表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化&コミカライズ!】異世界転生したら愛犬ベスのほうが強かったんだが ~職業街の人でも出来る宿屋経営と街の守り方~【WEB版】  作者: 影木とふ「ベスつよ」②巻発売中!
13 異世界転生したらルナリアの勇者が現れたんだが

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

525/700

五百二十四話 地下迷宮ケルベロス 3 アプティ無双様

「ギャウン!」

「ゴアア……」

「オオオオゥン!」


「……百九十……」



 ケルベロス地下迷宮。


 千年以上前から存在しているという詳細不明のダンジョン。


 難易度が高く、生半可な冒険者は簡単に命を落としてしまう。冒険者センターではパーティーを組むことを推奨しているが、高レベルパーティーですら地下十五階層より下にいくと生還率が二割を切るらしい。


「ギャオオオ……」


「……二百十……」


 それでも、どんなに危険でも、ダンジョンに潜る冒険者が絶えることはなかった。


 なぜ? それはここにルーインズウエポンと呼ばれる強力なアイテムが眠っているから。


 それを手にすれば、山をも一撃で吹き飛ばし、湖を一瞬で干上がらせるクラスの魔法を放てるようになるとか。


 ロマン、まさに冒険者のロマンが眠る場所、ケルベロス地下迷宮。


 腕に自信があり仲間にも恵まれているのなら、一度は挑戦してみるのもいいかもしれない。だが、そのときは必ず冒険者センターなどで情報を買おう。


 一桁台の浅い階層ならそこまで危険は無いらしい。


「ドルルルル!」


「……二百二十二……」


 有料の地図は最新の物が揃っているので買っておいたほうがいいし、案内人と呼ばれるダンジョンの情報を持った人を雇うのもいいだろう。絶対に安全に払うお金をケチってはいけない。


 装備も良いものを揃えることをオススメする。俺はオレンジジャージだけど。



 一応俺も今ダンジョンに潜っているので、これから異世界に来るであろう紳士諸君には特別に無料で情報を公開しよう。なに、俺は童貞仲間には優しいんだ。


 今は地下二階層なのだが、通路は入り口にあったすげぇ光量の明かりが各所に灯っているので明るい。


 通気もいいらしく、今のとこジメジメしていたり、カビっぽい感じはない。


 道は広い。本当に大型車が通れるクラスの、石が綺麗に敷き詰められた平坦なトンネルを歩いている感じ。


 そうだ、初心者は冒険者センターでダンジョン安全セットを無料で貰えるので必ず貰っておこう。


 中に魔晶石カンテラという、普通に買うとお高い魔晶石アイテムが入っていて、たまに壁に仕込まれた明かりが戦闘で壊れ暗い部分もあるので有効に使っていこう。


「ボアアアア!」


「……二百七十五……」


 さぁお待ちかね、モンスター情報だ。


 ここはこの世界由来の獣系のモンスターの他にも蒸気モンスターが紛れ込んでいる。十分気をつけてもらいたい。



「……マスター、二百七十五体の、マスターに敵意を向けていた愚かなモンスターを撃破しました……」


 バニー娘アプティがビュンと残像を残しながら俺の背後に現れ、無表情に報告をしてくる。


「そ、そうか……すごいぞアプティ。やっぱりアプティが側にいてくれると安心するな、はは……」


 俺はアプティの頭を撫で労をねぎらう。


「…………二千ぐらいで結婚…………」


 頭を撫でられ、無表情ながらも嬉しそうにしているアプティがボソっと呟く。さて、どういう意味なんだろうか……。



 ああ、モンスター情報な。


 すまんが俺から言えることは何もない。うん、まだ地下二階層だが、俺は一匹もモンスターを見ていないんだ。


 ダンジョンを歩いていると、周囲からモンスターらしき悲鳴がリズミカルに聞こえてきて、アプティが謎の数を読み上げる声が聞こえてくる状況でな……。


 もう聞こえてきた悲鳴でモンスターを想像してみてくれ、としか言えない。ドルルル、は難しいから高得点問題だ。



「キングー、やっぱモンスター倒した数でヤル順番決まる話は無しな。だってこれ、アプティがすごすぎなんだって。こんなん太刀打ち出来ねぇって」


 猫耳フードを揺らし、クロがブツブツと不満を漏らす。


 ヤル順番とかよく分からんが、とりあえずアプティの頑張りのおかげで俺たちは鼻歌交じりに歩けるんだからいいんじゃねぇの。



 一つ確実な情報としては、まだ二階層に降りてきただけなのに、アプティ曰く二百後半の数のモンスターが襲いかかってきたこと。


 これはソロではかなり危険な数。休む間もなく襲われるだろうから、絶対にパーティーは組もう。



「あっはは~やっぱすっごいなアプティは~。社長のことになると本気度が桁違い~。ここってさ、浅い階層では弱いながらも絶え間なくモンスターが来るから危ないんだよね~。まさか一度も魔法を使わず、のんびり歩けるとは思わなかったな~あっはは~」


 水着魔女ラビコが俺の右腕に絡みながら笑う。


「そうですね、アプティに感謝です。……ところで、アプティがたまに言う結婚ってなんのことです?」


 宿の娘ロゼリィがアプティにお礼を言い、俺の左腕に絡んでくる。そして俺に向けられる満点の笑顔……いや、その、俺もどういう意味かは知らな……。



「ベッス」


 基本アプティ無双なのだが、我が愛犬ベス様がたまに鼻をヒクヒクさせて不思議そうに首を振る。


 今の所ベスは警戒の鳴き声や姿勢を見せていないから大丈夫なのだろう。



 つかアプティさんがすっげぇ張り切っているんですが。さっき二千がどうとか言っていたけど、なにかのノルマでも発生したんですかね。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