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六百十二話 俺の現在のパーティーメンバー表様




「えーっと、俺、ベス、ロゼリィにラビコ、アプティにクロ。今は六人か」



 宿ジゼリィ=アゼリィの食堂、いつもの席で夕飯をいただきながら紙にメモを取る。



「私呼ばれましたけど、それは何のメモですか?」


 左隣りで同じく夕飯、本日のディナー『五種の海鮮ホワイトシチューと七色サラダセット』を食べていた宿の娘ロゼリィが不思議そうな顔で俺のメモを覗き込んでくる。


 夕飯のエビやイカに貝類がたっぷり入ったシチュー、さらに緑黄色野菜が七種類入ったサラダセットはとても見栄えがよく、携帯端末なんてあったら写真を撮ってみんなガンガンSNSなどにアップするんだろうなぁ。


 セットに付いているパンは焼立てで、なんと本日はおかわり自由。


 動けなくなるまで食っていっていいぞ。



「初心者のみんなとパーティー組んでみて、改めて俺のパーティーってどういうのだっけ、とちょっと気になってな」


 ギルドと違ってパーティーって冒険者センターに書面で提出しないことが多いから、たまにはこうやって明文化しとかないとな。


「なになに~? 冒険者センターにパーティー申請でもするの~? 命の危険があるクエストに向かうからメンバー表を証拠として残しておくとか~、報酬の管理をキッチリ人数で等分するための証拠とか~、そういうのが始まるのかな~? あっはは~」


 右隣りにいる水着魔女ラビコがおかわりしたパンをシチューにつけ、美味しそうに食べながら笑う。


 一応パーティーを組んだらメンバー表を冒険者センターに提出することも出来るのだが、無申請の自己責任で済ますことも出来る。パーティーはワンクエストのみで解散だったりすることもあるので、面倒でいちいち申請する人は少ない。


 ラビコが言ったが、報酬の取り分でのトラブルをなくす為に事前に冒険者センターに『等分分配申請』しておくことも出来る。そうすれば報酬を受け取るときに、冒険者センター側でパーティー人数の等分で分配をしてくれる。


 まぁお金の管理は事前に決めておかないと危険だからなぁ。



「俺たちは報酬目当てのクエストをするためにパーティー組んだわけじゃないだろ。そうじゃなくて、俺のパーティーって誰が参加しているのか分からなくなってきたから確認しておこうと思ってさ」


 現在、いつも一緒なのはこの六人だから、このメンバーが俺のパーティーってことになるのかな。


 いや、たまに商売人のアンリーナが一緒だったりするな。


 一緒にいればパーティー……? ほら、よく分からなくなってきた。


「……マスターとはパーティーではなく結婚……です……」


 正面に座って食後の紅茶を楽しんでいたバニー娘アプティが無表情にアピール。


 パーティーではなく結婚……? 意味が分からんのだが。


「パーティー? 何言ってンだ。アタシはこれ、キングとはパーティーメンバーっつうかこういう関係よぉ! セレサー、シチュおかわりー! にゃっはは!」


 バニー娘アプティの横で、宿の正社員五人娘の一人ポニーテールが大変似合うセレサにシチューのおかわりを所望した猫耳フードのクロが、左手薬指にはめてある銀の指輪を自慢気に見せつけ豪快に笑う。


 クロ、シチューはおかわり自由じゃないぞ。それは追加精算な。


 そしてここでその指輪アピールされると、大変面倒なことが起こる予感が……


「はぁ~? てめぇの指輪は社長脅して無理矢理手にしたやつだろ~? 残念ながら私のはレベルが違っていて~社長の愛がたっぷり詰まった正妻だけが貰える~……」


「……ふふ、違いますよね? ラビコのこそ脅して買わせた指輪ですよね? その点私のは違っていまして、彼が私とのデートの最後に感謝と愛を込めて買ってくれた、もう告白同然の指輪でして……」


