によると、味は普通だったけど、可愛いから買ってしまったという情報。


 そして俺がクッキーを見て思った、そうだお土産に買っていってあげよう、という行動。


 つまり見た目に特化させ購買欲を生み、贈答用に買ってみようか、と思わせたってとこか。



「よし、そのパッケージ案、うちでも取り入れよう」


「あ、それでしたら私にアイデアがあるのですが……」


 俺が動こうとすると、ロゼリィが笑顔で何かのデザイン案を描き始める。


 おっと、ロゼリィさんは次の一手も考えていましたか。


 ほうほう、なるほど……それを使いますか。


 確かにペルセフォス王都にあるカフェジゼリィ=アゼリィにもそれの大きな像を作ったし、うちの宿の入口近くにもそれの名前を冠した足湯がある。


 そのデザインは絶対に可愛いし、すでに宿ジゼリィ=アゼリィの顔とも言えるキャラクターだ。


 ああ、申し訳ないが『ペルセフォス王都で人気』のワードは、我らが宿ジゼリィ=アゼリィも使えるんですよ。


 実際、ペルセフォス王都に作った支店であるカフェジゼリィ=アゼリィは毎日行列が途絶えない人気店だし、お土産に売られているケーキやお菓子も大人気。


 中でもクッキーは、お持ち帰りお菓子で人気第一位という売り上げのデータがある。


 そしてうちの神の料理人、イケメンボイス兄さんの得意なお菓子が、クッキー。


 俺も何度も買って食べているが、兄さんのクッキーはマジで美味い。


 その激ウマクッキーの手ごろな値段の詰め合わせ商品を作り、贈答用にパッケージング。


 そこにロゼリィがデザインした世界一可愛いアレをプリントすれば、完璧だろう。



 さてやるか、宿ジゼリィ=アゼリィの新たな看板商品作戦開始だ。






























「異世界転生したら愛犬ベスのほうが強かったんだが」


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         影木とふ







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