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【書籍化&コミカライズ!】異世界転生したら愛犬ベスのほうが強かったんだが ~職業街の人でも出来る宿屋経営と街の守り方~【WEB版】  作者: 影木とふ「ベスつよ」②巻発売中!
16 異世界転生したらギルドを立ち上げることになったんだが

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六百五話 異世界転生したらギルドを立ち上げそうになったんだが様



「ラ、ラビコ……! クッ、なぜここが分かった!」


「なんだよそのすぐ捕まりそうな悪役のセリフは~! 残念ながらうちにはアプティっていう超優秀な社長探知機がいるんです~」



 冒険者センター内の『安い早い美味くはない』が自慢の食堂。そこでクラリオさんに魔法を教わりながら美味しくはない紅茶をいただいていたら、背後から紫のオーラを発する物体が急接近。


 俺はニッコニコで愛犬ベスをモチーフにした魔法のマークを描いていたのだが、その紙を乱暴に奪われる。


「ったく~ご丁寧にギルド新設の申請書まで用意しやがって~……って何この枯れたヒマワリみたいな絵~」


 あああ……俺の魔法……! なにすんだてめぇって、水着魔女ラビコじゃねぇか。


 そしてそれは枯れたヒマワリではなくて、俺の愛犬の顔だ。


「……マスター、ご無事ですか……」

 

 ラビコの後ろからバニー娘アプティまでもが無表情で登場。無事? 無事もなにも、俺はクラリオさんに魔法を教わっているだけだぞ。何しに来たんだ二人とも。


「はぁ、はぁ……待って下さい二人とも……あ、ご無事だったのですね……良かった」


 ちょっと遅れて走ってきた女性、宿の娘ロゼリィが俺の顔を見て安心した顔になる。


「ニャハー、私たちの目をかいくぐってキングを連れ去るたぁやるじゃねぇかクラリオ。にゃっはは」


 ロゼリィのペースに合わせのんびり歩いてきた猫耳フードのクロも俺を見てニヤニヤ笑う。なんだよ、全員集合じゃねぇか。


「ベッス」


 おお、我が愛しの愛犬。うむ、ベスはいつどんなとき見ても可愛い。




「……で~? この誘拐劇について説明してもらいましょうか冒険者センターのお偉いさん~?」


 全員が席につき、美味しくはない紅茶を一口。無言でカップを置き水着魔女ラビコが口を開く。


「えっとぉ……そのーなんと言いますか、わ、私は悩める若き少年に魔法の指南をだな……」


「魔法ね~そっかそっか~……じゃあこの冒険者センター公式のギルド新設申請書は何なのかな~?」


 全員の注目が集まる中、クラリオさんが怯えながら言うが、言葉の途中で水着魔女ラビコがニッコニコ笑顔で細かくちぎった俺の魔法の紙、ラビコ曰くギルドの申請書を焼ける肉に調味料を振りかけるが如くポーズを決めテーブル中央に振りまく。


「……えっと、あ、つ、つい間違えて……」


「うそつけ~! なんで魔法を教えるのに申請書が出てくるんだよ、確信犯だろ~!」


 クラリオさんが大汗かきながら可愛らしくポーズを取るが、ラビコが食い気味に激怒。


「ちぃ……! バレては仕方あるまい。以前冒険者の国でも言ったが、現在世界の冒険者の平均レベルが下降している。ルナリアの勇者が姿を消して以降目に見えてだ。色々手は打っているがどれも効果が薄い。やはりこの世界には皆の憧れ、目標となる分かりやすい勇者が必要なのだ! その適任者は君、そう、君に新たにギルドを作ってもらい、迷える初心者冒険者を救済……」


「てめぇ、もう約束忘れたのかよ! うちの社長は利用しないって言ったばかりだろうが!」


「だから少年に勇者になれと言っているのではなく、ギルドを作ってかの有名な『蒼天の聖騎士団』のようなSSランクギルドを目指して……」


 二人が取っ組み合いになったが、今クラリオさん、俺にギルドを作れとか言った?


 あれれ、さっきまでのクラリオさんと俺のやり取りはもしや……?


「え、じゃあさっき色々書類に書き込んだのは、俺が魔法を使えるようになるための手順を踏んだんじゃなくて、ギルドを作るための手順だったってことなのか?」


「そうだよ! つかなんで気付かないんだよ! おかしいだろ、名前だの実力だの資金だの保証人だのマークだのと……!」


 俺の素朴な質問にラビコが激怒。


 いや知らねぇよ、異世界のギルド新設のやり方なんて。つかギルドか、確かに冒険者といえばギルド、だよな。個人的に憧れるワードだ。


「ニャハー、『蒼天の聖騎士団』ときたかぁ。かつて北の荒れ地に生息し多くの街を破壊し尽くし住民を食い殺した伝説の『龍』、その力は絶大で、数多の有名冒険者や国の騎士たちが挑むも全滅。しかしそこに当時無名の若者たちが作り上げたギルドが挑み、近隣の国々の協力を得、激しい戦いの末『龍』を撃破、その地に新たな街を興し、いつしか国となり、ギルド『蒼天の聖騎士団』のリーダーだった光の剣の使い手が初代の国王になったという。その青年の名は、ラスティ=ペルセフォス──まぁ有名なペルセフォス建国記だよなぁ、にゃっはは」


 猫耳フードのクロが流暢に物語を語る。


 へぇ、俺たちが住むこのペルセフォスの初代国王になった人は、元々無名のギルドのリーダーだった人なのか。そこからの成り上がり、すげぇな。


 ……しかし『蒼天の聖騎士団』……ギルド名が中二過ぎねぇか……。いや俺はそのネーミングセンス好きだけども。


 ギルドか。今のパーティーを組んでいる状況ですらトラブルまみれなのに、ここからさらに人数増えたら一体どうなってしまうのか。嫌な予感しかしない。



 最近初心者冒険者のみんなと知り合って現状を知ったが、最初は誰でも分からないことだらけで困っている感じだった。まぁこの世界にはネットとかいう便利なものがないので、情報は本か経験者に直接聞くしか選択肢がない。


 では欲しい情報が書かれた本がどこにあるのか分からなかったら? 必要な情報を持った経験者が近くにいなかったら? 結果情報不足で冒険者生活をスタートしてしまいそのクエストの最適な行動が分からず、最悪命を落としてしまうかもしれない。


 剣士クロス、魔法使いエリミナル、盗賊ルスレイ、彼等がもし俺と出会わなかったら、一体どうなっていたのだろう。


 冒険者の平均レベルが落ちているとかクラリオさんが言っていたが、分かりやすく強い勇者みたいな目標がいれば解決する問題ではないと思う。それは動機であって、レベルアップにはつながらない。



 ──今の冒険者に足りないものは『情報』だと俺は思う。









++++++++++++++



【以下定型文】




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         影木とふ









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