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15 異世界転生したら豪商の娘が揃ったんだが

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五百七十五話 サーズ姫様とアンリーナが残したかった物と花の国のカフェ様

「一週間の報告書をいただきましたが、各お店とも相当な売上のようですわ」



 お昼過ぎ、商売人アンリーナが紙の束を抱え食堂に降りてきた。


「お店ってのは、昨日行った大型商業施設に入っているお店のことか?」


「はい師匠。昨日五階から一階までおおまかに見て回りましたが、上がってきた報告書と実際に私が見た感想は一緒ですわね。とても順調だと言えます」


 アンリーナが資料をチラと見せてくれる。


「お店を誘致したのは私ですからね、気にならないと言えば嘘になりますし、順調な数字として出てきてくれたのは嬉しいです。これに私の分析データを書き込んで王都のサーズ様に送れば、とりあえずのお仕事が一段落、といったところでしょうか」


 魔晶列車をソルートンに通すことや、ソルートン駅直結の大型商業施設建設はサーズ姫様の発案で、それにアンリーナの会社が支援をした形になるらしい。



「あっはは~これであの変態姫も安心できるかもね~。全ての責任者だったし、これ失敗したらやばかったからね~」


 俺の右隣に座った水着魔女ラビコが紅茶とお菓子のセットを頼みゲラゲラ笑う。


 まぁ……魔晶列車の開通に大型商業施設開業と、俺でも分かるぐらい莫大なお金が動いた案件だろうしな……。


「確かに動いたお金は相当なものですが、サーズ様は今回の計画に対し、勝算しかなかったと思いますわ。……そして私も」


 茶化すラビコに対し、商売人アンリーナがニッコリ微笑み言葉を返す。


「強気強気~。つか二人ともさ~売上とか入店者数とか魔晶列車の乗車率とかより、絶対に『ソレイローラ』の名前を残したかった想いのほうが強かっただろ~」


「……さて、なんのことでしょうか。実にソルートンっぽい施設名で良いですねとしか」


 ラビコがニヤニヤと言うと、アンリーナがすまし顔でサラサラとお仕事であろう書類の書き込みを始める。


「ニャッハハ、名前、だよなぁ。な、キングー」


 ラビコとアンリーナのやり取りを楽しそうに聞いていた猫耳フードのクロが、嫌な笑顔で俺を突いてくる。


 え、何? 俺に何の関係が……。


 俺と左隣りに座っている宿の娘ロゼリィが不思議そうな顔をする。正面に座っているバニー娘アプティはいつもの無表情。




「さて、これで魔晶列車と商業施設の週報告の完成、と。あとは月報告、年単位のお話になりますわね。ふぅ、やっと一段落となります」


 最後にサインを書き込んだアンリーナが書類を封筒に入れ、美味しそうに紅茶を飲み干す。


「おつかれアンリーナ。あんまり手伝えなかったけど、ばりばりに働くアンリーナってのは見ていて心地が良いというか、格好がいいよな。俺、ずっと見惚れていたよ」


 俺はアンリーナの頭を優しく撫で微笑む。


 なんとなく暴走することが多いイメージのアンリーナだが、お仕事に向かう姿勢は本当に隙きが無いというか、手際がいいんだよな。


「誰であろう我が未来の夫がらみの案件でしたからね、それはもう頑張りましたわ。そして師匠、大変心苦しい苦渋の決断なのですがこのアンリーナ、明日にはソルートンを発ち花の国フルフローラに行かねばならないのです……なので今夜は愛する二人が一生忘れられないほどの熱くて長い夜に……!」


 夫? と俺が首をかしげていたら、軟体動物と化したアンリーナが蛇のように身体を絡ませてきた。


 ほ、骨……アンリーナの骨ってどうなっているの……!


