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【書籍化&コミカライズ!】異世界転生したら愛犬ベスのほうが強かったんだが ~職業街の人でも出来る宿屋経営と街の守り方~【WEB版】  作者: 影木とふ「ベスつよ」②巻発売中!
17 異世界転生したら星が落ちる国があったんだが

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六百五十九話 さらば星神の国と記念の集合写真様





「あれ~、もう帰っちゃうの~? お城とか行かなくても良かったの~? 世界に名を馳せるこのラビコさんがいれば、レディアホロウ一族とも簡単に会えるのに~?」



 翌朝七時、俺たちは借りている宿を出て、王都レディアホロウ駅に来ていた。



「目的も果たせたし、もう帰ってもいいかな。お城は……行ってはみたいが、今度でもいいや」


 水着魔女ラビコがニヤニヤ顔で俺の顔を覗き込んでくるが、まぁ観光も終えたし、ソルートンに帰ろう。


 もう何日かいてもいいんだが、その、ご飯がね、あまり口に合わないというか、イケボ兄さんのご飯が恋しいというか。



 この国の王族。千年前に現れた勇者である、ミヨサキさんの子孫か。


 日本人であろうミヨサキさんの子孫に会ってはみたいが、千年前の人物の情報ってどのぐらい正確に伝わっているのだろうか。


 回復魔法を使う女性サクラさんに会えて、ミヨサキさんが日本人であったという情報を聞けたし、それで満足かな。


 着物、ヨウカン、その謎は解けた。


 

「いいンじゃね、帰っても。別に一回きりってこともねぇだろうし、用事があればまた来ンだろ。つかよ、メシが美味くねぇンだよ、ここ。なぁキング」


 猫耳フードのクロが、全員がなんとなく思っていたことをズバっと言ってしまう。


 お、おいクロ、口に出すなら、もうちょっとオブラートに包んだ言い方にしろよ。


「そ、その、比較しては良くないと思うのですが、やはり私たちの宿のご飯のほうが、口に合うといいますか、その……」


 宿の娘ロゼリィまでもが、申し訳なさそうにクロに追従。


 ロ、ロゼリィさん? 


「……マスター、早くあの料理人の紅茶を……」


「ほっほ、そうだのぅ、やはり王の宿と比べてしまうと、パンはモッソモソで固くて美味しくはないのぅ」


 バニー娘アプティとアインエッセリオさんまでもが……おいおい、うちの神の料理人、イケメンボイス兄さんは、上位蒸気モンスターすら認める存在ってことかよ。


 まぁ実際兄さんはすごいんだけども。



「まぁそこは私も同意だけど~。じゃあ記念写真を撮っていこっか~。ね~そこのデアステラナイトさ~ん、写真撮ってもらえる~? あっはは~」


 水着魔女ラビコが俺が持っていたカメラをヒョイと持ち上げ、駅の警備をしている鎧を着た騎士さんに話しかける。


 デ、デア……?


