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六十話 空に浮かぶお城に向かって俺の冒険が始まらない様


「ラビコ。俺、空飛んで雲に浮かぶお城に行きたい」




 昼、注文した今日のランチメニュー海鮮丼と抹茶プリンを待つ間、俺の異世界の希望をラビコに真顔で伝えてみた。



「社長……熱でもあるの~? ロゼリィ~氷持って来て~」


 ラビコが俺の額に手を当てロゼリィを呼んだ。



「熱なんてないわ! 俺の澄んだ目を見ろ!」


 ラビコがじーっと俺の目を見てくる。どうだ、俺は本気だ。


「あはは~社長の目見てると吸い込まれそうになるや。ちょっと火照ってきちゃったかも~」


 ラビコがぽーっと赤くなった顔で、軽く汗ばんだ体を俺に絡めてきた。


 ちょ、そういう冗談はやめい! 昼間の食堂だぞ! 


 宿の常連客のゴツイ格好をした世紀末覇者軍団がこっちを見て、ひゅー! と騒いでいる。



「このエロキャベツ!!」


 バケツを持って走ってきたロゼリィが氷水を全力でかけてきた。


「ぎゃああ! つめ、冷たいー!」

「ほわわわわ~っ! 何すんじゃ~!」


 俺とラビコが飛び上がって悲鳴をあげる。見ると、ロゼリィの頭から鬼の角が生えているようなビジョンが浮かんだ。これはヤバイ。


 とりあえずラビコと二人で頭を下げ必死に謝った。  




「雲に浮かぶお城とか絵本みたいですね、ふふ。かわいいです」



 機嫌を直してくれたロゼリィにも、俺の夢を語ってみた。


「いや、俺は本気なんだ」


「ふふ、素敵です」


 子供を見るような目で優しく微笑むロゼリィ。


 あかん、まともに取り合ってくれない……。




「うーんと~もしあったとして~その場所に何を望むのですか~?」



 海鮮丼に少量の醤油をたらし、ラビコがイカを残す気満々で言う。イカも食え。


「望む? そりゃー美人なお姉さんがいて勇者になるための試練をクリアしたらすげー力かアイテム貰える」


「ぶっ……あっははは~そんなの無いよ~。じゃあ、なぜそのお城は雲の上になんてあるのさ~。地上じゃ駄目な理由は? そんな隔離された状況はなんの為にあるのさ~逃げたのかな~? 知られちゃいけない物があったのかな~?」


 雲の上にある理由? そんなのロマンだよ、ロマン。


 そのほうが格好いいだろう? 



「隔離された場所にある物は必ず理由があるもんさ~ましてや人が近寄りにくい場所にある物なんて明確だよね~人間には絶対近寄って欲しくないのさ。空、地下、海とかね~」


「ちぇー空飛べたら面白いものいっぱい見れそうなのになー」


 こないだのあのお姫様の空飛ぶ車輪みたいのは他にも無いのかな。あったら絶対欲しいな。


「私が抱きかかえて飛んであげよっか~一分千Gね~あはは」


 一分十万円とか高っけぇよ! 払えるか! 


 よし決めたぞ、俺乗り物が欲しい。やっぱ冒険に行くにはパーティを何人も連れていける乗り物が必須だ。馬車とか気球とか。


「決めた。俺、乗り物を買う。空飛ぶ乗り物を手に入れて冒険に出かけるんだ!」



「絶対無理かな~あはは~」

「私……乗り物酔いが……その……」



 俺の冒険終了。












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