六百二十六話 五月だけどクリスマス短編3 本が出るから女性四人のクリスマスコスプレで4キル様
「アプティ、そっち持ってくれ。そう、ちょっとたるむようにして波型に飾るんだ」
「……はい、マスター」
翌日、俺は午前中にソルートンの港近くにある商店街に行き、それっぽく見える飾りを多量に買ってきた。
大きめのツリーにリース、それを飾り付ける用に星型のアイテム、雪の代わりの綿、とにかくキラキラした物を選び、一緒に来てもらったバニー娘アプティと買ったものを両手で抱えて帰宅。
子供の夢を壊すようで何だが、こっちの異世界にはサンタさんなんてものはいないらしく、コスプレでもして雰囲気を出そうとしたのだが、ザ・サンタ衣装は売っていなかった。
なので赤い服に白い飾りを付けてそれっぽくしたり、冬用の赤い三角帽子に白い布を張り付けたり、俺は少しでも日本で見たクリスマスに近付ける為に手作業で奮闘した。
ロウソクは危険なので、魔晶石で光るランプをたくさん買ってきて光の演出。
……正直電池代わりである魔晶石も、魔晶石ランプも超高いんすよ……でもしょうがない、やると決めたのだから、実行あるのみ。
だいたいクリスマスパーティーって何をするんだ。
俺はそういう浮かれたイベントに参加したこともないし、お呼ばれされたこともない。
いや、語弊があった。
呼ばれないようにソロ専のオーラを出し、自らそういう場所には近付かないようにしていた。
一筋の涙と引き換えに俺は部屋にこもり、オンラインゲーム等でクリスマスイベントを満喫。孤高の紳士とは、そういうものなのだ。
さすがに家族とはしたことがあるが、それは数に入れないでくれ。
ほんと、『クリスマスパーティー やり方』でググれないのが異世界の悪いところである。
「まぁ、多分こんなだろ。おつかれ、アプティ」
「……はい、マスターのお部屋がなんだか楽し気な雰囲気になりました……」
「ベッスベッス!」
とりあえず宿ジゼリィ=アゼリィの二階にある、結構広い俺の部屋の飾り付けが完了。手伝ってもらったバニー娘アプティにお礼を言うが、完成した『なんとなくこんなだろうクリスマス部屋』を見て、無表情ながらもワクワクした顔になっている。うむ、アプティがこうなるなら成功だろ。
おっと、愛犬ベスまでもが興奮し始めたぞ。
まぁベスは日本にいるとき、俺の家族とのクリスマスパーティーに参加しているからな。それを思い出したのだろうか。
料理のほうは、朝に宿の神の料理人イケボ兄さんにお金を払ってお願いしてあるので大丈夫だろう。
まぁこっちの異世界には無い、自己満足クリスマスパーティーだが、女性陣が楽しんでくれたら幸いだ。
ああ、女性陣には内緒で準備をしている。
バニー娘アプティにも内緒にしたかったのだが、アプティさんって部屋の鍵をどんなに厳重にしようが、なぜかスルリと突破して無表情で部屋に入ってくるんだよね……。
なのでもう諦めて、色々手伝ってもらった。
多分アプティから逃げるのは、異世界転生でもしなきゃ無理そう。
パーティー開始は夕方。もうすでに、女性陣全員にお誘いのクリスマスっぽい豪華なカードを各部屋の前に置いておいた。
参加条件はクリスマスカードの持参と、俺が作ったクリスマスっぽいコスプレを着ること。
うへへ……スタイルの良い女性陣のクリスマスコスプレ、こりゃあ俺の夜の妄想ストックがギガ単位で激増すること間違いなし!
え? 未成年の俺がエロ本屋に行ったことへの謝罪のパーティーじゃないのかって? ハハ、転んでもタダでは起きないのが俺ことエロ紳士。
代わりのエロをたっぷり補給させていただきます!
さて、時間的にはもうそろそろ集合時間だが……
「あ、あの……! この度はお招きいただきありがとうございます! ですがその、この服……ちょっと恥ずかし……」
俺の部屋のドアを軽く叩く音が聞こえ、宿の娘ロゼリィがそろーっとドアを開け部屋に入ってきた。
お、一番手はロゼリィか。
「さ、参加条件は満たせています……か? お誘いのカードと、赤と白の服です……」
おほーー! 素晴らしい、これは想像以上に素晴らしいぞ!
さすがとんでもねぇスタイルを誇るロゼリィさん、出るとこ出て、これぞまさに童貞を殺す服……! ああ、覚えているだろ? 一時期話題になった例のあれだよ。俺は出来ないが、紳士諸君はいますぐ画像検索してみてくれ。そう、それだ。
ロゼリィが着ているのは、袖なしで股下ぐらいまでの赤いロングセーターにサンタ帽。
ちょっとクリスマスっぽくする為に白い飾りを足してあるが、ロゼリィの超エロい体のラインを隠すことなく、むしろ強調させる服。
これはすごい……一生見ていたいレベル。
「あ、あの、これすっごいスースーするのですが……」
参加条件には俺が作ったクリスマスコスプレを着ること、とあるのだが、さすがにそれだけでは肌露出が規制レベルになる。つか恥ずかしいだろうから、何か長い靴下とか羽織るものとか足してくるかな、と思ったが、ロゼリィさん、本当に俺が用意したスッカスカのロングセーターのみで参戦……。ロゼリィは根が真面目だからなぁ……。
普段ロゼリィは肌の露出を嫌い、肌を隠す長めの服ばかりを着ている。
それがどうだ、あのロゼリィが肩と太もも丸出し。ちょっと動くと見えそうなので、ロングセーターの裾を必死に下に引っ張り、恥ずかしそうにモジモジとしている。
くそっ……異世界じゃあなかったら、スマホで瞬時に最高画質設定にして動画で撮るのに……!
