六百二十七話 五月だけどクリスマス短編4 本が出るから豪華クリスマスパーティーメニューと脱衣ゲーム開催様
「はいお待たせ。チキンの香草焼きにエビたっぷりクリームスープ、星型のパンにフルーツ盛り合わせ。そして最後は二段重ねケーキだよ」
とある事情で動けなくなってしまった俺。
ここぞとばかりに、爆笑しながら小突いてくるエロクリスマス衣装を纏ったラビコ。
下半身の事情で無抵抗体育座りで転がされていたら、救いの神、いや、この宿の神の料理人イケメンボイス兄さんが豪華な料理を持ってきてくれた。
兄さんは相変わらず良い声だなぁ。
「うっは~、奮発したじゃないか少年~。あれだろ~? 美味しい料理でいい気分になった私たちを襲う気なんだろ~? 私は子供じゃないから大丈夫だけど~、良いお酒があればコロリといくかもよ~? あっはは~」
運ばれてきた料理をざっと見たラビコ。しかし何か探し物を発見出来なかったようで、俺の頭をポンポン叩いてくる。
「ありがとうございます兄さん。頼んでいたお酒、もう出してもらってもいいですか?」
豪華な料理から香る刺激で俺の食欲メーターが急上昇、エロの心を打ち消した。よし、これで下半身は通常モード。
俺はウザ絡みをしてくるラビコの手を払いのけ、料理を作ってくれたイケボ兄さんにお礼を言う。
いきなりお酒を出すとラビコが面倒だと思い、中盤辺りに出してもらおうと思っていたが、すでにラビコが面倒なので出してもらうか、お酒。
結構良いお酒頼んだんだぞ。
「うっは~、やるじゃないか少年~。さすが長い時間童貞なだけはあるね~。そっか~私を酔わす気か~。あっはは~」
一応と、持ってきてくれていたお酒をイケボ兄さんから受け取り、ラビコに渡す。
長いこと童貞だから何なんだよ。お前がよく飲んでいる銘柄の、ちょっと良いのをお願いしただけだぞ。
「お酒……うう、私は飲めません……ということは狙っているのはラビコだけ……? そ、そんなことはありません! おそらく強烈なお薬をどこかで盛って……いえ、そう、これを私が自ら使ってわざと倒れてしまえば……!」
俺とラビコのやり取りを不安そうに見ていた宿の娘ロゼリィ。
ブツブツと下を向きつぶやいたと思ったら、どこからか白い粉が入った小袋を取り出す。
え、ん? あれってもしかして、以前どこかの船の中でばらまかれて大変なことになった、ロゼリィのお父様であられるローエンさん仕込みの強力睡眠薬じゃ……
「うわ、薬まで用意してるとかよ、相変わらずおっそろしいなジゼリィ一家。別にキングなンて普通に抱きついて転ばせて脱がしちまえばいいだけだぞ? チッ、ああ、アプティがいるかー……。アプティってキングの言うことしか聞かねぇし、つえぇからなぁ」
クロが薬を天高く掲げるロゼリィを苦笑いで見た後、俺に抱きつこうと構えるが、背後にいるアプティを見て舌打ちをする。
なんで俺を襲う話になっているんだよ、クロ。
これは俺が未成年なのにエロ本屋行ってすいませんでしたパーティーだぞ? そして裏テーマは、スタイルモデル級の女性陣にエロいクリスマスコスプレをしてもらって、俺の夜の妄想ストックを爆増させようパーティー、だ。
「じゃ、じゃあ厨房に戻るね。みんなすごい格好だから、風邪引かないようにね。あとロゼリィ、がんばるんだよ」
イケボ兄さんが女性陣の肌色多めのエロい格好にあてられ手で目を覆い、ロゼリィに優しく声をかけてから部屋を出て行った。
「ロゼリィに頑張られると~、薬効果で全員あっという間に寝て、朝になるだけなんですけど~?」
イケボ兄さんの応援を受け、ロゼリィがフンスフンス鼻息を荒くしているが、ラビコがそれを諫める。
「……あの程度、私には効きません……ご安心をマスター……」
