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【書籍化&コミカライズ!】異世界転生したら愛犬ベスのほうが強かったんだが ~職業街の人でも出来る宿屋経営と街の守り方~【WEB版】  作者: 影木とふ「ベスつよ」②巻発売中!
14 異世界転生したら魔晶列車が開通したんだが

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五百四十一話 お城の食堂で優雅な朝食を様

 魔晶列車。


 この異世界の陸路を網羅する、魔晶石という魔力の込もった石をエネルギーに変換し走る便利な乗り物だ。



 他の交通手段として海路は船があるのだが、空路は残念ながら無い。


 どうしても空路が欲しい人は自らの魔力で飛んで行ってくれ。


 いや別に無茶振りをしているのではないぞ。だって現に俺のパーティーメンバーである水着魔女ラビコ、彼女は自らの魔力で空を自在に飛べるのだから。


 ……まぁ異世界に来て何カ国か巡ってみたが、それを出来る人物はラビコしか見たことないけど。


 当然俺も飛べない。奇跡の確率を越え異世界に来れたんだから、俺にそういう超絶便利スキルがあってもよさそうなものなのだが、現実は厳しい。


 俺が空を自由に飛ぶことが出来たのなら、女湯のぞき放題……いや、世界中の子供に君の上に広がる青い空には無限の可能性が広がっているんだよ、例えば空に浮かぶ島とかあるかもしれないんだよ、と夢を与えることが出来るのに。


 実に残念である。



「なぁラビコ。どっかに空に浮かぶ島とかあって、そこには混浴露天風呂があるとか聞いたことないかな」


「はぁ? 何その社長の欲だけが詰まったエロい妄想は。そんなこと朝食の席で言うぐらい溜まっているのなら、今ここでみんなの前ですればいいじゃない。私は最後まで優しい目で見守ってあげるよ~? あっはは~」



 冒険者の国からの帰り道、俺たちは魔晶列車に乗りペルセフォス王国へ来た。


 以前お城の目の前に作ったカフェの様子が気になったから寄ってみたのだが、ペルセフォスのお姫様であられるサーズ姫様から帰るのを二週間ほど遅らせて、王都に滞在して欲しいと言われた。


 二週間って結構長いなと思って理由を聞いてみたら、その二週間後に俺たちのホームタウンであるソルートンという港街に魔晶列車が開通するとのこと。


 今まで線路がなかった街に魔晶列車が開通するって、国家規模の出来事じゃねぇか。とある人物の活躍がきっかけとなりそのプロジェクトが動いたらしいが、誰だか知らねぇがそいつに感謝だな。


 ……と思ったのだが、サーズ姫様曰く、その人物は俺のことらしい……。俺なんかしましたっけ? 適当に欲のまま異世界を巡っていただけなんですがね。




「……だ、誰がエロいとか溜まっているとかそんな話をした……! 俺は子供たちの夢を叶えようと努力する純粋で綺麗な目を持つ少年の冒険心を……」

「混浴って言ったじゃない」


 俺が焦り誤解を解こうと大げさに振る舞っていたら、水着魔女ラビコが喰い気味にジト目で冷静に言い放つ。


 えーと『なぁラビコ、どっかに空に浮かぶ島とかあって、そこには混浴露天風呂が……』ああ、言ったね。はっきりと混浴って。


 混浴=エロと判断するラビコもひどく狭い視野だとは思うが、俺も言い方が悪かったか。家族で入れる水着可の自由なお風呂、とか言うべきだった。


 そして今思い出したが、ここは俺のホームであるソルートンの宿ジゼリィ=アゼリィではなく、ペルセフォス王都のお城の食堂。


「……混浴? なんのことかしら。ヒソヒソ」

「あの人が年端もいかない異性の子供と混浴したいってことじゃ……」


 当然お城に務める多くの騎士たちが朝食を食べている。

 

 忘れがちだが俺に不満気な視線を送っている水着にロングコートを羽織った魔女ラビコは、この国の王と同等の権力を持つ有名人なんだよね。


 当然注目は浴びるし、歴戦の大魔法使いであるラビコから何かを学ぼうとしている優秀な騎士たちは常にラビコの言葉に聞き耳を立てている状態。


 そこに誰だか知らない少年である俺が、朝から混浴温泉に入りたーい的なことを言えば悪い噂が立つわな。


 さっき魔晶列車がソルートンに開通するきっかけになった人物は俺とかいうことを記したが、俺の名前と活躍を知っている人物は極一部で、有名人ではない。


 ラビコとサーズ姫様が俺の持つ王の眼・千里眼の力は「今の時代には過ぎた力」として俺の名前は公式には出さないようにしているらしい。


 俺も別に有名人になりたいわけではなく、せっかく来れた異世界でのんびり暮らしたいだけなので、その配慮はありがたいお話だけど。


 でもまぁ、なんの実績もない無名の少年がペルセフォスの王と同権力を持つ大魔法使いラビコだったり、この国のお姫様であるサーズ姫様と仲良さ気にしている姿は異様だし、世間的には格好の噂話のネタになるよね。


 俺の世間体なんてすでにマイナス振り切ってマントル突き抜けているから、もう気にしていないけど。



「まとめるとこうか。キングはこの王都に滞在している二週間のうちにアタシたち全員と混浴温泉に入って子供を作って、出来た子供全員に夢を含む意味を込めた名前を付けてぇ、と。いいンじゃねぇの、さっさとヤろうぜ! ニャッハハ」


 俺の斜め前の席でスプーンを使わず、直接深皿に口をつけズルズルと根菜シチューを吸っていた猫耳フードが特徴的なクロが謎発言。


 今までのどこをまとめたらそうなるのか。


「え……そ、その、このあとすぐに、ですか? わ、分かりました準備を……!」


 それを聞いた宿の娘ロゼリィが真っ赤な顔で立ち上がり、どこぞへと走ろうとする。


 ま、待てロゼリィ! 俺は混浴のお風呂でパーティーメンバーの女性たちの裸を見たいなぁと少年の妄想を広げただけで、実際には何も言っていない!


「……マスターは興奮されていたのか昨夜は数回されていたので、今日はパワーが弱めかもしれな……」

「アプティさん俺が特上アップルパイをおごります!!」


 俺の正面の席にいたバニー娘アプティが俺の夜のソロアクションを側で見ていたかのように無表情に語る。……まぁ見られていたんだろう……けど言うなよ。


「興奮~? まさか変態姫のことを妄想してしたんじゃないだろうな~。それはさすがのラビコさんでも怒るぞ~……社長は私のことだけ考えていればいいんだっての~!」


 水着魔女ラビコが怒ったように飛びかかってくる。


 クソが……なんでこいつすぐに俺の行動が分かるんだよ。ええ、ええしましたとも。いいじゃないか俺が誰を妄想して夜に一人DE出来るモン欲を解き放ったって。


 サーズ姫様って滅多にお目にかかれないクラスのとんでもないお美人様だから、そりゃあ妄想が捗りましたよ! 


 ザ・街の人である俺が身分差を乗り越え、激しいラブロマンスの末にお互いを求め合うようになった感じの都合のいいやつをね! いいだろ妄想なんだから!


「ベッス」


 俺の足元でリンゴにがっついている愛犬ベスよ、ご主人様の危機なんだから飛びかかってきている水着魔女をなんとかしてくれ。


 魔力を纏ったご自慢のシールドアタックで、上手にラビコの水着だけ剥いでくれてもいいんだぞ。



 あと絶対に内緒だけど、パーティーメンバーの女性陣全員同時パターンも色々妄想させていただきました。二回戦目に。


 ええ、そんな俺が主人公です。









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