「あ~そういやカフェが出来たんだっけ~? そっちも同時に進めていたりアンリーナは頑張っているな~。ああ、島はまだなのかな~? あっはは~」


 紅茶セットだけじゃ足りなかったらしい水着魔女ラビコがお酒を頼みながら笑う。


 おいこら、まだ昼だぞ。


「はいラビコ様。以前花の国フルフローラを訪れたときにローベルト様とお約束した、ロゼオフルールガーデンを利用したカフェの建設。それがもう完成し、開店日に合わせ様子を見に行こうかと思っています。アイランド計画はもうちょっとお時間がかかりますわね……あ、大丈夫ですよ師匠! 私と師匠の一生に一度の晴れ舞台、必ずや最高の物を作り上げて世界に二人の永遠の愛を見せつける勢いで……ヌフフハァ!」


 や、やめて……俺の身体を蛇のように締め上げながら首元に舌を這わせるのはやめて……! 


 そろそろバニー娘アプティさんが異形の敵判定する五秒前ですよ……!



「あ……! ついに完成したのですか!? 花の国フルフローラのロゼオフルールガーデンカフェが! あの、わ、私も行きたいです……!」


 何か思い出したらしい宿の娘ロゼリィがバチっと目を見開き、俺に上目遣い。うん、軟体動物に締め上げられながら見る一輪の花、ロゼリィは美しい……。


「そういやそンな話あったな。確かフルフローラの王族との繋がりが欲しいからアンリーナ側が全部やるとか言ってたやつだっけ? ニャッハハ」


 猫耳フードのクロが嫌な顔で笑うが、花の国フルフローラのカフェ、そういやあったな。


 言い方は悪かったが、クロが言ったようにアンリーナの会社であるローズ=ハイドランジェが全てを進めるとか言っていたっけ。



「ああ、お店で出すメニューのレシピがこの宿、ジゼリィ=アゼリィプレゼンツだっけか」


「はい師匠、この宿のボーニングシェフと話し合い、それなりの料理経験があれば誰でも再現出来るレシピを開発させていただきました。フルフローラのお店の看板にも、ジゼリィ=アゼリィのお名前は入っています」


 そうか、光る桜がある花の国フルフローラのロゼオフルールガーデンカフェ、ついに出来たのか。


 以前行ったときに臨時でカフェを開いたら大好評で、王族であられるローベルト様が出来たら常設のお店を……とお願いされ、それに対し商売人アンリーナがうちでやりますと言った、って流れだっけ。


「色々と同時進行でこなしていた時期となり、私も数回しか現地には行けていなかったので、開業の日には行きたいとスケジュールを調整していました」


 やっぱアンリーナってすごいな……とても年下とは思えないパワーと実行力。俺も見習わねば。



「アンリーナ、俺たちも行っていいだろうか。メニューで宿が協力しているのもあるし、ローベルト様には以前とてもお世話になった。カフェ開業に向けて何も手助けを出来なかったってのも格好がつかないし、せめて開業の日に駆けつけ、お手伝いをしたい」


「ヌ、ヌフフォァアアアアア! つ、つまりそれは婚前旅行のお誘い……! アイランド計画完成の前に二人の仲を確実のものとし、花の国フルフローラにて愛の花を咲かせる師匠の粋な心遣い……!」


 ローベルト様にはお世話になったし、メニュー協力している宿代表として俺たちも駆けつけ手助けをしたい。よし、ちゃんと言ったよな俺。



「花の国か~ま~いいんじゃないかな~。確かあの変態姫もフルフローラの支援に乗り出して列車通しているし~もしかしたら国始まって以来のかなりな混雑が起こるかもよ~あっはは~」


 ラビコが何か思い出したように言い笑う。


 サーズ姫様の支援? はてなんだろうか。そういや以前この宿にサーズ姫様とローベルト様が来てくださったとき、何か協力をするとサーズ姫様が言っていたな。


 それがもう実行されているということだろうか。



「ヌフホハァィゥ……ハホホェイ……ホハハー!」



 ……とりあえずアンリーナが人間に戻ったらもう一回聞いてみようか。


















++++++++++++++



【以下定型文】




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         影木とふ

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