 水着魔女ラビコと宿の娘ロゼリィが自分の左手薬指に付けている指輪を見せ、半分、いやほとんどフィクションと想像の追加エピソードを語る。


 ああ……どうしてこういつも揉めるのか……。


 ラビコのは全部妄想で、ロゼリィのは半分当たっていて、でも贈ったのは感謝の指輪で……って、このあたりの説明もう面倒で嫌なんですけど……。



「お待たせいたしましたシチューです! あ、これですか? これですよね、名前を書けば隊長の結婚候補者に正式になれるって魔法の紙は! そぉれ!」


 猫耳フードのクロの追加シチューをダッシュで持ってきた正社員五人娘のセレサが、俺の前に置いてある紙にガリガリと自分のフルネームを書き込む。


 あの、これパーティーの……


「セレサ早くなのです! みなさんが揉めている間に私もどさくさで書き込むのです!」


 セレサが名前を書き終わると、後ろに控えていたロゼリィに匹敵する素晴らしいお体をお持ちになっている正社員五人娘の一人オリーブがペンを受け取り名前を記入。


「お、やったぜ大チャンス! これで兄貴と正式にそういう関係になれるんだろ?」


「……まぁここまでくれば、何人いても同じでしょうし……サラサラっと」


「ただ名前を書いたメモでも、その後に一文追加すればそれで正式書類の完成ー。やり方がブラック? のんのん、ホワイト書類ー」


 オリーブの後ろからさらに三人追加、ヘルブラ、アランス、フランカルが素早くメモに名前を書き込む。


 ちょ、お前ら……


「あーズルいっすよアニキ、俺たちだけのけ者扱いして。こないだ一緒にパーティー組んだ仲じゃないスか」


「そうだぜ、一緒に山に行った俺たちを外さないでくれよ」


 正社員五人娘の後ろから異様な見た目の男たち、トゲの付いた肩アーマーやら、どこの荒廃したマンガから飛び出してきたんだって見た目の世紀末覇者軍団がぞろぞろ列をなし、次々と紙に名前を書いていく。


 え、ん? いや確かにモヒカンとドレッド頭のお前らとはエロ伯爵の遺産探しでパーティーを組んだが、別に今も継続しているわけでは……


「う~わ、気が付いたら男にまで手を伸ばしてる~! もう社長ってそういうことが出来たら男だろうが女だろうが関係ないんだ~! 欲強すぎ~!」


 世紀末覇者軍団の異様な男行列を見た水着魔女ラビコが俺を非難してくるが、男に手を伸ばすとかどういうことだよ。そういうことが出来れば? 欲? 意味が分からん。


 これ、パーティーメンバー確認表であって……


「なんだか面白いことになっているなぁ。じゃあ僕も」


 ラビコが腰にアタックしてきたので剥がそうとしていたら、ニコニコ笑顔の男性、この宿の神の料理人であるイケメンボイス兄さんが紙にサイン。


 に、兄さんまで……って他の調理担当のスタッフから、ホールスタッフも並び始めたんですけど。


 なにこの列。



「なんだいこの騒ぎは。なんだって、うちの若旦那の所有権? そんなのこの宿の物に決まってるだろ」


「はは、うちの娘ロゼリィをよろしく頼むよ」


 ちょっとした騒ぎになっていることを聞きつけたこの宿のオーナー夫妻、ジゼリィさんとローエンさんが出てきて、俺の紙にサイン。


 あの、全員違う意味で書き込んで来るんですが……




「なんだこの大量の名前羅列シートは……」


 俺は数十人規模の名前が書き込まれた紙を見て唖然とする。


 確か俺の現在のパーティーメンバー構成の確認表のはずだったのだが、気が付いたらこの宿ジゼリィ=アゼリィによくいるメンバー表が出来上がった。



 そう、寄せ書きの完成である。



「俺のパーティーメンバー表……」













++++++++++++++



【以下定型文】




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         影木とふ










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