俺の後ろに立っているアプティが、ロゼリィの持っている白い包みを一瞥する。しかしすぐに興味がなさそうな無表情顔になり、視線を俺に戻してくる。
よく分からんが……とりあえずアプティさんさえいれば、俺の身の安全は保障されそうだ。
愛犬ベスも部屋内にいるのだが、イケボ兄さんからもらった美味しい犬用特別ディナーに夢中で、俺のほうを見向きもしない。
「あ~美味しかった~。ほんと、この宿の料理食べたら他のお店で食べられないよね~。ね~少年~、あっはは~」
ラビコがお酒で少し酔った感じで紅潮し、笑いながら俺に体をくっつけてくる。
むぅ、童貞を殺す服クリスマスバージョンを着たラビコは、正直超エロい。腕に当たる柔らかいものも最高である。ああ、パーティー開いてよかった。
全て俺の自腹なので結構な額を使ったが、それに見合った肌色多めの景色はじゅうぶんに堪能できた……ふふ、しかしこのパーティーの真の開催理由はこの後なのだ……
「さ、豪華な夕飯も楽しんだところで、ここからは俺たちのパーティーがよりお互いを理解し合えるようになるゲーム大会、といこうか。豪華な景品も用意しているからさ」
俺はベッドに隠していたカードゲームと、景品である輝く魔晶石を取り出す。
「カードゲームですか……?」
「おお、マジかよキング。それ結構な値が張る魔晶石じゃねぇか」
ロゼリィがカードを見て不思議な顔になり、魔晶石を見たクロがちょっと驚いた顔になる。
そう、クロが驚くのも無理はない。今回俺が景品に用意した魔晶石はなんと市販価格二千G、日本感覚二十万円はするというシロモノ。
クリスマスパーティーで二十万の景品とか、日本にいたときの俺では考えられないが、正直異世界に来て、俺は結構なお金持ちになっている。
それに今からやるゲームは、日本感覚二十万円を支払っても安いと思える内容なのだ。紳士諸君はもう分かるだろうが、あれだよあれ……ぜひ結果に期待してくれ。
「題して『目指せ高級魔晶石! 脱衣カードゲームで隠し事無しで仲良くなろう!』だ!」
「はぁ~? 脱衣で仲良く~? 社長頭大丈夫~?」
俺がビシっと決めるも、お酒で酔っているはずのラビコが乗ってこない……おかしい、お酒を飲んだら何でも楽しくなって中身関係なく参加してくれるはず……
「あの、もし負けたら……脱ぐのですか? あなたも、ですか?」
「おお、そうだぜロゼリィ。どうせ私たちの裸が見たくて必死に考えた企画なンだろうけどよ、逆に言えばキングも負ければ脱いで私たちの言いなりになンだよなぁ?」
……ん?
いや、そりゃあロゼリィさん、脱衣だからゲームに負けたら一枚ずつ脱ぐわけですが。
言いなり? クロさん? 俺そんな条件出したっけ。
まぁいい、ようは勝てば良いのだ。簡単な話さ。
待ってろ紳士諸君、『次回、一糸纏わぬ肌色回! の巻』をお送りすることを約束するぜぇ!
「異世界転生したら愛犬ベスのほうが強かったんだが」
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「異世界転生したら愛犬ベスのほうが強かったんだが」五月だけどクリスマス短編4
をお読みくださり感謝!
そしてついに明日 5 / 24 に書籍1巻が発売されます
どうぞよろしくお願いいたします。
(早いところでは、今日並んでいるそうです
中には美麗な挿絵イラストも載っていますので、どうぞお楽しみください
明日には 影木とふ が書いたサイン本が当たるキャンペーンもありますので、
一二三書房、ブレイブ文庫 様のSNSをご覧ください
【以下定型文】
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影木とふ