「う~わ、他人の見ると一目瞭然だけど~、これほとんど裸じゃないか~。あれれ~? これってもしかして、社長の欲を満たす為だけの集まりになってる~? あっはは~」
ロゼリィの後ろから水着魔女ラビコ……じゃなくて同じ服、童貞を殺す服を着たラビコが登場。
参加条件のカードを俺に投げ、自分と同じ格好をしてモジモジしているロゼリィを笑いながらジロジロ見ている。
地味にラビコっていつも水着だから、それ以外の格好って珍しいんだよね。
なので、ラビコにいたっては普段より肌露出が減っているという謎スタイル。まぁどっちだろうがエロくて最高なんだが。
「おいこれマジかよキング。王族であるアタシにこンな格好させるとか、もう責任取ってもらうレベルだぞ、にゃっはは!」
続いて現れたのは、普段猫耳フードにハーフパンツのクロ。いつもはパンクっぽい衣装なので、クロがこの格好をすると余計にエロいな……ゴクリ。王族だから責任取れってのはよく分かんねーっす。
「……マスター、出来ました……」
そう言っていきなり俺の背後に現れたのは、普段バニー衣装を着ているアプティ。
一度自分の部屋に戻ってもらい、アプティにも同じ衣装を着てくれないかとお願いしたのだが……アプティも普段バニー衣装なので肌露出は多め。今回の衣装はいつも見えている大きなお胸様の北半球が見えなくなって、レベルダウン……いや、アプティのバニー以外の衣装って地味に貴重なのでは。
以前、さすがに普段用にバニー以外の衣装を買いに出かけたのだが、頑なにバニー以外いらないと断られたからな。
「ってみんなマジで指定された衣装だけで来たのか~。さすがにエロすぎるからロゼリィは何か羽織ってくると思ってたよ~、あっはは~」
「え、あの、参加条件がこれって書いてあったので……」
「あれだろロゼリィ、キングの誘いじゃなかったら絶対素直にこンな格好にならなかっただろ。キングの誘いで、キングの部屋にお呼ばれしたからエロい格好になって、その先も当然期待しちゃってる感じってか、にゃっははは!」
おお……超エロい格好をした女性三人が小突きあっている……最高、これ最高だぞ。もしかして下着とか……無し? 三人のお胸様がすっげぇ揺れ……
「あっれれ~、主催者の少年がなぜかうずくまっているよ~? なんで立たないの~? ね~ね~、これって立食パーティーでしょ~? あっはは~」
俺は男の事情を我慢出来ずに瞬時に体育座りに。しかしそれに目ざとく気が付いたラビコが、ニヤッニヤしながら俺の前にしゃがみ込み、頭をポンポン叩いてくる。
ぐっ……ラビコはお風呂上りなのか。すっげぇ良い香りがする。
「ど、どうされたのですか? もしかして具合が悪いとか……」
「ちげぇってロゼリィ。これアレだ、アタシたちの体に超反応っってやつだ、にゃっはは!」
「……マスター、マスターのはとても素晴らしいので、立ち上がって自慢されてもよいかと……」
下を向いてうずくまる俺にロゼリィが心配し左肩を優しく撫でて来て、クロが俺の右肩をバンバン叩きながら下半身を指し大爆笑。
エロサンタコスプレ美女四人に囲まれ、もうすでにクリスマスパーティーはクライマックスなのでは、と思えるぐらい大満足……。童貞を殺す服を着た女性が四人、そう、俺は始まってすぐに4キルされた感じで天にも昇りそうです。
そしてアプティさん、この状態で立ち上がったら俺、確実に変質者なんですが?
「異世界転生したら愛犬ベスのほうが強かったんだが」
++++++++++++++++++++
「異世界転生したら愛犬ベスのほうが強かったんだが」
書籍 第一巻が 5 / 2 4 発売!
各書店様にてアクリルフィギュアなどの特典がございますので
どうぞよろしくお願いいたします。
さぁ紳士諸君、水着魔女ラビコのイラストを見たくはないか。。。!
ああ、もちろんエロいぞ。
ああ、もちろんさ。
宿の娘ロゼリィのお風呂イメージ映像も・・・?
ああ、もちろんさ。
過度な期待はあれだが、常識的な範囲で期待してくれ
(よろしくお願いいたします)
【以下定型文】
作品を読んで興味を持ってくれた読者様! よろしければ下にある
『☆☆☆☆☆』のポイントをよろしくお願いいたします。
応援する意味でブックマーク登録やご感想、レビュー等いただけたらとても嬉しいです!
影木とふ




