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五十四話 空飛ぶ車輪の姫様 1


 雪が降り続く街道を走り街の外へ。



「つ、疲れた……」


 転ばないように雪道を走るのはバランスを保つのに神経を使うので、かなりの疲労。


 街の外に出るだけで息が上がる。


 ベスに励ましてもらいながら、頑張って走る。




「お次は山道か」


 山の麓に到着。


 高さは地元にあった山の高さに似ているので、おそらく五百メートルぐらいだろうか。


 その中腹あたりに煙が上がっている。俺の足だと三十分ぐらいか、中腹までだと。雪道だからきついけど。


 時折り空を何かが飛んで行き、爆発が起きる。煙で周りが靄がかかったような状態になり、視界がちと厳しい。


「爆発音の振動で雪崩とか勘弁してくれよ」



「ベスッ!」


 ベスが警戒音。


 どうやら何かが落ちた辺りに近づいたようだ。




 ものすごい靄。煙と雪でさらに視界が悪い。


 木がなぎ倒され、まるで隕石が落ちたように地面が削られた跡がある。


「よく見えねぇ……」


 落ちた跡の中心に近づくほど靄が濃くなる。



「……新……手かっ! アズゥロウラ!!」


 掠れた声が聞こえたと思ったら、周囲の空気が震えだし、前方の靄の塊から空気の塊が突き抜けてきた。


 空気の塊に触れた大木が簡単に粉々に吹き飛び、真っ直ぐもの凄い速度で俺に向かって飛んでくる。


「ベスッ!」


 俺の危機を感じたベスが強く咆哮。


 足元が青く光り、空気の塊に向かって頭突きをかました。


 金属が擦れ合うような重く嫌な音が響き、ベスの頭付近から青く輝く光が漏れ、まるで盾のような形状になる。ベスがたまらず首を振り、ベクトルの向きを左にずらした。


 俺の左後方で爆発が起き、木がメキメキと悲鳴を上げ倒れていく。



「防ぐ……か……!」


 撃ってきた主が呻いた。やばい、追撃きそうだぞ。


「ち、違います! 下の街から来た者です! ケガをしているんですか!?」




 とりあえず、救助だとわかるような発言をしてみた。



「……ちぃ……私の攻撃を簡単に防ぎ、喋るタイプ……銀の妖狐か!」



 銀……? 何か全く誤解が解けていないぞ!? 余計に怒ったような口調。



 靄の中から人が飛び出してきて、長い槍を突き出してきた。


「我が名はサーズ=ペルセフォス、手負いとはいえ貴様は刺し違えてでも……友の仇……!!」


 飛び出してきたのは、かなりのケガを負った女性。


 壊れた馬車の車輪を縦ではなく平べったい状態にし、放射状のスポーク部分に足を乗せ、槍を構え特攻してきた。


「空飛ぶ車輪……!?」


 車輪を空飛ぶ乗り物のように扱い、光を放ちながら俺に槍を突き出す。


「うわわっ!」


 ベスが牙を剥き、その突き出された槍に噛み付く。青く輝く光が溢れ、牙が槍の刃を貫き噛み砕いた。


 槍の先端の刃が砕け散り、女性は驚いた顔をする。


「い、犬……だと!?」



 俺もそっちの立場だったら、同じ反応をしていたと思う。



 悪いな、うちの犬は無敵なんだ。











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