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17 異世界転生したら星が落ちる国があったんだが

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六百三十六話 新たな国へ3 格差のあるフルフローラ王都とオーズレイク王都と食べ物事情様





「ああ……フルフローラ王都が……」


「……最高の紅茶……」



 ビスブーケの街で六時半発の魔晶列車に乗り、海を離れ内陸へ進むこと二時間、花の国フルフローラの王都を通過。


 宿の娘ロゼリィとバニー娘アプティが、悲しそうに窓から去り行くフルフローラ王都の景色を見ている。



「俺もローベルト様にお会いしたいし、今度また来ような」


 窓にビッタリ張り付いて離れない二人に俺が声をかける。


 フルフローラ王都に出来たお店、ロゼオフルールガーデンカフェは、商売人アンリーナと我らが宿屋ジゼリィ=アゼリィの共同企画。なので売上などのデータがアンリーナ経由の手紙で送られてくるのだが、かなりの売り上げを出している。


 列車内から見える範囲でも、以前は田園風景にポツポツ建物がある感じだったのが、新しめの建物や、まさに建築中の光景が見え、雰囲気が変わったように思えた。


 フルフローラ王都内には過去の戦いの遺物、テトラシルトなる巨大な石のオブジェが多数設置されているが、遥か昔の『王都を守った盾』が見えなくなるぐらい、平和な時代の新たな人の営みの象徴、新築の家が増えるといいなぁ。


 確実に変わりつつあるフルフローラ、その様子も気になるし、ガーデン内カフェのことも気になるから、今度また来ようとは思っている。


「はい、嬉しいです!」


「……ロイヤル……」


 俺がニッコリ笑顔で言うと、ロゼリィが満面笑顔で抱きついてきた。


 これは公然と大きな柔らかいものを堪能できる、と思っていたら、バニー娘アプティが背後から俺のケツを掬いあげるようにつかんできて、俺はオッフ、と謎の言葉を発した。


 アプティは基本無表情だから分からないが、多分ロゼリィのように嬉しさを表現しようとしたのだろう。


 無表情だが、ご機嫌に俺のケツをつかんでいるし。


 ロイヤル……という言葉は多分、フルフローラのお城だけで飲むことが出来る貴重種、ロイヤルフルフローラという紅茶がまた飲みたい、という意味なのだと思われる。


 アプティさん、もうちょっと言葉の数増やして。じゃないと予想と想像で理解する俺が大変。




 花の国フルフローラを離れ、列車は水の国オーズレイクに入る。


 途端に景色が湖、沼、湿地、と見渡す限りの水面。


 ああ、そういえば以前一回来たことがあるがオーズレイクってこうだった。住める場所が限定されているという、結構大変な立地条件の国。




「はいみんな窓見て~。これぞ大都会、水の国オーズレイク王都到着~。あっはは~」


 花の国フルフローラ王都から八時間後、さっきまでの水面が一変、高層建築がニョキニョキ立ち並ぶ大都会、水の国オーズレイク王都駅へと到着。



 水着魔女ラビコがニヤニヤ笑いながら窓を指し、オーズレイク王都の栄えっぷりをアピールしてくる。


 多分、花の国フルフローラとは大違いだね、と言いたいのだろう。


 フルフローラ王族であられるローベルト様には大変お世話になっているので、もちろん俺は花の国フリークなのだが、そんな俺でも現実を突きつけられると、うつむき下を向いてしまう。


 栄え過ぎている……。


 今回の目的地はここではないので降りないが、駅前に立ち並ぶ複数の大型商業施設、今は夕方の十六時半で特にイベントごともやっていないのだが、何もなくても駅前の道を埋めつくす人人人……普通の若者なら目を輝かせて飛び降りるだろう。


「……マスター、ここにはロイヤルがありません……」


 バニー娘アプティが、この地に興味ありません的に俺を窓から引き離そうとグイグイ引っ張ってくる。


 そう、そうだよ、さすがアプティ、花の国フルフローラには紅茶があるもんな。


「随分と建物と人の多いところだのぅ。高低差もあって、全て避けながら走るのが楽しそうなところだのうぅ」


 アインエッセリオさんが長い爪で俺のジャージの裾をつかみ、バニー娘アプティから俺を引きはがそうとしてくる。


 いや、人が多いところを走るのは危険なのでダメですって。



 オーズレイクといえば、夜の森の中で出会ったエルフの女性が思い出される。


 ラビコのお師匠様らしく、とんでもないクラスの魔法の使い手だった。何やら追われている身とか言っていたが、またお会いできる日は来るのだろうか。



「しっかし覚悟はしてたけどよ、やっぱメシはあンま美味いもんねぇな。ジゼリィ=アゼリィの食い物に慣れてっと、どこ行っても期待ハズレで参るぜ、にゃっはは」


 猫耳フードのクロが、夕飯の列車内販売パンを食べながら愚痴を言う。


 ソルートンを出てからここまで、全部現地で手に入るパンなりお惣菜を買って食べているが、クロが言った通りで、俺が話題に出さないぐらいあまり美味しくはない。


 こういうのを考えると他国に行くのを躊躇してしまうんだよな……ご飯が微妙なのは旅の醍醐味のほとんどを台無しにされる気分。


「このパン、美味しくないのぅ。王の宿のあの料理人のパンが食べたいのぅ」


 アインエッセリオさんもパンをモシモシ頬張り、チラチラ俺を見てくる。


 いや、そのお姿は小動物的で可愛いのですが、俺に言われてもどうしようもないっす……。


 しかし……蒸気モンスターであるアインエッセリオさんの胃袋をもつかむ宿ジゼリィ=アゼリィの神の料理人、イケメンボイス兄さんってやっぱすげぇわ。あの人こそチートスキル持ちだと思う。



「ラビコ、星神の国ってのには美味しい食べ物はあるのかな」


「え~? ないよ~?」


 一応、十年間世界を巡った経験がある水着魔女ラビコに聞いてみたが、即答で『ないよ~』だった。


 ちょ、マジかよぉ……。テンション下がるぜぇ……。


「あ~、でもあれは美味しかったかなぁ~。黒くて甘くて四角いやつ~」


 ほう、甘いものでは美味しい物があるのか。救いの光だな。


「ああ、アレか。あれは美味かったぜ。黒いデザート」


 猫耳フードのクロも乗ってきたが、黒くて甘い四角いデザート、か。なんだろう。


「ちょ~っと甘すぎた気もするけど~、お店ごとに差はあるからね~。あのヨウカン」


 ラビコが最後にボソっと名前を言い、俺が驚く。


 ……ヨ、ヨウカン……? え、それって羊羹?


 紙を渡しラビコに絵を描いてもらうが、描かれたものはまさに俺の想像通りの黒くて甘い『ヨウカン』。



 どういうことだ……着物だったりヨウカンだったり、星神の国って一体どういう国なんだ。






























++++++++++++++



【以下定型文】


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         影木とふ








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