「星神の国の騎士は、デアステラナイトって言うンだよ。あちこちで見かけてたろ?」


 俺が不思議そうな顔をしていたら、猫耳フードのクロが星神の国豆知識を教えてくれた。


 彼らは二メートルは超える長い棒の先に斧がついた武器、ハルバートっぽい物を持っている。そういえば、王都のあちこちで見かけたな、この格好の騎士。


「あ、え、その、もしかして大魔法使いであられるラビコ様では……?」


「そうだよ~、はい握手~。お礼は写真を撮ってもらえればいいからさ~、あっはは~」


 話しかけられた騎士さんが目を見開き、驚きの顔でラビコを凝視。


 ラビコから握手を求められ、騎士さんは慌てて手をズボンでぬぐい、真っ赤な顔で応じる。


「ラビコ様、そのお城のほうには……」


「ん~? めんどいからパ~ス。個人的に観光で来ただけ~。ほい、あなたとラビコさんのツーショット~。これで許して~、あっはは~」


 騎士さんがおどおどとお城の方を見るが、ラビコが笑顔で拒否。


 ラビコが騎士さんに顔を近付け、満面笑顔のピースサインでカメラをパシャリ。


「え、あの、よ、よろしいでのすか……! この写真いただいても……! すごい、すごい……志願してよかった、駅の警備!」


 ラビコからツーショット写真を受け取り、騎士さんが大喜び。


 まぁ……ラビコは、本人も言っているが、まさに世界に名を馳せる大魔法使いだしな。見た目も美人さんだし……ちいっ、俺もああやって写真撮りたい……。


 そういや、ペルセフォス王都の騎士さんにも、有名人に会いたいから駅の警備に志願したって人がいたな。


 うーん、なんというか、動機としては不純だが、彼等の気持ちはすげぇ分かる。



「では撮らせていただきます」



 騎士さんに人数分の集合写真を撮ってもらい、パーティーメンバーに一枚ずつ渡す。


「お~、いい写真~。つか社長の口が半開き~、だっさ~。あっはは~」


 水着魔女ラビコが写真を見て笑うが、しょうがねぇだろ、タイミングをミスったんだよ。


「ふふ、ありがとうございます。あなたとの思い出がまた一枚増えました」


 宿の娘ロゼリィの写真の俺はまともな顔だ、良かった。


 この異世界のカメラは、一枚一枚魔法で焼き付ける、いわゆるポラロイドカメラってやつだから、全員に渡すには人数分撮るしかない。


 そして一枚一枚撮るので、それぞれ表情などが違ってくる。


「アタシのキング、ロゼリィの巨乳に目線イってるぞ。なンだよこれ、記念だってのに、欲丸出しじゃねぇか、にゃっはは!」


 猫耳フードのクロの俺は、チラと気になり一瞬だけロゼリィのお胸様を見た瞬間が撮られていた。


 クソが、この瞬間を撮るなよ騎士ぃぃ!


「そ、その写真下さい! 私のと交換を……!」


 宿の娘ロゼリィがそれを聞き、猫耳フードのクロに写真の交換を迫る。


「え、いいけどよ、ロゼリィのキングのほうがまともなンじゃねぇの?」


 ロゼリィに迫られ、クロが困惑顔。


 うーん、ロゼリィさん、自分のお胸様を見ている俺の写真を欲しがるって、どういう思考なの。普通、嫌じゃねぇの。


「……マスター、耳……かわいい」


 バニー娘アプティが受け取った写真にペンで何か書き込んでいるが……ちょ、アプティさん、なんで俺の頭にバニー耳描いてんの? つかそのペン、どこで買ったの。


「ベッス」


 あ、すまんな、ベスのは俺のと共有な。あとでリンゴ買ってやるから、それで許してくれ。


「ほっほ、よいのか? わらわも貰って」


 アインエッセリオさんにも渡すが、写真をチラと見て、俺の顔を見てくる。


「はい、受け取って欲しいです。これは俺たち、パーティーメンバーの思い出です。一緒に旅をしたアインエッセリオさんにも、この想いを共有してもらいたい。だってアインエッセリオさんは、俺たちの仲間ですから」


 俺はニッコリとアインエッセリオさんに微笑む。


「……ほっほ、わらわが仲間、か。嬉しいのぅ、王にそう言ってもらえるのは嬉しいのぅ。このような指輪も貰ったり、わらわは王の信頼する存在になれたかのぅ。嬉しいのぅ、ほっほ」


 眠そうな目で俺の顔をじーっと見ていたアインエッセリオさんが左手の指輪を触り、そのまま俺に抱きついてくる。


 ちょ、ここ駅前……


「王は本当に不思議な男だのぅ。一緒にいると、つい目で追ってしまう、近くに行きたいと思ってしまう、抱きつきたいと思ってしまう、そして安心してしまう……。おかしいのぅ、こんな感情は生まれて初めてだのぅ……わらわはどうすればよいのか、分からなくなってきたぞ」


 アインエッセリオさんがグリグリ顔を俺にこすりつけてくるが、その、ラビコとか激怒しているんで、その辺で……


 

 実際、今回の旅では、本当にアインエッセリオさんに付いてきてもらって良かったと思う。


 闇の種族との戦いでは、的確に情報を貰えてとても動きやすかった。


 おかげでパーティーメンバーも、そしてルナリアの勇者さんたちも救うことが出来た。


 俺がアインエッセリオさんに指輪をあげたのは、感謝と、仲間になってくれてありがとう、という意味です。



 指輪は感謝を、そして写真は思い出を。


 俺たちはこの時、一緒に居た。


 楽しかった時間を切り取ったこの写真、ぜひ受け取って欲しい。

































「異世界転生したら愛犬ベスのほうが強かったんだが」


書籍 ① 巻


コミカライズ版 ① 巻


発売中です


++++++++++++++


【以下定型文】


作品を読んで興味を持ってくれた読者様! よろしければ下にある


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         影木とふ






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